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2005年04月25日

学外委員調査―協議会、影響力に限界

日本経済新聞(2005/04/22)

予算への意見反映、「不十分」半数超す
 法人化で国立大の意識改革は進んだが、学外の声を経営に反映させる場である「経営協議会」の影響力には限界を感じるようになった――。この一年間、各大学の運営にかかわった経営協議会の学外委員に対する調査で、過渡期にある国立大の姿が浮かび上がった。一般的な経営事項は、六割の学外委員が協議会の意見を十分反映したと答える一方、予算関連に限ると半数以上が「反映していない」または「事前説明さえない」と指摘している。(1面参照)
 経営協議会は学則、予算など大学経営の重要事項を審議する。審議の結果が経営に反映されたかどうかを聞いたところ、六〇・一%が「十分反映された」と肯定。しかし二四・三%が「あまり反映されなかった」としたほか、「(重要事項が)ほとんど協議会の議題に上らなかった」との回答も九・四%あり、合わせて三分の一の学外委員は協議会の運営に不満を持っていた。
■説明なし21%
 審議時間が十分だったかについては肯定五二・五%、否定四四・九%と評価が割れた。肯定派は「審議結果が経営に反映された」と考える委員が八割強を占めるが、否定派では「反映されなかった」と考える委員が四割強と多数を占めた。
 経営事項の中で、特に重要な国への概算要求や予算編成については二一・四%の委員が「大学当局から事前に説明がなかった」と回答。「事前説明はあったが、協議会の意見は十分反映されていない」とした三二・八%も合わせると、五四・二%の委員が協議会は予算案件との関連で役割を果たしていないとしている。
 「学内慣行の踏襲が目立つ」とみる委員の割合は三八・七%で、前回調査より五・八ポイント上昇。自由記入欄には「学長周辺と一般の教職員との間で、改革への意識にギャップがある」との指摘や、「協議会は形式的に必要なときに開かれ、重要な場面では開かれない」と開催のタイミングを疑問視する声があった。
■法人化は評価
 この春、ほとんどの国立大が値上げした授業料についても委員の三二・六%が「大学の方針決定後に協議会で説明があった」とし、二・九%は説明自体なかったとする。協議会で対応を決めたのは三四・六%、協議会で話し合ったが決定は大学側に委ねたのは二六・四%だった。
 「この一年間、大学は積極的に内部情報を提供してきたか」との問いには「そう思う」「どちらかというとそう思う」の合計が八八・三%と、全体として大学当局の姿勢を評価。ただ自由記入欄には「議題について事前説明してほしい」「資料が多く内容が分かりにくい」といった“苦言”も散見された。
 大学改革の仕組みとして、法人化を「評価できる」とした委員は七七・四%で、法人化三カ月後に行った前回調査から五・四ポイント減った。逆に「評価できない」は二一・一%で六・三ポイント増えた。

【表】自由記入欄の主な意見  
▽大学への意見・要望  
  ○執行部や学長周辺と一般教職員で改革への意識にずれがある
  ○改革に前向きな学長を選任するため、学長選考会議の過半数を学外者とすべきだ
  ○協議会専従の事務局を設けて資料提供や問い合わせに応じてほしい
▽文部科学省への意見・要望  
  ○裁量が広がった部分もあるが現実に大きく変革することは困難。運営費交付金の削減でいずれじり貧に
  ○依然として国の影響が大きく、経営といえるだけの議論ができない
  ○大学関係者のほとんどが文科省に顔を向けている。国も意識改革を
▽学外委員が経営協議会に独自に問題提起したテーマ  
  ○競争入札や外部委託の活用、土地や施設の有効利用
  ○部局別コストの明確化、付属病院への管理会計導入など財務改革
  ○障害を持つ学生の受け入れ
▽現在最も重要な議題  
  ○学長選考のルールづくり
  ○外部資金導入など収入確保策
  ○付属病院経営の改善
  ○教職員人件費のスリム化


投稿者 管理者 : 2005年04月25日 00:00

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