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2005年03月14日

日本政府、国連・社会権規約第13条2項(c)の留保問題 「総合的な観点からまだ考えておらない」

意見広告の会ニュース 号外36より一部転載

162・参・予算委員会・7号 2005年3月8日

○小林美恵子君 学費の高騰が子供たちの大学進学を断念せざるを得ない、そういうことに陥っているということを私は指摘を申し上げたいというふうに思います。
 それで、こうした日本政府の態度といいますか、これは国連からも勧告を受けていることがございます。この点について、まず外務大臣にお聞きをします。
 一九七六年発効した経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約第十三条二項(c)、ここにどういうことが書かれてあって、日本はどんな態度を取り、国連からどういう勧告を受けているか。
 続いて、外務大臣にそのことをお答えいただいて、そして官房長官に、続きまして、一九八四年、衆参の文教委員会で留保の解除の検討を求める附帯決議がされています。国連にも二〇〇六年六月には日本政府として報告が求められています。これにどういう態度を示すのか、このことをお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(町村信孝君) A規約の十三条の、どこでしたっけ、二の(c)、高等教育は、すべての適当な方法により、特に無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会を与えられるものとするということでありまして、これについては、日本はこの部分については留保をしております。
 二〇〇一年八月に、このA規約委員会が示した最終見解において、日本に対してこの留保の撤回を検討することを求める旨の勧告がなされております。これに対して、これは日本の文教政策の在り方と関係を慎重に検討する必要があるということで、今後検討をしていくということでございます。

○国務大臣(細田博之君) 国によって、これを留保しているアメリカのような国がございますし、やや、イギリスなどはこれを受け入れたわけでございますけれども、やはり自己負担もすべきだというような考え方に変わりつつあるところもございます。
 まあ、いずれにいたしましても、それぞれ国民所得自体が上がっているということもございますから、負担力のある方には負担していただくことが適当であると思いますし、また負担力の乏しい方が奨学金制度とかさまざまな制度を活用するというような柔軟な、柔構造的な運用をして、誰にとっても高等教育を受ける機会が確保されるように施策を講ずべきであると思っております。現時点ではこの留保の撤回というのは、それぞれ今も申し上げたような総合的な観点からまだ考えておらないのが実情でございます。

○委員長(中曽根弘文君) 時間でございますので、おまとめ願います。

○小林美恵子君 先ほど、外務大臣は検討していくというふうにおっしゃいました。これは私は大事なことだどいうふうに思います。同時に、官房長官は柔軟なふうに対応していくというふうにおっしゃいました。私は、やっぱり日本の将来を担う若者が経済的理由で教育の機会を奪われないように、家計への高負担を軽減することこそ国民に責任を持つ政府の役割だというふうに思います。
 こうした国連の勧告、国連の規約を留保している国は、百五十一か国中、日本を含めわずか三か国です。ですから、ここもしっかり解除を検討に踏み込んでいただいて、国立大学学費の値上げの撤回と私学への助成を増額することを再度求めまして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。

[国連・社会権規約第13条2項(c)の留保問題(2006年問題)について]
大学評価学会・国連社会権委員会2006年問題特別委員会、文部科学大臣河村建夫宛 「『2006年問題』に関する文部科学省への要請書」を提出
大学評価学会「2006年問題特別委員会」、12月6日国際人権活動日本委員会・外務省との懇談・要請についての報告(2005年02月07日掲載記事)
日本私大教連、国際人権規約・高等教育無償化条項の留保撒回を!(2005年02月28日掲載記事)

投稿者 管理者 : 2005年03月14日 00:31

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