個別エントリー別

« 日本労働弁護団、「中間とりまとめ」に対する見解(その2) | メイン | 日本学術会議、「現代社会における学問の自由」 »

2005年07月29日

全大教、国立大学教職員の給与に関する要望

全大教
 ∟●国立大学教職員の給与に関する要望

2005 年7 月15 日

社団法人 国 立 大 学 協 会
会 長 相 澤 益 男 殿
会 員 各 位

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 関本 英太郎

国立大学教職員の給与に関する要望

 貴協会の大学・高等教育の研究・教育の充実と教職員の待遇改善・地位確立に向けた御尽力に心から敬意を表する次第です。
 さて、来月の人事院勧告は、国家公務員の「給与構造の基本的見直し」として給与水準の引き下げ(5%程度)と地域手当の導入、級構成と号俸構成の変更などが予想されます。さらに、総務省では国家公務員の退職手当制度の見直しの検討がされているところです。
 しかし、国立大学教職員の賃金などの労働条件は、法人化に伴って、各法人が人材確保の観点から独自に賃金を決めることとなりました。したがって、人事院が国家公務員の給与水準や給与構造を変更する勧告を行い給与法が改定されても、教職員が非公務員となった国立大学法人は適用対象外であり、そのことを実施する必要はなくなりました。
 そのことに加え、さらに次の点からも基本賃金を引き下げる「給与構造の基本的見直し」を適用すべきではありません。
 第1に、今回の「給与構造の基本的見直し」は、給与等の算定方式の変更による引き下げであり明らかに不利益変更となります。このことは、最高裁判例でも示されおり、給与引き下げの合理的理由がなく認められないものです。
 第2に,運営費交付金制度は人事院勧告を反映する仕組でないことから、文科省は今回の人事院勧告で運営費交付金は減額しないことを明言しており、大学法人財政を理由として人事院勧告にあわせて給与を引き下げることは合理性を著しく欠くこととなります。
 第3に,文科省の「文部科学省所管独立行政法人及び国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与(平成16 年度)の水準の公表」において、国立大学職員の給与は国家公務員の平均より低いことは明らかであり、むしろ職員の処遇改善が求められています。
 第4に、大学の教員は、ほぼ全国的な労働市場が成立しているということができますが、地域別の賃金格差が大きくなれば、地方の大学で人材確保が困難になると考えられます。すでに、国立大学の給与水準は都市部の私立大学と比べて大きな格差があることが指摘されており、こうした格差が国立大学、とくに地方国立大学において優秀な教員の確保を困難にしている状況があります。さらに給与水準を引き下げるようなことがあれば一層困難となります。地方に立地する大学で優秀な人材を確保するには、少なくとも地域によって賃金の基本部分には大きな格差が生じないようにすべきです。

 これらのことから下記の事項について要望いたします。
 また、地域給導入等の「給与構造の見直し」は労働条件に関する極めて重要な問題であり、これを安易に大学法人に適用しようとすれば、労使関係に重大な亀裂が生じることは必至と言わざるを得ません。
 貴協会として良好な労働関係を形成する立場から、全大教と意見交換の場を設定して頂くよう申し入れる次第です。


1.貴職が予定している教育職(一)表、(二)表、(三)表の参考給与表の作成については、地域給の導入等の「給与構造の見直し」を反映させないこと。
2.貴職は、運営費交付金の算定が給与引き下げの人事院勧告に連動しないよう政府、文部科学省、財務省等に要請を行うこと。
3.会員各位におかれましては、各国立大学法人の学長として、今回の人事院勧告で仮に地域給の導入等の「給与構造の見直し」が行われたとしても、それを適用せず、国立大学教職員の賃金・労働条件を改善する観点から、当該の教職員組合と交渉・協議を行い、国立大学法人としての自主性と主体性をもった対応をされること。

投稿者 管理者 : 2005年07月29日 02:17

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi4/mt/mt-tb.cgi/237

コメント