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2005年03月03日

横浜市立大学教員組合、「有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!」

■横浜市立大学教員組合週報/組合ウィ-クリー(2005.3.2)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月2日)
学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)

最新日誌(3月2日)より

教員組合から本日付の週報が届いた。多くの教員に、現状では任期制への同意をしないことを勧めるものであり、不当な圧力に屈しないためには、教員組合に委任状を出すことを提案し、呼びかけている。

2月28日の教員説明会で、ある教員が外国の過去の事情などもあげながら、「大学の教員は強そうに言っていても、非常に弱くもろい」といっていた。まさにそうだと思われる。たくさんのひどい労働問題・労使関係を知っている吉田さん(香川大学)は、まさに「脱出」したではないか。精神的に奴隷化されることの危険性に敏感な吉田さんのHPをよく読んでみる必要があろう。

研究教育に没頭することだけを希望してこの道を選んだものが圧倒的多数のこの世界において、当局(さまざまな意味での財力・権力などをもつもの)に対して、きちんと対峙できるような百戦錬磨の闘士がいるわけがない。

いや、憲法の保障する「学問の自由」、「大学の自治」は、まさに真理探究を主眼としている大学教員が行政的(本学の場合で言えば市当局)な圧力におびえなくてもいいように保障しているものであろう。それは、個々の教員が弱いことを踏まえた上で、そうした弱みに「力」を持つものがつけけ込んではならないことを求めているものであろう。以下、委任状に関するニュースを掲げておきたい。

「そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身ではありません。」とあるが、まさに、現在、大学自治の根幹に関わる部分で、それが破壊される危険性がある。人事の問題、教員評価の問題は、一体誰が行うのか? すくなくとも、この間、新規採用の人事においては、教授会審議は行われていない。新しい法人の人事であり、現在の教授会は関係ないからだ、といった論理で押し通している。

はたしてそれは、妥当か?深刻な問題を抱えているのではないかと考える。新規採用と同じことが、昇任等で行われるとどういうことになるか? 学問の教育研究に素人の人間が決定権を握るようになる可能性がある。そうしたシステムとなっているのではないか?

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横浜市立大学教員組合週報/組合ウィ-クリー(2005.3.2)

もくじ
●有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!
●委任状について
●当局第2回教員説明会
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●有期雇用契約(任期制)に 同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!

任期制教員となって、もしも再任されない場合、裁判で勝てるか?
 「普通にやっていれば再任される」と当局は言っていますが、「普通かそれ以上」でも再任されないことがあります。任期制とは、例えば任期5年の場合、法的には「5年間は雇います。その後はそのときまた考えましょう」というものです。任期制は基本的に、任期の終了時、使用者は自由に労働者を解雇(=再任拒否)することができるのです。
 そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身ではありません。また、「普通にやっている」と判断されたとしても、次の中期計画などで、その分野やコースあるいは担当科目が大学として不要だということにされてしまうと、再任されない可能性が大いにあります。教員が任期中にノーベル賞をとったとしても、このような事情で再任されない恐れもあります。
 再任されなかった場合に、労働者側が裁判で勝てるという保障はないのです。

任期制に同意しないことこそ、「普通にやっていればクビにならない」ための条件
 任期制に同意しなければ、自動的に「期間の定めのない雇用」となります。この場合に使用者が労働者を解雇することについては、労働法制上極めて厳しい条件が付いていますので、こちらの方こそが「普通にやっていればクビにならない」労働契約です。
 任期付教員にならない教員、つまり「期間の定めのない雇用」の教員は、「任期に同意した教員」と比べて不利益な扱いを受けるのではないか、と心配する人もいるかもしれません。しかし、両者の間で労働条件に差をつけると法律に触れるので、そういったことはできません。今回の説明会で、同意しない人とした人とを勤務条件(労働条件)で差別できないことは、当局も認めています(3~4面に関連記事)。
 何より重要なことは、任期付の契約に同意しないことです。つまり任期制教員になることを拒否し続けることです。任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、われわれ教員は有利になります。
 また、任期制に同意しないで期限の定めのない雇用になったからといって、昇給がないということにはなりません。法人化以降、すなわち4月1日以降、われわれ横浜市立大学の教員は公務員ではなくなります。公務員の場合、労働条件は市の条例で定められますが、法人化以降は、労使間の交渉によって決まります。民間企業の組合がストを構えて春闘を行うのと同じです。
 任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、そして教員組合の組合員数が多ければ多いほど、まともな労働条件で働くことができるのです。

組合に委任状提出を!
 「普通にやっていれば再任されるのだから、任期付契約に同意して下さい」とか、「任期付教員にならないと、研究費の面で不利益になりますよ」などと圧力をかけられるおそれがあります。
 このような不当・違法な圧力をはね返すために一番良いのは、教員組合に委任状をあずけることです。当局や「上司」に対して、「この件については、組合委員長に委任してありますから、回答できなせん」と言うのです。ぜひ、委任状を提出して下さい(下記参照)。

●委任状について

 労働条件、特に任期制に関する合意について組合に委任しましょう
 組合は、本学のすべての教員に、労働条件、特に任期制に関する合意について、執行委員長、中西氏に委任することを呼びかけます。委任状を提出しましょう。

非組合員の教員についても、委任状を受け付けます
 組合員各位には、非組合員の教員への呼びかけもされるようお願いします。

提出方法
 委任申込用紙とご案内は、すでに各組合員のもとに届いているはずです。
 委任状の提出は下記の方法のいずれかで行なってください。
  1 組合事務室に持参する
  2 組合事務室に、郵便、宅急便もしくは庁内便にて送付する
  3 最寄りの執行委員に預ける
 ご提出後、1週間程度で、委任状のお預かり証をお届けします。
 執行委員長と執行委員会は、責任をもって委任状を受けます。誰が委任したかについては秘密を厳守します。
 お問い合わせは、本号4面の連絡先までお願いいたします。

●当局第2回教員説明会

 先月24日、25日、28日、福浦、浦船、金沢八景の各キャンパスにおいて、当局によって、労働条件に関する第2回の教員説明会が催されました。おもに松浦大学改革推進本部最高経営責任者(副理事長予定者)と福島大学改革推進担部長から説明がありました。
 当局の説明とそれに直接関連する質疑応答において明らかにされたのは、おもに以下の点です。組合のコメントを括弧で示します。
 当局案全体についての論評と要求は、あらためて別に発表します。

当局のスケジュール
・4月1日より、任期制・年俸制・教員評価制度を導入する。
(当組合との交渉も本格的に行なわないで導入を一方的に決めるのは、不当であり、脱法行為です。)
・新法人に移行したくない者はなるべく3月4日までに、退職を申し出てほしい。
(同上。)

任期制
・任期制については個人の同意が必要であり、3月4日以降ないし3月中旬に手続きに入る。
(同上。)
・任期制を拒否する教員についても、雇用を継続し、期間の定めのない雇用とする。
労働条件の不利益変更は行なわない。
(当然です。そうでなければ違法です。)
・ただし、任期制を受け入れない教員については以下のような格差を設ける。
  1 裁量労働制を導入しない
  2 昇任がない(28日にはじめて言い出しました。24、25日には触れていません。)
(きわめて重大な不利益変更であり、不当、違法であるとともに、当局の上の言明と矛盾します。)

教員評価制度
・教員評価制度を年俸制、再任審査に連動させる。得点は5段階の相対評価により決める。
(全員頑張ると「普通に」、あるいは一生懸命に働いていて高い成果を得ても最低の評価になりえます。)

年俸制
・給料相当分(全体の6割程度)を任期期間中固定とする。再任時に見直す。ベースアップ、経済状況にみあった変化はありうる。
(昇級の保障はなく、減給になる可能性もあります。)
・職務給・職務業績給(4割程度)を評価に基づいて変動させる。変動幅は10%、すなわち全年俸の4%程度。
(同上)
・17年度分の年俸は、16年度のものに、定期昇給分を加味したものとする。

兼業制度
・兼業に従事する時間は、「法人の利益に資するものとして」特に理事長が認めた場合を除いては、賃金を減額、または報酬を法人に納付させる。
(何が「法人の利益に資するもの」なのかの客観的基準の有無、それを決定する権限が理事長にあってよいのかが問題です。)

過半数代表
・就業規則決定のために、労働者側からの過半数代表の選出が必要である。
 (当組合も準備を進めます。)

 その他、勤務時間制度、退職手当などについて説明と質疑応答がありましたが、ここでは割愛します。

当局の姿勢、改革失敗の責任追求
 さらに質疑応答では、改革において教員のみが痛みを負い、当局側が痛みを分かち合おうとしない姿勢、一方で教員に責任を負わせ、他方で教員管理を強化することの不当性が糾されました。
 当局の応答は、論点を回避するものでした。
 また、今回の改革全体について、入試志願倍率のいちじるしい低下をみても、客観的に失敗であるとの判定が下ったのであって、改革担当責任者の事務職員・教員は、責任を取るべきであるという、正当な主張と追求が教員の側からなされました。
 当局側は、個々に今後の業績いかんでは責任を取るという明言する者はいたものの、入試制度の不備を挙げるなど、論点をすりかえ、現時点で責任を取るとは述べませんでした。
 あらためて、教員・学生・一般職員の声と合意形成を無視した、上意下達型の一方的改革の無責任体制ぶりが明らかになったと言えるでしょう。


投稿者 管理者 : 2005年03月03日 00:48

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