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2005年04月08日

国立大法人化1年 キャンパスは今 <中> 教育 生き残りかけ質向上 教員多忙化案じる声も

中国新聞(2005/04/06)

 三日、東広島市の広島大で入学式があった。教育、学生担当の高橋超副学長は、新入生や保護者たち約五千人を前に講話の冒頭で、民間の教育研究機関がまとめた大学ランキングを取り上げた。
 「学生が後輩や弟、妹に入学を薦めるかどうかで、広島大は全国の国公私立大で六位です。学生の満足度で高い評価を得ています」
学生は漠然
 国立大法人は第三者の評価を受ける。教育面も六年間の中期目標と計画の実施状況を独立行政法人の大学評価・学位授与機構が評価し、文部科学省が次期の運営費交付金に反映する。補助金獲得状況などで順位付けできる研究面に比べ、大学の教育力は分かりにくい。学生アンケートに基づいた民間ランキングは参考になる。
 その学生は法人化をどう感じているのか。入学式直後、部活動の勧誘に忙しい三、四年生十人に聞いた。「大学のマークができた」「『挑戦』『行動』とかのポスターが目立つ」…。十人とも法人化を知っていた。
 「休講が減った気がする。よりしっかり教育してくれるようになったのかも」と教育学部四年女子。学生が感じるメリットは漠然としていた。
 高橋副学長は「法人化でドラスチックに教育は変わらない。社会や環境変化の中で改革を進めている」と説明する。広島大は二〇〇六年度、到達目標型の教育プログラム制を導入する。
 工学部は独自に日本技術者教育認定機構(JABEE)へ申請中。プログラムが認定されると、卒業生は一定の国際水準を満たした技術者として評価される。島根大総合理工、生物資源科学の両学部も申請を進める。
 山口大工学部の一学科と、鳥取大工学部の三学科はすでに認定を受けた。「山陰の大学は努力しないと学生を関西にとられる」と鳥取大の副井裕学部長。少子化が進む中で危機意識を募らせ、生き残りをかけて教育の質向上を図る。
独自に援助
 学生サービスでも大学が独自色を打ち出し始めた。山口大は本年度、国立大法人で初めて「特待生制度」を導入。前後期ごとに各学部二人の成績優秀者を選び、次期の授業料を免除する。島根大も地場銀行と協力して「授業料奨学融資制度」を設け、在学中四年間の利子を大学が負担する。
 改革の中で、岡山大は「教員個人評価制度」を〇四年度から本格実施した。教育、研究、社会貢献、管理運営の四分野で教員が自己申告し、大学は評価結果を給与や待遇に反映する。ただ、教育に関しては「自己評価の基準が難しい」「学生におもねり人気を得る教育は正しいとは言えない」との戸惑いも多い。
 広島大教職員組合の佐藤清隆委員長は法人化による教員の多忙化を指摘する。「事務が増え春休みも連日会議。忙しいと学生を指導する時間が減る。学生からの評価が悪いと失点にされる」。悪循環を断ち切るため、教員が安心して仕事ができる体制づくりを訴える。


投稿者 管理者 : 2005年04月08日 00:08

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