個別エントリー別

« 日本私大教連、『月報私学』掲載記事をめぐり、日本私立学校振興・共済事業団へ抗議・要請 | メイン | 日本政府、国連・社会権規約第13条2項(c)の留保問題 「総合的な観点からまだ考えておらない」 »

2005年03月14日

日本私大教連、改正私立学校法の施行にともなう寄附行為変更をめぐって文科省へ要請

日本私大教連
 ∟●改正私立学校法の施行にともなう寄附行為変更をめぐって文科省へ要請

改正私立学校法の施行にともなう寄附行為変更をめぐって文科省へ要請

 改正私立学校法施行にともない、各学園において寄附行為変更が本格化しつつありますが、いくつかの学校法人では私立学校法改正の趣旨を誤解あるいは曲解して、寄附行為の改悪ともいえる変更を強行する動きが現れています。
 日本私大教連はこうした状況も踏まえ、3月10日、寄附行為変更をめぐって私立学校法改正の趣旨をあらためて周知徹底することなどを文科省に対して要請しました。
---------------------------------------
(要請書全文)

文部科学大臣
中山 成彬 様

日本私大教連
(日本私立大学教職員組合連合)
中央執行委員長 今井 証三

寄附行為変更に係わる文部科学省の対応に関する要請

 私たちは去る1月17日、学校法人が寄附行為を変更する際に、私学法改正の趣旨を尊重するよう徹底する旨、貴省に申し入れを行いました。
 その際、私学法改正にともなう寄附行為変更の審査においては、形式的に法令に適合しているかどうかのみをチェックし、法改正の趣旨に照らして望ましくない点があってもこれを容認するとの説明がなされました。しかし、この貴省方針は到底首肯できるものではありません。
 私学法の一部を改正する法律案の国会審議では、その趣旨である「私立学校の公共性をより高める」「学校法人の管理運営制度の改善を図る」観点から、全会派の議員より法案の不十分な点が指摘され、真剣な審議が行われました。その中で文科省は、「改正の趣旨の徹底をはかってまいりたい」「何より運用こそが大事」と繰り返し答弁し、衆参両院の附帯決議でも「本法の趣旨・制度の内容等について十分周知し、その理解と努力を促していくとともに、改善の状況についての検証を行うこと」と謳われています。
 私たちは、今次改正が真に私立学校の公共性を高めることに資するものとなるよう、大学法人・短大法人の寄附行為変更に際して、貴省が学校法人に対し、あらためて改正の趣旨を徹底し、望ましくない点についてはこれを是正させるよう努めるべきであると考えます。またそうした立場から、下記の点について強く要望するものです。

1.理事会の位置づけについて
 改正によって理事会が最高の意思決定機関となったと誤解あるいは曲解する学校法人が散見されます。あろうことか、日本私立学校振興・共済事業団発行の『月報私学』(第85号「新春座談会・スクールガバナンスの新時代」)に、理事会が最高の意思決定機関と法律上明確に定められたとする記事が掲載されていることをとってみても、このことは放置できない重大な問題です。
 今次改正が、理事会に特別の権限を付与するものではないことを周知徹底し、誤解・曲解があればそれを正すよう要望します。
2.理事長の解任規定について
 今回の寄附行為改正において、理事長を特定の寺院の住職と定める(以下「充て職理事長」という)文部科学省所轄の学校法人があります。私たちはこの件について、是正するよう指導することを文部科学省の担当部局である高等教育局私学部私学行政課企画係に申し入れをしましたが、この件に関する担当部局の見解は、以下のようなものでした。
(1)改正された私立学校法第30条第1項第5号の解任に関する規程は、役員(理事と監事)の解任について求めたものであり、法令違反とまでは言えない。
(2)しかし、私立学校法改正の趣旨に照らし、好ましいとは言えない。
(3)「学校法人運営調査」では指導するが、今回の寄附行為改正の審査では、一切問題にしない。
 学校法人寄附行為作成例(2004年7月13日大学設置・学校法人審議会学校法人分科会決定)では、理事長の選任・解任について「理事のうち1名を理事長とし、理事総数の過半数の議決により選任する。理事長の職を解任するときも、同様とする」(第6条第2項)と定めています。私たちは、当該法人の理事会、評議員会がまったく関与できない「充て職理事長」の規定は、私立学校の公共性を高めるという今回の私立学校法改正の趣旨に反するものと考えます。
 私たちは、こうしたケースについては、法令違反ではないとしても、寄附行為改正の審査段階で明確に指摘し、改善を要請するよう強く求めます。また、理事長の選任・解任規定を定めるよう徹底することを要望します。
3.寄附行為変更の期限について
 いくつかの学校法人は、法令等により寄附行為は今年度中に改正しなければならないなどと主張し、学内諸機関での検討や、教職員の意向の反映を保障せずに、短期間のうちに寄附行為の変更を強行しようとしています。
 そうした法人の中には、先に上げたように私学法改正に乗じ、法の趣旨・目的を故意に歪めてとらえ、理事会権限の強化などを目論むものもありますが、一方で、改正された私学法附則に対する不理解や誤解から寄附行為変更の期限について混乱を生じている場合も散見されます。
 各学校法人において寄附行為の変更が本格化するにあたり、あらためてその期限を周知するよう要望します。
以 上


投稿者 管理者 : 2005年03月14日 00:29

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi311/mt/mt-tb.cgi/861

コメント