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2005年06月23日

都立大・短大教職員組合、「旧制度」昇給を認めない回答は容認できない

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●「旧制度」昇給を認めない回答は容認できない(手から手へ,2353号,6/22)

「旧制度」昇給を認めない回答は容認できない
不当な給与・雇用制度の押しつけを跳ね返す教職員の団結を!
―団交結果を受けて―

2005年6月22日 東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 6月21日、法人当局は、組合がこれまでに提出していた、夏季一時金・夏季休暇等に関する要求、及び旧制度教員の定期昇給などに関する 要求への以下のような回答をおこなった。

 <夏季一時金・夏季休暇に関する要求への回答>
  夏季一時金については、①都派遣職員及び旧制度教員に2.5月という組合の要求に対し、現行の規則通り、期末手当1.6月、勤勉手当0.45月、 合計2.05月分を6月30日に支給する、②新制度教員への増額要求については、旧制度教員への支給が規則通りであるため、新制度教員について は増額なし、③組合の要求していた月16日勤務固有職員への一時金支給には応じられないとした。
  また組合が2日増を要求していた夏季休暇については、日数の増加は行わない、連続取得・完全取得ができるよう指導を行うとした。 

 <旧制度教員の定期昇給・4月昇任教員の降任なしでの任期なし制度への復帰等の要求への回答>
  旧制度教員の定期昇給について、法人移行前の昇給基準と同様の昇給規定を設けよとの要求については、「その要求に応えることは困難」 として、昇給規定についても昇給についてもこれを否定した。
  また、4月昇任者が降格なしに任期のつかない制度に移ること、新規採用者が任期のつかない制度に移ることについても同様の回答であった。

 一時金・夏季休暇等の回答は不十分ながらも受諾

 夏季一時金・夏季休暇に関する回答は、組合員・教職員の切実な要求に照らして、きわめて不十分な内容である。とりわけ固有職員の賃金・ 勤務条件は都派遣職員に比べ、著しく劣悪であり、その点からも今回の回答は不満なものである。しかし、都労連に対する東京都の回答の水準はか ろうじて満たしている点に鑑み、中央執行委員会はこの回答を受諾することとした。
  受諾したとはいえ、民間と都職員との間の格差の拡大、さらに固有職員の劣悪な条件など、現在の賃金・勤務条件には多くの問題が存在す る。組合は、都労連などとともに、今後ともその改善に向けてさらに奮闘する決意である。
旧制度昇給拒否回答は受け取れない

 旧制度教員の定期昇給など教員の給与・雇用制度問題に関する回答は、きわめて不誠実である。組合はこのような回答を受け取ることはでき ないことを、団交において当局に対して明言した。
  昇給を認めない根拠として当局は団交の席上、法人への移行にあたって「東京都職員として適用されていた労働条件がその身分とともに包 括的に移行するものではない」と述べた。これは明らかに地方独立行政法人法とその趣旨の曲解であり、同法成立時の国会決議にも反するものである。移行型独立行政法人においては、その身分とともに労働条件も基本的に継承されるものであり、さらに移行にあたって必要な「労使間の十分な協議」さえも行われていない、きわめて不誠実・不当な対応であることをあらためて指摘する。

 労使間の信頼関係に基づく協定等は結べない

 組合は4月以来、「新制度・旧制度」の一方的押しつけは容認できないことを再三にわたって表明してきた。昇給・昇任なしの旧制度は一方 的な不利益変更であり、法に反すること、また再任基準等について何ら示さぬまま任期をつける新制度についても違法であることを繰り返し表明し てきた。
  その一方で組合は、3月末に大学管理本部との間に取り交わした覚書にしたがって、就業規則・規定類の引き続き協議を進めてきた。その 際、時間外労働に関する労使協定(36協定)などについては、労使間の信頼関係の確立がその土台であり、そのような土台の存在が確認できる ことが、締結のための条件であることを表明してきた。そして労使間関係の根幹に関わる給与・雇用制度について、組合の要求を受け入れるこ と、直ちにすべてを受け入れられないとしても、最低限組合の要求と主張を正面から受け止めた協議が進むことが、信頼関係確立の条件である ことを指摘してきた。
  そのような信頼関係確立を目指し、組合はこの間、ねばり強く折衝を積み重ね、さらに委員長が法人事務局長(副理事長)に会見して、組合 の主張を伝えるとともに労使間の信頼関係、教職員と法人との信頼関係の確立なしには、新大学は危機的な状態に陥ることを強く訴えるなどの努 力を行ってきた。
  それにもかかわらず、きわめて不誠実な回答が行われたことは、極めて遺憾である。このような状況では、労使間の信頼関係が成立したと判 断することはできない。したがって組合は、時間外労働などに関する労使協定の締結は、法人の今後の対応をさらに見守り、信頼関係が確立する 見通しが明らかになるまでは保留すべきであると判断する。

 法人化に伴う労働条件の一方的切り下げは東京都職員と国公立大学教職員全体の問題

 法人化に伴い、任期制を教員全員に強要し、任期付き契約に応じない者の昇給・昇任を一方的に否定するという措置は、地方独立行政法人と いう仕組みを、教職員の労働条件の極端な切り下げを一方的に行うための手段として悪用することにほかならない。東京都は、国立大学等国の機関 の法人化においてすらできなかったこのような改悪を、いままさに我々をモデルケースに行おうとしている。東京都は大学ばかりでなく、今後、産 業技術研究所などの試験研究機関や都立高等専門学校などの独立行政法人化をすでに計画し、準備中である。
  これまでにも東京都は、職員定数削減や賃金の一律カットばかりでなく、都立病院や文化施設等の公社化・財団化、さらには指定管理者制 度の導入などにより、職員に労働条件切り下げ等の圧力を加えてきた。しかし、法人化を契機に現在大学教員に押しつけられようとしている労 働条件切り下げは、それらの措置を遙かに上回るものである。このようなことを我々が許せば、その手法は直ちに東京都の多くの部局に広がる ことは火を見るよりも明らかである。それは東京都にとどまらず、やがて時間をおかず全国の国公立大学や自治体に広がるであろう。
  組合は、教員の給与・雇用制度問題は、この大学の500名あまりの教員のみの問題ではなく、東京都の職員全体、そして国公立大学教職員全体 の問題でもあるとの認識のもとに、これに全力を挙げて取り組むものである。

 雇用契約書を引き続き保留し広範な教職員の団結で闘おう

 4月に法人が求めてきた雇用契約書については、未だに多くの教員がその提出を見合わせている。現在に至るまで、その保留を解除するに足 る法人側の新たな提案はない。任期付きの新制度については、年俸制に関する検討委員会はようやく今月に入って今年度第1回が開かれたにすぎ ない。再任基準に至っては、それがどこでどのように検討されるのかすら、未だ不明である。そもそも再任基準という最低限の条件すら示さずに 結ばれた任期付き雇用契約には法的にも疑義があり、仮にすでに提出されたものがあったとしても、現段階ではそれを撤回する権利があると組合 は考える。旧制度についていえば、そもそも法人化にあたっての身分継承は法人自身も認めており、新たに雇用契約を結び直す必要がないという 事態にも何らの変わりはない。もちろん合理的説明のない労働条件の切り下げを甘受することはできない。
  したがって、このような状況の下では雇用契約書提出の方向に判断を変更する材料はないといわざるを得ない。
  組合は雇用契約書未提出の方々に対しては、引き続き不提出の姿勢を堅持することを訴えるとともに、すでに提出された方々に対しては、あ きらめず、ともに団結して不当な給与・雇用制度の一方的押しつけに反対することを呼びかける。法人に対して教職員の声を誠実に受け止めた 協議を要求する取り組みをいっそう強めることを心から訴えるものである。


投稿者 管理者 : 2005年06月23日 10:09

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