個別エントリー別

« 愛媛大、科研費を不適切使用 714万円返還 | メイン | 東京都・都立大:上 都庁職員ら招き公務員対策(就職力) »

2005年02月22日

研究環境、学内より企業、特許出願も重視、技術経営に関心、大学生の意識調査(5)

日本経済新聞(2/21)

 研究環境として魅力を感じるのは、民間企業が七〇%弱なのに対して大学は約三〇%――。日本経済新聞社が理系の大学生・大学院生に実施した意識調査では技術者・研究者を目指す理系学生の圧倒的多数が将来、大学よりも企業で研究開発を続けたいと考えていることが分かった。産学連携が大学にプラスに働くと答えた学生も約八五%に達し、基礎研究より応用研究に魅力を感じる学生が多いことが浮き彫りになった。
 まず大学入学時に理系学部を選択した理由を尋ねたところ、四二%が「技術者・研究者になりたいから」と回答。「理系科目が好きだから」と答えた学生も四〇・六%と二番目に多く、女子学生のみでは四六・五%と半数近くを占めて一位だった。
 将来、技術・研究者になりたいかを問うと「必ずなりたい」が三〇・二%、「機会があればなりたい」が三六・六%だった。「なりたくない」と答えた学生は六・四%で、大半の学生は卒業後も研究開発に従事することを希望している。
 研究環境として大学と民間企業のどちらに魅力を感じるかを選んでもらうと、民間企業が六八・九%で大学は三〇・二%。実際に技術者・研究者になる場合に希望する就職先でも、企業を選んだ学生が七四・二%だったのに対して大学は一四・八%にとどまった。自分で起業すると答えた学生も八・二%にのぼり、大学に残るよりも社会に出て研究開発を続けることを志望している学生が圧倒的多数だった。
 技術者・研究者として働く場合に魅力を感じる条件を十個の選択肢から三つまで選んでもらったところ、「好きな研究をできる」が七二・七%、「研究施設・設備が充実している」が五一・三%と上位を占めた。半面「研究実績がある」を選んだ学生は一三%、「有名な技術者・研究者がいる」は六・四%と少なく、就職先のブランドよりも、自分のやりたい研究を続けられるかどうかを冷静に見極めて就職先を選んでいる学生が多いことが分かる。
 講義内容への評価では、「講義・実習が将来目指す研究に役立っているか」との問いに対して「かなり役立っている」と「どちらかといえば役立っている」の合計が七三・一%。対して「どちらかといえば役立っていない」「まったく役立っていない」の合計が二六・四%で、大多数の理系学生はおおむね大学の講義に満足しているようだ。
 ただ、「大学の実験・研究設備に満足しているか」との問いには「どちらかといえば満足していない」と「まったく満足していない」の合計が四〇・六%に達し、講義内容に比べて貧弱な大学の研究設備への不満がくすぶっている。足りないと思う設備を五つの選択肢から一つだけ選んでもらったところ「理系図書館」が三二・三%、「実験室・研究室」が三〇・二%で上位を占めた。
 企業への就職を希望する学生が多いという実態を反映してか、大学と産業界との連携に対しても肯定的な意見が目立った。「産学連携が大学にとってプラスに働くと思うか」との問いには八五・五%と圧倒的多数の学生が産学連携を支持した。ただ、実際に民間企業との共同研究にかかわっている学生はわずか一二・六%だった。
法人化など波及
 「大学の研究は特許出願と論文提出のどちらを重視するべきか」との問いに対しては「論文提出」が五五・一%だったが、「特許出願」を優先した学生も四三・五%にのぼった。昨年の国立大学法人化などで、大学は学界で重視される論文だけでなく、研究成果の実用化につながる特許出願や技術移転などに力を入れ始めている。こうした意識の変化が学生にも波及していることがうかがえる結果になった。
 技術と経営の双方に精通している人材を育てるMOT(技術経営)に対しても多くの学生が関心を示している。大学にMOT講座が必要かどうかの問いには「絶対に必要」「どちらかといえば必要」の回答が合計で八七・七%に達し、「まったく必要でない」はわずか一%だった。男女間の意識の差も目立ち、「絶対に必要」と答えた学生は男子で三二・二%だったのに対して女子では一五・八%にとどまった。
 ただ、実際に大学で開かれているMOT講座に満足しているかを尋ねたところ「どちらかといえば満足していない」「まったく満足していない」が合計で六七・二%に達した。「満足している」と答えた学生は三・八%。多くの大学が力を入れている割には学生の満足度は低く、大学でのMOT教育はまだ手探りの状況にあることをうかがわせている。

投稿者 管理者 : 2005年02月22日 00:53

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi311/mt/mt-tb.cgi/705

コメント