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2005年02月11日

茨城大学教職員組合、「約束違反の昇給発令の撤回を求める」

茨城大学教職員組合
 ∟●「約束違反の昇給発令の撤回を求める」(2005年2月8日)

国立大学法人茨城大学
学長   菊池 龍三郎殿
労務担当理事 丸山 彰殿

約束違反の昇給発令の撤回を求める

2005年2月8日
茨城大学教職員組合
執行委員長 深谷信夫

 別紙添付の文書(PDFファイル)によって告発されている事態は、大学(前学長)が法人化にあたって、すべての教員と職員に約束した内容に反する不当不法な行為です。すなわち、大学は、法人化はソフトランディングで行う、と繰り返して言明してきました。ソフトランディングということを、雇用と労働条件の問題でいえば、不利益変更は行わないということです。百歩譲っても、「一方的不利益変更は行わない」ということを意味します。
 職員の昇給延伸という問題は、現役員会発足前から、職員のなかで問題とされ、執行委員会へも苦情が寄せられていました。教員の場合で例えれば、4月1日付けで、講師から助教授へ昇進する、しかし給料は上がらない、翌年の1月1日付けで昇給の発令がある、ということが職員に対して行われたということです。
 まさかこのような発令をすることはないと考えてきましたから、教職員組合として行動することを差し控えてきました。しかし、もはや見過ごすわけにはいきません。法人化以降の最悪の問題であるからです。

 さて問題となる内容を列記し、発令権者である学長、当該事項の最高責任者である労務担当理事に、説明を求めます。
 第一に、今回の「新基準」(と呼べるものが存在するのかどうかわかりませんが。)について、なぜ教職員組合に対して事前の説明をいただけなかったのでしょうか。雇用と労働条件について、大学と教職員組合が協議と合意に努めることが、労使関係の大原則ではないのですか。なぜ、教職員組合を無視したのですか。それは、団結否認の不当労働行為を意味することになりますね。そのことをご理解されたうえで、今回の措置をとられたのですか。ご説明下さい。

 第二に、今回の発令は一方的な労働条件の変更を意味します。4月1日の法人化のとき、具体的な措置がとられていない以上、国家公務員時代の昇任・昇給の措置が継続されます。変更するならば、それ相応の法律上の条件を満たさなければなりません。まず、ここで不利益変更ではない、白紙状態から自主的に決定したのだ、との反論が予想されます。しかし、大学は、国立大学時代の諸規程・諸基準に「準ずる」との大学運営の姿勢をもってきました。明示的に「準じる」規定が存在しない場合でも、「準ずる」措置をとってきました。それでは、昇給基準だけ「準じない」とする確認がどこでなされたのですか。第五でふれるような適正手続きを踏んで、非準拠が確認されていませんね。その事実がない以上、かつての基準が継続されていると考えるのが当然ではないでしょうか。ご説明下さい。

 第三に、不利益変更を行う必要性の問題です。最高裁判例によれば、使用者による労働条件の一方的な不利益変更は許されず、例外的に、賃金などの中核的な労働条件の変更には、「高度の必要性」という合理性が存在する場合にのみ許される(大曲市農協事件・最高裁第三小法廷判決昭63・2・16)、ということになります。さて、今回の措置のどこに、高度の必要性がありますか。ご説明ください。もし4月に遡って昇給した場合、どのくらいの財源が必要なのでしょうか。何百万円ですか。その支出を抑えなければ、本年度の決算ができないというのですか。そんなことはありませんね。今回の措置によって削減された額を具体的にご説明下さい。
 国立大学法人茨城大学の財務が火の車であることは理解しています。しかし、今回のやり方は、あまりにも乱暴です。

 第四に、万が一に支出削減の高度の必要性が存在したとしても、その支出削減・犠牲を「物言えぬ」職員にのみ強制するのですか。根本的には、ソフトランディングといって、幻想を振りまいてきた大学役員会の責任ではありませんか。役員会がまずは役員手当一部返上など経費削減の努力をすべきです。また、本当に必要ならば、教員にも犠牲を求めるべきでしょう。しかし、教員は教授会決定通りの昇任と昇給が行われていますね。役員会も身を削り、教員にも協力を求め、そのうえで、職員にも相応の負担を求めるというのなら、まだしもですよ。
 なぜ、職員にのみ犠牲を強いるのかを、ご説明下さい。

 第五に、発令の根拠となった「規則・基準」は適法な手続きを踏んで制定されていません。人事課が、役員会が、勝手に、秘密裏に、昇給基準を作成できるとお考えなのでしょうか。それこそ、大間違いです。労働基準法違反の暴挙です。就業規則・給与規程に関連する諸規則は、法律上の就業規則と評価されます。就業規則の作成・変更には、過半数代表者の意見聴取などの適正手続きが求められます。今回そのような措置はとられましたか。とられていませんね。この作成・変更手続き違反の問題について、どうお考えなのか、ご説明下さい。

 私の試算によれば、今回の措置で支出が削減されるのは、大学財政全体から見れば、微々たる金額です。他の経営努力で補填可能な金額であるにもかかわらず、なぜこのような措置をとられるのでしょうか。
 <手にする金額>と<失われる職員からの信頼>とを秤にかけて熟考されたのでしょうか。乱暴な表現を使えば、大学役員会は、ちまちましたことをやらないでほしい、すべての教職員が納得できる堂々とした大学運営をしてただきたい、ということです。
 上記の質問にお答えいただくことよりも、発令を修正し、昨年4月に遡っての昇給の措置をとる、との回答を求めます。
 今回の事態は、労使関係と労働条件をめぐる重大問題であると考えます。したがって、この要求に応えていただけない場合は、経営協議会委員に問題を理解していただくための要請行動を行うなど、社会的に問題を訴える行動をとらせていただきます。教職員組合の存在意義が問われる問題だからです。
以上 


投稿者 管理者 : 2005年02月11日 00:37

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