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2005年04月08日

信州大学外国人講師問題、仮処分命令申立書

■「意見広告の会」ニュース268より

信州大学外国人講師問題 仮処分命令申立書
4月20日に審尋
 

下記に、仮処分命令申立書の内容を転載します。4月20日の午後3時から、最初の審尋が開かれます。東京公務・公共一般労組に支援を求めています。

地位保全等請求仮処分申立事件

被保全権利 雇傭契約に基く就労請求権
 

申立の趣旨

1.債権者が債務者に対して労働契約上の地位を有することを確認する。
2.債務者は、債権者に対して、平成17年4月1日以降本案判決言渡に至るまで毎月17日限り1か月あたり金536,000円の割合による金員を仮に支払え。

申立の理由
第1.被保全権利
1. 債権者は、ベルギー人である。
債権者は平成4年10月1日から今日に至るまで信州大学のドイツ語・フランス語担当の外国人教師として雇用されてきた。
2. 外国人教師は、国家公務員法・国立学校設置法等によれば、国立大学等において、外国語科目または専門教育科目を担当させるにたる高度の専門的学識又は技能を有する外国人で、大学の教師として、勤務の契約により雇用される者と定義され、その雇用期間は1年をこえないものとし、必要に応じ更新する扱いをしてきた。
3. 債権者は、信州大学長との間で平成4年10月1日に平成5年3月31日までの雇用契約をして以来、毎年3月31日、同年4月1日から翌年3月31日までの雇用契約書を作成してきた。なお、16年4月1日から17年3月31日までの雇用契約書は16年5月になって作成された。しかし上記契約書でも、翌年は更新しない旨は記載されていない。
4. 債務者は16年7月30日付書面をもって16年4月1日から大学法人化にともなう見直しの一環として、外国語教育実施体制の見直し、教員組織における外国人教師に関する職務と雇用の位置付けの見直しを行うとして、外国人教師について、同じ条件の下での延長更新を行わない方針を決定して通知した。
5. しかしながら、上記した1年ごとの更新手続は形式的なものであり、実態は、期限の定めのない雇用である。また、大学法人化による制度の変更であったとしても、外国語教授等を採用するのであるから、雇用形態を変更しなければならない必要性はない。
6.債務者は、17年度から外国人教師を採用しなくなったわけではない。
  17年度からは「外国語・外国事情担当教員」として、年度ごとに募集するとのことである。
  債務者の扱いでは、債権者も含めた信州大学に長年勤めてきた外国人教師も、17年度からの「外国語・外国事情担当教員」に応募することができるものとして、16年度をもって雇い止めするというものである。
7.債務者は、法人の中期計画として、「外国人教職員の採用を積極的に進める」「外国人教員数を現在の人数より増やす」を掲げている。
  債権者を含めた外国人教師を一律に雇止めすることは、上記計画にも反するものである。
8.債権者は、平成4年10月来日して信州大学に勤務して以来松本に居住し、平成10年結婚している。妻は、松本市内の特許事務所に勤務しているものの、北佐久郡浅科村に住居を建て、そのローン支払もある。また、債権者は、フランスにいる前妻と息子に毎月12万円送金している。債権者は40代後半、妻は30代前半で、早く子供を持ちたいと希望しているが、そのためには安定した職の確保が欠かせない。
9.債権者は、特別な欠格事由が発生しない限りは、信州大学に勤務できるものと信じて、人生設計・生活設計を建ててきた。
  ところが、債権者が債務者との雇用関係がなくなってしまうとなると、長野県内あるいは日本における生活を維持できなくなるおそれがある。
10.債権者と債務者との間には期限の定めのない雇傭契約が結ばれているので、解雇は正当な理由がない限り権利濫用であり、無効である。
  仮に、債権者と債務者との間の雇傭契約は1年ごとであるとしても、本件は、長年にわたって更新されて来たのであるから、その雇い止めは、やはり正当な理由がない限り、権利濫用であり、無効である。
  本件は、解雇にしても、雇い止めにしても、債権者に多大な苦痛を与えるのに対して、債務者にとって何らの利益もないのであるから、権利濫用で無効である。
  特に、債権者は、外国人教師宿舎に居住しているが、そこから退去しなければならない不利益は多大である。
第2.必要性
1.解雇あるいは雇い止めは、平成17年3月31日限りに発生するとされている。
  そうなると、債権者は、収入を失うとともに、妻ともども、松本での仕事の根拠を失うことになる。
2.債権者は、本案訴訟を準備しているが、本案判決の確定を待っては、回復し難い損害を蒙ることになる。
3.よって、本仮処分命令の必要性が高いものである。


投稿者 管理者 : 2005年04月08日 00:13

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