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2005年03月04日

「日の丸・君が代」強制反対、生徒・保護者の「内心の自由」の保障を明確にすることを求める声明

俵のホームページ
 ∟●「日の丸・君が代」強制反対、生徒・保護者の「内心の自由」の保障を明確にすることを求める声明(2005年2月28日)

「日の丸・君が代」強制反対、生徒・保護者の「内心の自由」の保障を明確にすることを求める声明

東京都教育委員会(都教委)は、都立高校の卒業式を前にした2月の校長連絡会で、「学習指導要領に基づいて生徒を指導すること」を盛り込んだ「個別職務命令」を教職員に出すよう口頭で指示しています。このことはきわめて重大な事態と考え昨年12月の900名近い賛同署名を添えた要請に続き、「日の丸・君が代」強制反対、生徒・保護者の「内心の自由」の保障を求める緊急の再要請を2月16日に行い、回答を求めました。しかし、都教委は「『日の丸・君が代』の問題については、賛否両論あり、個別の回答は差し控える」などとして、回答を拒みました。

都教委は、職務命令で「生徒を指導すること」をすべての教職員に義務づけたうえで、「生徒の不起立」を「教職員の不適切な指導」に直結させて教職員を処分するというやり方を通して、すべての子どもに「立つこと・歌うこと」を強制して、生徒の「内心の自由」を押しつぶそうとしています。
 昨年10月20日の都議会会計決算特別委員会で、都教委の近藤指導部長は、「自分の意志で起立斉唱しない生徒に心理的強制あるいは不利益があってはならない」との確認質問に、「そのとおりでございます」と答えています。また教育長は、「あくまでも教育指導上の課題として指導をすすめていくものであり、児童・生徒の内心にまで立ち至って強制しようとする趣旨のものでない」と関係組合に述べています。
賛否両論あるなどを理由に、多くの都民の注視している中、生徒の思想・良心に関わる問題で、「回答しない」との態度は、教育行政の責務を放棄するもので、許せるものではありません。

いうまでもなく、国旗・国歌に対する態度は憲法で保障された思想・良心の自由にかかわることがらであり、生徒への一方的な強制は、「国旗・国歌法」制定時に「義務づけを行うものではない」とした政府答弁からも逸脱しています。学習指導要領は教育内容の「大綱的基準」を示すものであり、教育内容の細部にいたる法的拘束力をもつものではありません。最高裁学力テスト判決も学習指導要領が強制にわたる場合は違法性が生じると判示しています。学習指導要領よりも上位の法律である学校教育法では、「教育の目標」を「自主及び自律の精神を養う」(小学校)「公正な判断力を養う」(中学校)「健全な批判力を養う」(高校)と定めています。「自主・自律の精神」「公正な判断力」「健全な批判力」は強制によっては育たないことは明白です。都教委の「10.23通達」及びそれにもとづく生徒への強制は、この学校教育法に違反することは明白です。もちろん、憲法・教育基本法や子どもの権利条約などが定める教育や人権に関わる諸原理にてらせば、都教委の強制に一片の理もないことは明らかです。
 都教委には、児童・生徒及び保護者に対して、「内心の自由」があることを事前に説明する責任があることは自明のことです。
 明日から都立高校の卒業式が始まります。私たちは、これまで各学校が自主的に創りあげてきた卒業式を「命令」と「強制」の場にかえ、教職員を処分することに反対するとともに保護者、生徒をはじめ、式の参加者すべての「内心の自由」が守られるよう訴えるものです。
 下記のことをあらためて都教委に強く要望し、「日の丸・君が代」強制反対、生徒・保護者の思想・良心の自由を守るため私たちは、今後も努力していきます。


1.生徒への「日の丸・君が代」強制を教員に義務づける職務命令を出すよう求めた指示を撤回すること。
2.生徒が起立しなかったことをもって、その「結果責任」を問い、教職員に対して、「厳重注意」や処分などを行わないこと。
3.卒業式・入学式などで、「内心の自由」について、生徒、保護者に東京都教育委員会が責任を持って説明すること。

2005年2月28日

 勝野 正章(東京大学)    小森 陽一(東京大学)
 斎藤 貴男(ジャーナリスト) 俵 義文(立正大学)
 成嶋 隆(新潟大学)     西原 博史(早稲田大学)


投稿者 管理者 : 2005年03月04日 01:23

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