個別エントリー別

« 東京大学職員組合、国立大学協会作成、教員参考給与表に関する要請 | メイン | 平安女学院大学就学権確認訴訟、「要望書」賛同署名(第一次分) 本日大阪高裁に提出 »

2005年08月29日

東京大学職員組合、2005年人事院勧告と、東京大学教職員賃金に関する見解と要求

東京大学職員組合
 ∟●2005年人事院勧告と、東京大学教職員賃金に関する見解と要求(8/26)

2005年人事院勧告と、東京大学教職員賃金に関する見解と要求(8/26)

東京大学総長
小宮山 宏 殿

2005年人事院勧告と、東京大学教職員賃金に関する見解と要求

東京大学職員組合
執行委員長 佐藤 比呂志


人事院は一般職国家公務員に関わる給与等について、8月15日に「2年ぶり3度目の賃下げ」となる勧告を行いました。
その内容は、本年4月時点の官民賃金が0.36%の逆較差であったとする「マイナス勧告」と、「俸給水準引き下げを原資とする地域給再編」などの「給与構造見直し勧告」を同時に行うという極めて異例なものとなっています。
小泉内閣は「行・財政改革」「小さな政府」などを掲げ、独立行政法人化、国立大学の法人化など強行に押し進めましたが、赤字国債は削減されるどころか未だに増えつづけていることから、サラリーマン増税や消費税引き上げなどの「大増税路線」を進めざるを得ない政府・財界は、その突破口として公務員の総人件費の削減を位置づけ、人事院勧告に対する圧力を露骨にかけ続けました。
その結果この「二つの勧告」は、政府・財界の総人件費削減の方向に迎合する内容になっています。公務員労働者の生活切り下げを強制し、それを理由に民間企業において賃下げを行わせ、さらに公務労働者の賃下げへとつながるという、「悪魔のサイクル」を強制するものとなっています。
文部科学省は、人事院勧告が国立大学法人の運営費交付金に直接反映される仕組みではない事を表明していますが、人事院勧告に連動した東京大学教職員の寒冷地手当引き下げ強行の姿勢や、団体交渉での労務担当理事の発言から、今年も東京大学当局の人事院勧告への追随的態度が危惧されます。東京大学職員組合は2005年人事院勧告の問題点を指摘し、それを東京大学教職員に適用しないよう、以下の5点につき東京大学当局に要求するものです。

1)総務省が「国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与水準の公表方法等について(ガイドライン)」を定め、文部科学省が国立大学法人の給与水準を公表した。
その結果、東京大学職員をはじめとする国立大学法人の一般職員の給与は、国家公務員平均と比べて13.4%も低いという実態が明らかとなった。法人法・通則法・閣議決定にしたがい、東京大学一般職員の給与を国家公務員平均並に引き上げること。

2)地域別官民格差による本俸引下げは、企業規模や産業別の賃金格差、大企業・中小零細企業の地域別集中度合いの差が反映したものである。地域毎の産業構造などの違いをそのまま国家公務員より13.4%も低い賃金水準の国立大学法人の本俸引下げに反映させないこと。
また、本俸の引き下げは退職金にも大きく影響する(200万円以上のマイナス)ので、容認できない。


3)「地域手当」は地域の民間賃金水準を反映させる手当として新設されるが、民間企業がない地域や零細企業しかない地域では物価いかんにかかわらず支給されないことになり、たまたま賃金水準の高い企業がある地域においては有利になるなどの矛盾が生じる。支給地域の指定基準の矛盾は、東大では筑波は2級地、柏は5級地等といった形で現れ、また大学間でも、新潟は0、福井・富山6級地とおかしな較差を生んでいる。このような問題を誘発する地域手当は大学に適用しないこと。

4)勤務成績反映の査定昇給導入については、これまでの普通昇給と特別昇給を統合して号俸を4分割し、勤務成績をもとに、極めて優秀(8号俸昇給)から不良(昇給なし)まで、昇給幅を5段階に分けるというものである。
この査定昇給制度が東京大学に適用された場合、どのような評価基準で誰が勤務成績を査定するのか。教育や研究の評価を単純に数値化して賃金に反映させることが可能なのか。誰から見ても客観的に公正で透明性のある評価制度の構築ぬきでの導入は、むしろ、協働を大切にしている大学職場に弊害をもたらし、士気の低下、人間関係悪化をはじめとした職場の混乱と荒廃を引き起こすことになりかねない。俸給表を4分割し、職務評価に基づき昇給に差を付ける「評価昇給制度」の導入を行わないこと。

5)人事院は「マイナス勧告」とかかわって、「調整措置」として12月期の期末手当で減額しようとしているが、一度支払われた賃金を4月に遡って取り戻すという「調整措置」は労基法違反であるので、東京大学では行わないこと。

最後に、法人化によって大学教職員の業務は増加し、また範囲が急速に拡大し、独立した法人としての当事者責任や説明責任を負うための業務、独自の経営方針や人事管理システムを支えるための業務、大学評価に関わる業務、労働安全衛生法に対応する業務などが新たに加わりました。その業務量、困難度、責任、複雑度からして、その職務評価は高められてしかるべきものとなっています。
閣議決定および法人化移行時の国会審議における付帯決議にしたがい、国立大学法人の教職員給与はむしろ引き上げられてしかるべきであり、これに伴う運営費交付金の増額措置を行うべきです。
総長・東大役員会は、人事院勧告・給与構造見直しに無批判に追随して賃金の大幅引き下げを行うのではなく、また、大学教員の賃金も国大協に任せるのではなく、東京大学職員組合との団体交渉や教職員との積極的な意見交換を優先させ、全学の合意を尊重して、自主的に解決を図るべきです。


投稿者 管理者 : 2005年08月29日 00:01

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi4/mt/mt-tb.cgi/398

コメント