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2005年04月11日

【談話】文部科学大臣は「つくる会」教科書(扶桑社版)の検定合格を取り消すべきだ

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 ∟●【談話】文部科学大臣は「つくる会」教科書(扶桑社版)の検定合格を取り消すべきだ(2005年4月9日)

【談話】文部科学大臣は「つくる会」教科書(扶桑社版)の検定合格を取り消すべきだ

2005年4月9日
子どもと教科書全国ネット21事務局長・俵 義文

 新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)が作成した歴史・公民教科書(扶桑社版)の検定申請図書(白表紙本)を、扶桑社が合計70冊現場教員や教育委員会関係者に配っていたことが、6日の衆議院文部科学委員会で明らかになった。

 こうした不正行為の事実が判明した以上、中山成彬文科相は「つくる会」教科書(扶桑社版)の検定合格を取り消すべきである。文科省は、以下のような教科用図書調査検定審議会の報告「教科書制度の改善について(検討のまとめ)」(2002年7月31日)の「3.教科書検定手続等の改善について」の(2)の「・ 静ひつな審査環境の確保」を受けて、白表紙本の管理を徹底するように、教科書出版を指導してきた。
 「検定審査中に、申請図書、検定意見、修正表等に関する情報が外部に漏出した場合、本審議会における中立、公正で円滑な審査に支障を生ずるおそれがある。このため、表現の自由などに留意しつつ、静ひつな審査環境を確保するため、申請者に対し、検定決定が行われるまでは審査中の申請図書等に関する情報を外部に漏出しないよう改めて求めるなどの方策を講ずることが必要である。

 また、本審議会としても、今後、仮に円滑な審査を行う環境が確保できない事態が生じた場合には、審議会の審査を一旦停止することとするなど、静ひつな環境の中で円滑な審査が行われるよう適切な対応を講ずることとしたい。」
 これを受けて各社は、執筆者に白表紙を渡す場合も、全ページにナンバーを打つ、郵送をやめて編集者が持参して直接手渡す(例えばそのために北海道まで行く)、その際に公表やコピーをしないよう誓約書をとるなど異常なまでに厳重な管理をしてきた。
 そもそも、こうした白表紙本の公表禁止と厳重な管理を要求してきたのは「つくる会」である。2001年の採択時にも扶桑社の社員が教員に白表紙本を配布し、それがコピーされて出回った。そのために、検定中から「つくる会」教科書への批判が高まり、それが採択に不利になったと考えた「つくる会」は、文科省に検定中の白表紙本の公表禁止を働きかけた。それを日本の前途と歴史教育を考える(若手)議員の会がバックアップし、文科省はそれに迎合して検定制度の改悪を行ったのである。「つくる会」は2003年7月の第6回総会議案書で、この文科省の制度改変を自分たちの「文科省、国会対策の成果」と書いている。「つくる会」・扶桑社は、自分達が要求してつくられた制度について、自らそれを破って、教員や教育委員会関係者に違法に配布してきたのである。

 文科省は、10月にその事実を知って指導したが、扶桑社はその後も配布をつづけ、文科省は1月に再度、3月に再々度の指導をしたと説明している。これは異常なことである。文科省は、各社に検定中の白表紙本など資料を公表した事実が判明したら検定を中断するといってきた。そのこれまでの指導からすれば、10月の時点で「つくる会」教科書の検定を中断すべきであった。そうしたペナルティーを何ら課すことなく、不正行為を放任しつづけ、「つくる会」教科書を検定合格させたのは、この教科書に対して、特別扱いして優遇したということになる。これは、「中立、公正」(検定審)な検定行政をおこうべき文科省として絶対に許されない行為だといえる。
 文科省は、こうした不正・違法な「つくる会」・扶桑社の行為を不問にすべきではない。中山文科相は、こうした不正を繰り返す扶桑社の行為を事実上放置してきた責任を明確にして、関係者を処分すべきである。そして、中山文科相と文科省が「中立、公正」な検定を行っているというのであれば、直ちに扶桑社版教科書の検定合格を取り消すべきである。


[関連資料]
子どもと教科書全国ネット21、「中学新教科書検定結果について―「発展」の扱いと学習指導要領の恣意的適用を中心にー」(2005年4月5日)
子どもと教科書全国ネット21ほか15団体、「つくる会」教科書の内容について(2005年4月5日) 

投稿者 管理者 : 2005年04月11日 00:07

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