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2005年05月10日

国際核融合実験装置(ITER)の誘致について

文部科学省研究開発局、「5月4日付読売新聞記事(ITER(イーター)に関する報道)について」より

「5月4日付読売新聞記事(ITER(イーター)に関する報道)について」

平成17年5月4日
文部科学省研究開発局

1.  ITER(イーター)の日本誘致を断念したという報道がなされていますが、そのような決定をした事実はございません。
2.  ITER(イーター)のサイト問題については、先月12日の中山大臣とポトチュニク欧州委員との会談において7月のG8サミットまでに6極で合意することを目指すということで意見が一致しており、これを踏まえ、引き続き、六ヶ所誘致の基本方針のもと、ITER(イーター)計画の早期実現に向けて、欧州を始め関係国との協議に努力していきます。

問題となった読売新聞の記事(5月4日付)

熱核融合炉、誘致断念へ…EUと調整進む

読売新聞(5月4日付)

 政府は3日、国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地について、青森県六ヶ所村への誘致断念も視野に入れて関係国と調整に入る方針を固めた。

 複数の政府筋が明らかにした。日本同様に建設地誘致に名乗りを上げている欧州連合(EU)との水面下の調整の結果、国内建設にこだわらなくても、工事の受注や職員枠確保などの面で、日本が相応の利益が得られる公算が大きくなったためだ。

 これにより、ITERの建設地は、フランスのカダラッシュに絞られる見通しが濃厚となった。政府としては候補地となっている青森県や関係国との調整を経て、6月にも関係国間で正式合意にこぎつけたい考えだ。

 ITERは、太陽で起きている核融合反応を地上の施設で起こし、その際に出るエネルギーを取り出す実験施設で、日本、EUのほか米国、ロシア、中国、韓国が参加する国際プロジェクト。総事業費は約1兆3000億円と見込まれているが、建設地をめぐって日米韓が六ヶ所村を、欧露中がカダラッシュを推す「3対3」の構図でこう着状態が続いている。

 建設地に名乗りを上げる日欧は昨年3月から、実験炉を誘致した国(ホスト国)と誘致できなかった国(非ホスト国)の役割分担について協議を開始し、日本は昨年9月、1割の負担で2割の工事を受注できるなど非ホスト国により配慮した案を提示した。これに対し、EUも4月12日の日欧閣僚級会合(東京)で、ポトチュニク欧州委員(科学・研究担当)が「日本案とほぼ同等の条件を示した」(文部科学省幹部)ことから、にわかに歩み寄りの機運が高まった。

 現在、日本側交渉担当者の白川哲久・文部科学審議官が渡欧し、日欧閣僚級会合での合意内容の最終確認を進めている。今後は、ホスト国と非ホスト国の役割分担を明確にした文書を日欧共同で作成したうえで、2003年12月以来開かれていない6者閣僚級会合の開催を呼び掛け、この会合で建設地を正式に決定する方針だ。政府筋は「日欧間の合意が5月中にもまとまる方向で話が進んでいる」と述べ、調整が最終段階に入っていることを認めた。

 ITERをめぐっては、2日にルクセンブルクで開かれた日・EU定期首脳協議で早期合意を目指す方針を確認した。協議後の記者会見でも、小泉首相は「できるだけ早く合意できるよう努力することで一致した」と述べている。

 ◆国際熱核融合実験炉(ITER)=1億度以上の高温下で重水素とトリチウムの原子核同士を融合させ、エネルギーを生み出す「熱核融合」の実験施設。燃料1グラムから石油8トン分のエネルギーが得られるとされる。

 燃料となる重水素は、海水から得られるなどの利点があり、実用化されれば、中東に依存している現在のエネルギー事情を一変させる可能性を持つ。


[関連ニュース]かなり錯綜している
ITER計画、南仏に建設でも全面支援…米政府高官(読売新聞5/07)
熱核融合炉、EUと役割分担…日本に材料研究施設(読売新聞5/06)
ITER仏立地で暫定合意 仏研究相が声明(朝日新聞5/06)
ITER:協力関係で技術的合意 日本とEU、協議続く(毎日新聞5/06)
大島氏がITER誘致断念報道を否定(東奥日報5/06)

この誘致問題について,ノーベル賞の小柴さんらは強く反対している。
闘論:ITERの日本誘致 結城章夫氏/小柴昌俊氏(毎日新聞5/02)

http://aomori2003.at.infoseek.co.jp/koshiba.htmlより

ノーベル賞の小柴さんら「ITER」見直し求め嘆願書

 日本が六ヶ所村への誘致を目指している国際熱核融合実験炉(ITER)について、昨年ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊東大名誉教授、長谷川晃元米国物理学会プラズマ部会長の連名で本年3月10日、ITER の安全性には問題があるとして小泉純一郎首相をはじめとした関係閣僚や、木村守男前青森県知事らに誘致見直しを求める嘆願書を提出しました。
 本会環境部では、この度、同嘆願書の写しを入手しましたのでご紹介させていただきます。

青森県保険医協会環境部部長 山崎照光
(青森県保険医新聞より引用)

嘆 願 書

「国際核融合実験装置(ITER)の誘致を見直して下さい」

理由:核融合は遠い将来のエネルギー源としては重要な候補の一つではあります。しかし、ITERで行われるトリチウムを燃料とする核融合炉は安全性と環境汚染性から見て極めて危険なものであります。この結果、たとえ実験が成功しても多量の放射性廃棄物を生み、却ってその公共受容性を否定する結果となる恐れが大きいからです。

・燃料として装置の中に貯えられる約2キログラムのトリチウムはわずか1ミリグラムで致死量とされる猛毒で200万人の殺傷能力があります。これが酸素と結合して重水となって流れ出すと、周囲に極めて危険な状態を生み出します。ちなみにこのトリチウムの持つ放射線量はチェルノブイリ原子炉の事故の時のそれに匹敵するものです。

・反応で発生する中性子は核融合炉の10倍以上のエネルギーをもち、炉壁や建造物を大きく放射化し、4万トンあまりの放射性廃棄物を生み出します。実験終了後は、放射化された装置と建物はすぐ廃棄することができないため、数百年に亘り雨ざらしのまま放置されます。その結果、周囲に放射化された地下水が浸透しその面積は放置された年限に比例して大きくなり、極めて大きな環境汚染を引き起こします。
以上の理由から我々は良識ある専門知識を持つ物理学者としてITERの誘致には絶対に反対します。

平成15年3月10日
小柴昌俊(ノーベル物理学者)
長谷川晃(マクスウェル賞受賞者
元米国物理学会プラズマ部会長)

投稿者 管理者 : 2005年05月10日 00:43

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