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2005年02月01日

私大入試改革 春遠し 少子化「全入時代」

朝日新聞(1/31)

地方試験増での募集も「限界」

 私立大学の一般入試が2月から本格化する。例年多くの受験生を集める福岡市内の九州産業大、福岡大、西南学院大では、志願者数の激減を食い止めようと入試改革に躍起だ。少子化による「大学全入時代」を控え、私大を取り巻く環境は厳しさを増している。
(辻岡大助)

 05年度一般入試(前期)の志願者数の集計が進む九州産業大。入試部の采原(うねはら)正見事務部長は「かなりの苦戦」と表情を険しくした。96年度に2万人を割った志願者数は、04年度には7422人にまで落ち込んだ。05年度の願書締め切りは24日。入試部は増加に転じるのは難しいと予想し、抜本的な対策を模索している。

 例年、九州最多の受験生を集める福岡大。90年度の一般入試(前期)は約5万5千人に達したが、00年度は約3万1千人に減少した。大学入試センター試験への参加で04年度は約3万7千人まで持ち直したが、22日に発表された05年度入試は3万5612人。地方試験を1日から6日間に増やしたが、前年度より1553人減った。

 少子化の波に私大が洗われている。

 92年度に205万人でピークだった18歳人口は、04年度は141万人に減少。今後も右下がりのカーブを描く。文部科学省によると、「大学全入時代」は07年度に到来。大学・短大の募集人員と進学志望者がほぼ同数の65万人になる。

 私大に追い打ちをかけるのが長期不況だ。保護者の学費負担が重くなり、国公立大人気が高まっている。国内の私大入試の志願倍率は、文科省が統計を取り始めた93年度は11・9倍だったが、04年度は7・2倍。大手予備校・駿台福岡校は「有名私大が少ない九州では特に地元の国公立大志向が強い」と指摘する。

 少子化と不況の二重苦にあって、各大学は入試改革を断行してきた。

 90年代初めに一般入試の志願者が2万人を超えていた西南学院大は、00年度に約1万1千人まで落ち込んだ。そこで鹿児島と広島の2会場だった地方試験に、02年度から長崎、熊本、大分、宮崎の4会場を加えた。18日に締め切った05年度の志願者数は1万5437人。うち1345人は初めて参加したセンター試験の利用者。前年度比で14人減にとどめた。だが、入試課の高木幸二課長は「入試改革の効果が出ても、それが続く保証はどこにもない」と話す。

 福岡大の一般入試は2月4日に始まる。キャンパス付近を通る地下鉄七隈線の開業翌日にあたり、アクセスの利便性が飛躍的に高まる。それでも志願者数からは地下鉄開業の効果さえ読めないという。地方試験の日数増でキャンパス入試の志願者減を補ったが、入学センターの中垣義秀事務室長は「入試改革の限界が来たと思う」と危機感を募らせる。

 入学者の学力レベルを低下させないためにも、一定の志願者を維持し、選抜しなければならない。各大学の入試担当者は口をそろえる。「小手先の入試改革ではダメ。研究と教育の魅力を高め、受験生にも実感してもらえるよう訴えかけられる大学しか生き残れない」


投稿者 管理者 : 2005年02月01日 00:19

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