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2005年02月15日

NHK受信料不払いは是か非か

日本民主法律家協会
 ∟●澤藤統一郎の事務局長日記(2005年02月14日)

NHK受信料不払いは是か非か
  

…政権与党との癒着の姿勢についてNHKに反省を求めること、NHKの現場の良心を励ますことについては異論がない。しかし、その具体的な方法や行動については、まだ必ずしも意見がまとまらない。

有力な意見として、運動としての「受信料不払い」ないし「支払い留保」の提案がある。NHKが、公共放送としての使命を自覚し政権与党からの圧力に屈せず、公平中立の姿勢の堅持が確認されるまでの受信料支払いの停止を呼び掛けようというもの。場合によっては集団訴訟も選択肢とする。最も影響力の強い直接的な市民サイドの実力行使としての具体的な方針の提起であり、実務法律家でなくてはできない運動という点でも魅力的である。

これに対しては慎重論も強い。この手法が世論の賛意を得られるだろうか、理論的にはともかく裁判所の現状で期待した判決が得られるだろうか、NHKの現場の良心を励ますことにならないではないか、という批判。そして、「不払いの激増がNHKの経営不安を現実化したときに、事態がどうなるかについて展望を有しているのか」という問いかけがある。

どうやら、公共放送というものについての位置づけや期待が人それぞれなところからの議論のもつれがあるようである。

一方に、「受信料不払いは、受信料支払いの義務化という放送法改正を招きかねない。実質的な国営放送化であり、政権与党の支配はいっそう貫徹することになる虞がある」という意見がある。無論これに対して、「国鉄・専売・電電に続いて、郵政まで民営化されようという時代に、NHKの国営化はありえない」という反論がなされている。
他方、「受信料不払いは、NHKの民営化を招くことになるのではないか。それは、NHKを愚劣な視聴率競争の列に投じることで良心的な番組作りの伝統を抹殺することになりはしないか」との心配が表明されている。この見解への賛否は、これまでのNHKの番組作りの姿勢に対する評価で分かれる。

公共放送だと政治的・権力的介入を招くことになる。民営化すれば、今度は資本の論理が障壁となる。NHKにはお灸を据えなければならない。しかし、お灸のヤケドが命取りになっても困る、という堂々めぐり。今のところ、まとまらない。21日の集会では服部孝章教授や斉藤貴男さんを招く。よく話し合ってみようということになっている。

そう言えば、日弁連の夏季消費者セミナーで、桂敬一さんのお話を伺ったことがある。「国民は、その国民のレベルにふさわしいメディアしか持てない」と言われたことを思いだす。NHK問題も、制度ではなく私たちの社会の民主的な成熟度の問題なのかも知れない。


投稿者 管理者 : 2005年02月15日 00:39

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