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2005年03月04日

工科大学長問題 理事会、調整役が不在

高知新聞(3/03)

 高知工科大理事会が投票で再選を決めた岡村甫学長(66)の任命を、理事長の橋本大二郎知事が拒否している問題が混迷の度を深めている。任命拒否の表明から3日目を迎えた2日も打開の糸口は見えないまま。橋本知事の強硬姿勢にどう対処するのか理事会の対応が注目されるが、具体的な動きはない。しかし理事の間では知事の理事長としての進退を問う声も出始めており、問題が一層複雑化する恐れもある。

 「無理がある」

 同大理事会の理事は現在、橋本知事や岡村学長のほか、学内教員や県内外の産業界関係者ら12人。同大学長の選任は規定で「理事長が候補者を選考し、理事会の議を経て理事長が任命する」となっている。

 今回、理事会は岡村学長と米沢富美子・慶応大名誉教授(66)を候補者として郵便投票を実施し、その結果を理事会の議決とすることを2月11日の臨時理事会で決定。同28日の開票で、大差で岡村学長が再選された。

 ところが、米沢名誉教授を推す橋本知事は同日夕、岡村学長を「任命できない」と拒否。任命行為は形式的なものではなく、「実質的な意味合いもあると受け止めた」とし、岡村体制では「大学がいい方向に進むとは思えない」と主張した。

 この言動に大学は混乱。学内の理事は一様に、「事務手続き上、主張に無理があるのは承知している」と自ら認めた上での知事の強硬姿勢に疑問を投げ掛ける。

 知事と岡村学長を除く10人のうち6人が取材に応じた。

 工科大総合研究所の水野博之所長は「新しい大学をつくろうという情熱は買うが、強引な手法には非常に無理がある」と指摘。坂本明雄工学部長は「ショックだ。任命拒否ができると解釈するとは思いもしなかった」。寺田浩詔副学長は「一方的な情報に基づいて行動されたように思う。大学の実態を公平に判断していない」と批判する。

 一方、米沢名誉教授を推す武藤信義副学長は「手続き上は懸念があるが、そういう手法を取った背景に目を向けざるを得ない。十二分に議論し、よりよい方向を見いだす努力をすべきだ」と話す。

 大学事務局は任命拒否の正当性について1日、同大の顧問弁護士に相談。事務局によると、同弁護士は「規定にある理事長の任命権は形式的なもので、理事会の議決があれば任命すべきだ」との見解を示したという。

 また同大では、幹部を除く教職員も学内で協議の場を持つなど岡村擁護で結束を固めつつある。

 「あるまじき行動」

 そんな中、学外理事による調整が期待されるが、動きは至って鈍い。

 創立時からの副理事長で、宮地貫一・衛星通信教育振興協会顧問は「早急に知事に会って真意を確かめたい」とするが、県議会の質問戦のさなかということもあり、面談のめどは立っていない。

 渡辺五郎・森ビル特別顧問は「米沢名誉教授を推している」と立場を明らかにした上で、「(結果は)敗北だが、今回は名誉ある敗北でいい。知事と岡村さんで話をし、いいバランスを取ってほしい」としている。

 知事の強硬姿勢に具体的な動きを見せない理事会に、元理事は「今の理事会では積極的な解決は無理。間を取り持つ人も見当たらない。知事が次のカードを出さなければ収拾方向は見えてこないだろう」と指摘する。

 橋本知事は大学創立時から理事長だが、規則上は理事、理事長とも知事の充て職ではない。このため「橋本知事がこのまま任命拒否を続ければ、知事自身が理事会から追い出される」との声も。

 無論、「公設民営の大学なので、理事長は知事であるべきだ」との声も強いが、寺田副学長は「職権乱用で理事長にあるまじき行動。十分な責任を感じてもらい、理事長としての進退を考えてほしい」と訴える。

 次回の理事会(3月25日予定)では、新理事の選任も予定されている。橋本知事は記者会見などで、理事の入れ替えを含めた抜本的な理事会改革の必要性を強調しているが、理事の動向次第では、知事自身が理事にも選出されない可能性もゼロではない。


投稿者 管理者 : 2005年03月04日 01:26

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