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2005年08月01日

抗議声明、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書(扶桑社版)の採択を撤回し、採択手続きのやり直しを求める

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 ∟●【抗議声明】「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書(扶桑社版)の採択を撤回し、採択手続きのやり直しを求める(2005年7月28日)

【抗議声明】「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書(扶桑社版)の採択を撤回し、採択手続きのやり直しを求める

本日7月28日、東京都教育委員会は、来年度から使われる都立中学校および都立中等教育学校(前期課程)用教科書、都立盲・ろう・養護学校の中学部用教科書の採択にあたり、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)メンバーが執筆し扶桑社が発行する中学校社会科・歴史的分野および公民的分野の教科書(以下「つくる会」教科書)を採択した。私たち「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク(略称「教科書東京ネット」)は、この暴挙に対し怒りをもって強く抗議し、「つくる会」教科書採択の白紙撤回と手続きのやり直しを求める。

そもそも上記諸学校の教科書採択日を本日に設定したこと自体、きわめて政治的な意図を持ったものである。昨年の都立白鴎高校附属中学校の教科書採択日は8月26日であり、これをふまえれば今年は本来8月25日が採択日となるはずである。それを1ヵ月も繰り上げたねらいは、「つくる会」教科書が、今月13日に栃木県大田原市で採択されて以降、全国で1ヵ所も採択されていない事態を打開しようとしたことにあると見ざるを得ない。この変更がいかに急なものであったかは、都立盲・ろう・養護学校の教科書調査研究資料を公表できていない事実に表れている。中高一貫校についても同様である。白鴎高校附属中学校の場合は学校の特色である「日本の伝統文化」の観点から教科書記述を調査しており、そうであれば文京地区・墨田地区中高一貫校・都立大付属中高一貫校についても同様の調査が行われてしかるべきであるにもかかわらず、これも公表されていない。都教委は「保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実」(「教科書制度の改善について(検討のまとめ)」)という文部科学省方針すら無視していることになる。26日に教科書東京ネットが他の諸団体とともに行った都教委への要請では、都立盲・ろう・養護学校の調査研究資料については「作ってあり、教育委員には見せてある」(教育情報課長)と弁明したが、ウェブサイトなどで公表していない事実からすればきわめて不自然である。中高一貫校についてはそもそも作られた形跡すらない。急に日程が繰り上げられたために間に合わなかったのが真相ではないのかと思われる。

今回の暴挙は、「つくる会」教科書の採択が大田原市と同様、虚偽とルール違反の上にのみ可能であることを改めて示した。文部科学省は「教育委員=採択権者」という立場から、教育委員に十分な調査研究の時間を保障すべきであるとしている(前掲文書)。東京都教育委員会が昨年採択を8月26日に行ったのもこの趣旨からであるはずである。採択決定を1ヵ月繰り上げても調査研究が十分行えるのであれば、「教育委員=採択権者」という教育行政の立場の否定である。国内外から大きな批判を浴びている「つくる会」教科書の採択にはこれほどの虚偽とルール違反が必要だったのである。これは教育現場への特定の政治イデオロギーの押しつけであり、教育内容への「不当な支配」(教育基本法第10条)である。
今回の採択で、東京都教育委員会は、大田原市と並んで歴史の事実をゆがめる教科書を採択した自治体として国際的に恥辱を味わうことになろう。その責任はあげて今回の決定を行った東京都教育委員会にある。恥辱を回避する唯一の方策は、「つくる会」教科書の採択を撤回し、手続きをやり直すことである。教科書東京ネットは、このことを強く要求し、その実現のために断固たたかう決意であることを表明する。
以上
2005年7月28日

「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク
代表 山田 朗
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
電話03-3265-7606


投稿者 管理者 : 2005年08月01日 00:44

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