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2005年02月10日

横浜市立大学の全教員任期制、「個別同意に応じると大変」「期限の定めのない雇用が一番」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2月9日)

 労働法・労働組合問題・労使紛争に詳しい人から、本学の就業規則案や教員説明会の当局側説明に関する感想が寄せられたので、紹介しておこう。

下記の意見のようであるならば、まさに独立行政法人化は、「噴飯もの」の就業規則と整理解雇の恐怖を背景にして、大学の自治・学問の自由の破壊、教員の精神的奴隷化を進めるものとなろう。批判(がましいこと)は就業規則をたてに「引っ掛けられる」となれば、私も含めて、多くの人は今以上に沈黙の度を深くする(せざるをえない)であろう。それは真の意味の大学活性化とは正反対のものとなろう。戦々恐々とした大学人とは、いったいなんだろうか? 憲法の保障は、就業規則の脅かしで換骨奪胎状態になるのか? 現在は、三菱自動車、NHK問題でもそうだが、むしろ、内部告発を守るのが民間企業でも大切になってきているのではないのか? さまざまの意味での権力をもったものが批判を封じることを簡単に可能にすれば、最終的には社会(市民・国民)が巨大な被害をこうむるのではないか?

就業規則案と教員説明会の言動だけでも、かなり多くの教員はいやけがさし、萎縮し、精神的自由を失ったのではなかろうか? 

教員組合が問題視するような、任期制に同意を迫るためになされる労働諸法律から見て「間違った」説明、曖昧な説明にうかうか同意すると、大変なことになる。京都大学事件はそれを示している、と。

現在、説明をしている当局側の人々は、来年以降大学(法人)にいるかどうか、わからない。口頭説明などは、形として、証拠資料として残らない。京都大学井上事件で明らかなように、事務局が同意書に署名捺印させるために発した言葉はどこにも残っていない、同意した文書だけが残っているのではないか?「任期に同意」という文書だけが残されることになるとすれば、恐るべきことではないか?

「引っ掛けられないように」と親身になって忠告していただき、感謝。

--メール・タイトル「滅茶苦茶ですね」----

 基本的には組合の見解に賛同します。ただ一点だけ気になることがあるのでそれについて書いておきます。それは「任期の定めのない雇用契約の場合、1年経過後には任期[雇用?]としては打ち切られることになる。」の所です。特に「1年経過後」とは何を意味しているのかさっぱりわかりません。一般的には解雇は何年雇用したかということとは関係ないからです。勤続20年で解雇されることもあれば、半年や一ヶ月で解雇されることだってあります。ですから、これは解雇法理の一般論を説明しているわけではないのです。

 理解できない発言を無理やり理解しようとすると、総務部長は解雇法理の説明にダブらせながら、法人化後の横浜市大の雇用方針について話をしている可能性が高いということになります。つまり「1年経過後」に整理解雇を実施する意図があることを言外にほのめかしているのではないかということです。「法人化された後の横浜市大では1年後に整理解雇を行う予定である。任期制を選択した教員はその対象外であるから、よりましな選択だ。」という脅し(メッセージ)がその中に含まれていると考えなければならないということです。
 となると、この脅しがどの程度実行される可能性があるかを評価するかということになりますが、これについてはまったく判断がつきかねます。市から繰入金の削減、カリキュラム改変等々、法人化後の状況は恣意的に人員整理が必要であるかのような状況を作り出せるからです。特に、市が「あり方懇」の5年で収支均衡という路線を堅持しているのならば、その可能性は高いことになるでしょう。

 では、当局の言うように任期付きを選択したほうが安全なのでしょうか。それこそ当局の思うつぼです。3年もしくは5年後には必ず人員整理問題をもちだすでしょう。その時には、当局の気に入らない教員(「業績のない教員」ではありません)は有無を言わさず再任なしということになり、かつそれには抗いようがないからです(京大の事件はまさにこの問題を端的に示しています。周知のように、あの事件は、再任されなかった理由について争っているのではなく、間違った説明で任期制の職につけられたことを争っているからです。あれだけの業績があっても「再任されなかった理由」について争えないのが任期制=有期雇用の法理なのです)。
 これに対して「期限の定めのない」労働者の整理解雇に関しては解雇の必要性の存在、回避努力義務、解雇者の人選の合理性、誠意ある協議という四条件を果して初めて正当な解雇として認められる整理解雇の四要件が定着しており、組合が言うように簡単に実施できるというものではないのです。人員整理の可能性が高いから「期限の定めのない雇用」を選択すべきなのです。・・・

 ところで、昨年末に出された就業規則案ですが、ひどいですね。組合でも議論されたことと思いますが、まったく噴飯ものの案ですね。特に懲戒の理由に「法人の名誉や信用を著しく傷つけた場合」とは別に「法人に対する誹謗中傷等によって法人の名誉を傷づけ」というのがあります。これは拡大解釈で、教員・職員による大学批判を封じる条項になりかねません。先生のように意見(異見)を自由に公にされることに引っ掛けてくるかと思います。くれぐれもお気をつけください。


投稿者 管理者 : 2005年02月10日 00:50

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