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2003年04月02日

大阪芸大、組合三役はじめ執行委員に対し、新学期直前に不当配転

■ 大阪私大教連
 ∟●「私大教連おおさか」2003年4月20日(No.1)より転載

 いま大阪芸術大学では驚くべきことがおこっています。2月中旬といえば、どこの大学でも来年度に向けたシラバスの校正も済み、時間割が組み終わり教育の態勢が整っている時期です。ところが大阪芸術大学を経営する理事長は、教育現場の意見を聞かず、組合三役と執行委員2名に所属変更を命じました。K副委員長(写真学科教授)の場合、2月14日「K教授を配置転換するように通告せよ」と塚本邦彦理事長は写真学科長に命じ、写真学科長はそのままの言葉をK教授に伝えました。K教授の「あなたはメッセンジャーか」という問いかけに、写真学科長は「そう考えてもらってよい」と返答しました。異動の事前打診も理由説明もなく、委員長にも書記長にも執行委員長にも、当該学科長から同様の所属変更が告げられました。教育現場の最高責任者である学科長にも異動の事前打診はなく、配転理由もわからないままでした。

すべてを理事会が決定できる就業規則へ改正
 近年、大阪芸術大学では事前に本人の配置転換の理由が示され意志が聞かれる場合と、理事会の都合による場合がありました。昇格は学科長を通って理事会に提言されてきましたが、この2、3年は学科長も事後に知るという人事が始まっています。このような状況のなか、今回の配置転換では本人はもちろん、所属の学科長さらには配転先の学科長すら知らないという、これまでにはなかった教員の人事異動が行われたのです。
 1999年1月、学校法人塚本学院の塚本邦彦理事長は同氏夫人を理事に就任させました。また、弟や叔父など近親者を容易に昇格させ重要なポストにつけるなどしてきました。大阪芸術大学付属短期大学を短期大学部に組織変更することや大学に通信教育学部を新設することなど、大学の将来を左右する重要な案件から教職員をまったく排除した大学の管理運営をおこなってきました。
 2002年3月、大阪芸術大学の理事会は組合を無視して就業規則の改定を行い、それまで「大学」とあったところを「学院」に変えました。これ以外に、休職及び解雇規定の整備として「学生数の減少に伴う事業の縮小その他事業の運営上やむを得ない事由によるときに解雇できる」、懲戒解雇規定では「情報媒体又は文書等により、学院に不利益となる不実の事項を流布宣伝したとき」と新条文を加え、異動では「学院は業務上必要があるときは、教育職員に対し、所属の異動及び職種の変更を命ずる」とした改正がちりばめられています。理事会は改正によりすべての事柄を理事が判断・決定できる規則をつくりあげました。この就業規則改正によって、理事会は教職員をあたかもモノのように取り扱えるようになりました。今回の配置転換はこの就業規則を利用しておこなわれたのです。

危惧される学生へのサービス低下
 それぞれの配転先には、「教授会に出席できない」「これまでと同等な研究室や設備がない」「基準賃金が保証される授業担当がいまだに不明である」などさまざまな労働・教育・研究環境の問題があります。さらに、これまで積み上げてきた専門の研究や教育が継続されず分断されることから、学生へのサービスが劣化する危惧があります。従前より教育研究環境が悪化し不利益になるところが多くあります。現在、地裁や地労委への提訴を準備していますが、その過程で「今回の配置転換には"業務上必要"なものはない。組合中枢への差別攻撃であり、教職員から構成される組合へのあからさまな敵対行為である。組合を分断し、組合員を解雇する計画的意図がある」ことがますます明らかになっています。
 組合は、著しい労働不利益がおこり不当労働行為が生じることを懸念し、3回にわたり団体交渉開催を要求しました。これに理事会は「人事の案件は団体交渉になじまない」と回答してきました。3月17日には「組合掲示板に掲示した抗議文は、就業規則73条14項に抵触する。掲示板から外すことを勧告する。組合としてはずさなければ、学院としてなんらかの処置を講ずる」との電話連絡が理事会からありました。組合掲示板への抗議文掲示を、身勝手にも新就業規則の「情報媒体又は文書等により、学院に不利益となる不実の事項を流布宣伝したとき」にあてはめたのです。

地裁・地労委への訴え準備
 現在、組合活動への不当介入、度重なる団体交渉拒否、組合員への差別・攻撃という不当労働行為について、不当労働行為救済申し立てを地労委へ行い、配置転換は不当なものであるとしてその撤回を求めて地裁へ訴える準備をすすめ、大阪私学教職員組合に闘争救援規定を申請しています。今回の事態は、大学教育の専門性にたいする認識が欠如した理事長が、社会的通念を踏みにじって大学での教育の根幹を破壊し学院・大学の名誉を毀損する行為です。こういった経営者の悪行を許すことは、他の私学経営者にも直ちに反映し多くの教職員組合の活動に重大な支障を与えるでしょう。これを大阪芸術大学で食い止めることは私学全体の将来に関わる問題として位置づけ、ここに皆様のご支援を要請したいと考えます。


投稿者 管理者 : 2003年04月02日 09:59

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