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2005年03月08日

広島大学長選、意向投票が8日から

時流 問われているのは―広島大学長選 研究・教育 欠かせぬ両輪

中国新聞(3/06)

時流
問われているのは―広島大学長選

研究・教育 欠かせぬ両輪
 法人化された広島大の学長選考を左右する、学内の意向投票が八日から始まる。教職員三千百余人、学生・大学院生一万五千二百余人、新年度の総予算は六百十八億二千万円余。中四国地方で最大規模の教育研究組織の行方は、若年人口の吸引から学術振興まで地域の浮沈にもつながる。学長選から浮かぶ広島大の現状と課題を探る。(編集委員・西本雅実)
 「本命なき選挙戦ですね」。学内の動向に詳しいベテラン事務長は簡潔に見たてた。昨年四月からの法人化に伴う改革が各学部・大学院研究科などを揺さぶり、どこも不満があるというのだ。
効率・競争の波
 国立大の法人化(八十九校)は、文部科学省によれば「民間的発想の経営手法を導入し、国際競争力のある大学づくり」を目指す。大学運営を同省の事前指導から各大学の裁量に委ね、学長職の権限を強化した。
 同時に国からの運営費交付金は、教育研究費や大学設置基準外の人件費について毎年1%削減する(国立大学法人支援課)。広島大でいえば交付金が収入の半分近くを占め、削減の影響は大きい。さらに各大学が提出した六年間に及ぶ「中期計画」を、第三者機関が到達度を評価し交付金の配分に反映していく。
 言い換えれば民間では至極当然の効率化や、競争原理にさらされた。
交錯する利害
 東広島キャンパスを回ると、教授も不満を口にする。なぜなら講座ごとの予算配分が変わったからだ。研究費は教授といえども文系三十万円、理系六十万円が配分の基礎となり、研究計画の内容や教える学生数の多寡などで積み上げられる。
 文系の教授は「大学院の学生を増やさないと学会への旅費も書籍購入もままならない」とぼやけば、理系の教授は「地味な基礎分野の研究がないがしろにされている」と語気を強めた。
 ところが、経営に当たる役員会(学長、七人の理事・副学長で構成)のメンバーは「予算や人員の改変は制約がある」という。戦後に八校を包括・統合して創設、拡大された経緯を引きずり、各学部・研究科ごとの利害がふくそうする。学長選とて例外ではない。
 今回の投票対象者となった七人は、同じ理学部から出た現職の学長、理事・副学長、文学、社会科学、工学の三研究科長、医学部長、教職員組合委員長でもある生物圏科学研究科の教授。
 学内の電子掲示板に載る各候補の「抱負」をみると、新たな対応や方向性を説きながらそれぞれの立場や所属先の意向もにじむ。冒頭の事務長が「本命不在」とみるゆえんでもある。
科研費は8位
 広島大は法人化に伴い「世界トップレベルの総合研究大学」を到達目標に掲げる。実力を示す科学研究費補助金の採択は二〇〇四年度で八百四十二件・約二十四億円と全国八位。〇六年度には総合科学研究科(仮称)を設置する。
 一方、志願者は今春の入試は増加をみたが、この十年、他の競合大学と比べても高い減少率にある。学部の教育は大学評価・学位授与機構から「改善の必要がある」と判断された。
 改革が研究環境の整備にとどまっては大学の発展とはいえない。質の高い教育と研究を両輪のごとく推し進める仕組みを構築する。それが世界レベルかつ地域の負託にこたえる「国立大学法人広島大」に問われている。
クリック 学長選考と広島大
 国立大学法人法は学長の選考を「学長選考会議により行う」と定める。広島大は、学外有識者でつくる経営協議会と大学院研究科長・学部長らの教育研究評議会から選出された委員10人で構成。議長は元立命館総長の大南正瑛氏。今回は候補7人を対象に、8日の第1次意向投票で3人に絞り、10日に第2次投票。14日の学長選考会議で結果を踏まえて最終決定する。投票の有資格者は副課長相当職以上の事務職員らが加わり、1次は1799人、2次は助手を除く1321人。任期は1期目は4年、再任時は2年。


投稿者 管理者 : 2005年03月08日 01:31

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