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2005年07月04日

湘南工科大不当解雇事件、判決文全文 横浜地裁全面勝利の判決にあたっての声明

湘南工科大学事件
横浜地裁判決文(全文)2005年6月28日

横浜地裁全面勝利の判決にあたっての声明

 本日、2005年6月28日、横浜地方裁判所(以下「横浜地裁」)は、湘南工科大学(以下「湘南工大」)における組合役員2名(委員長をつとめる河口央商教授、当時書記次長で現書記長をつとめる菊地慶祐助教授)の懲戒解雇事件について、「雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認するとともに、本案判決が確定するまでの賃金・一時金及び慰謝料の支払い等を認める」旨の学園の懲戒解雇を全面的に不当とする勝訴判決を言い渡しました。
 この不当解雇は、本判決も認めるように、2002年4月に「組合員であることを理由とした教授任用差別は不当」とした「教授任用差別事件」に対する東京地裁判決への報復としてなされた極めて悪質な懲戒解雇であり、組合つぶしをねらった攻撃です。組合が十数年にわたってたたかい続けた「教授任用差別事件」は、2004 年3月に東京高裁において同趣旨の判決が出され確定したことにより、すでに撤回されています。
 私たちは、湘南工大理事会(糸山英太郎理事長・総長)が、わが国の高等教育を担う大学の設置者として、長期にわたりいたずらに私立大学の信用を失墜させたことを率直に反省し、本日下された判決を真摯に受けとめ、控訴することなく本判決を誠実に履行し、ただちに2名の教員を教壇に復帰させるよう強くもとめるものです。

2005年6月28日
東京私大教連(東京地区私立大学教職員組合連合)
湘南工科大学の解雇撤回闘争を支援する会

以下、横浜地裁判決を伝えるビラ

◇◆◇・河口・菊地先生が全面勝訴・◇◆◇
「懲戒解雇は不当」の判決

「解雇は理由がなく違法であることは明らか」と判決

 2005年6月28日、横浜地裁は、湘南工科大学理事会が情報工学科教授の河口央商先生と電気電子メディア工学科助教授の菊地慶祐先生に強行した懲戒解雇について、「理由がなく違法であることは明らか」とし、2人の先生が「雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する」との判決をくだし、湘南工大に対して未払い賃金の支払いを命じました。

《判決の主文より》
原告ら(河口・菊地先生)が、被告(学校法人湘南工科大学) に対し、それぞれ雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

 判決は、理事会が主張する解雇理由をすべて否定し、「有力な組合員を学外に放逐するために懲戒解雇をしたものと考えられる」(裏面の「判決文からの抜粋」をご覧ください)と断じ、この懲戒解雇が、学生の勉学条件や教職員の働く条件を改善して学園をよくするために活動している教職員組合への不当な攻撃であることを認めました。

不当な懲戒解雇をした理事会の責任を認め、慰謝料の支払いも命じる

 また、湘南工大理事会には不法行為責任があるとし、2人の先生が「多大な精神的苦痛を受け、学者としての研究にも支障が生じた」ことを認め、慰謝料の支払いを命じました。

湘南工大のすべての教職員・学生のみなさん!

 教職員組合は、理事会(糸山英太郎理事長)に対し、控訴することなく判決を履行し、2人の先生の解雇を撤回して、教壇に復帰させるよう申し入れています。
 私たちは、2人の先生をすみやかに教壇に戻し、教職員が不当に解雇されるような不正常な状況をなくすことが、湘南工大の教育と研究を発展させる道であると考えています。湘南工大のすべての教職員・学生のみなさんに、ご理解とご協力をお願いするものです。

湘南工科大学の解雇撤回闘争を支援する会
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-5-23 第1桂城ビル3F 東京私大教連内
TEL:03-3208-8071 FAX:03-3208-0430

判決文からの抜粋

<不当な懲戒解雇をした理事会の責任と慰謝料についての判断>

 以上の説示によれば、被告(湘南工大)が原告らに対し懲戒解雇事由がないのに本件各懲戒解雇をしたことが違法であることは、明らかである。そして、本件の事実経過によれば、被告は、教授会の推薦に反して原告河口を長年教授に任用せず、本件組合が救済命令の申立てをしたところ、これを争ったが、地労委及び中労委で被告の主張が認められず、本件救済命令取消請求事件でも敗訴したので、このままでは原告河口を教授に任用せざるを得ないと考え、本件組合の有力な組合員である原告河口を学外に放逐し、また、本件救済命令取消請求事件において原告河口を積極的に支援した原告菊地も一緒に学外に放逐するために本件各懲戒解雇をしたものと考えられる。
このほかに、原告らが本件各懲戒解雇により、多大な精神的苦痛を受け、また学者としての研究にも支障が生じたものと認められることを考慮すると原告らの精神的苦痛を慰謝するためには、それぞれ300 万円をもって相当と認める。(判決文38 頁)

<交通費を不正受給したといって河口先生を懲戒解雇したことについての判断>

○被告(湘南工大)の旅費規程には、交通費の請求にあたり、起点及び終点を自宅とすべきか大学とすべきかにつ
き一義的に明確な定めはなく、被告自身も、自宅を起点及び終点とする請求も大学を起点及び終点とする請求も何ら問題とせずに請求どおりに支給していた、(中略)出張の交通費請求に当たっては大学に立ち寄らない場合には必ず自宅を起点としなければならないとの方針を有していたわけではない。
○原告河口に不正な利益を得ようとする意思があったとは考えられない。
○原告河口を教授に任用しないことを正当化し本件救済命令取消請求事件を有利に運ぶことを目的として、交通費請求の問題を取り上げたものと推認されるところである。
○原告河口は被告主張の懲戒解雇事由のいずれにも該当せず、本件(河口)懲戒解雇は、懲戒解雇事由が存在しないから、その余の点について判断するまでもなく、無効である。(以上判決文34~35 頁)

<裁判での陳述などで大学を誹謗中傷したとして菊地先生を懲戒解雇したことについての判断>

○原告菊地が虚偽であることを認識の上あえて本件各供述をしたとの事実を認めるに足りる証拠はないから、本件各供述は、原告菊地が紛争の相手方である被告、大学等に対する自己の認識を述べたものということができ、(中略) 社会通念上許容される範囲を逸脱した表現があるとも認められない。また、被告は裁判所において、対等の立場で、本件各供述に対し反論反証をすることができたものであるし、本件各供述を第三者が知ったことにより、被告が格別の損害を受けたとの事実を認めるに足りる証拠もない。
○原告菊地が本件各供述をしたことが被告主張の懲戒解雇事由に該当すると認めることはできず、したがって、本件(菊地)懲戒解雇は、懲戒解雇事由が存在しないから、その余の点について判断するまでもなく、無効である。


投稿者 管理者 : 2005年07月04日 01:13

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