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2005年08月03日

横浜市立大教員組合、第1回団体交渉・団体交渉要求書

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.8.2)

第1回団体交渉・団体交渉要求書

 7月28日(木)に新組合として第1回目となる当局との団体交渉が行われました。当組合からは、上杉執行委員長、真鍋副執行委員長、随書記長、和仁書記次長、中西前副執行委員長、山根前書記次長が出席し、経営側からは、松浦敬紀副理事長、清水一男事務局長、中上直経営企画室長、福島満人事担当課長、金井英孝学務センター長、渡邉昇人事担当係長が出席しました。

 これに先だって当組合から提出した要求書の項目は、以下の通りです。(交渉の詳しい内容については、次号でお伝えする予定です。)
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団体交渉要求書

公立大学法人横浜市立大学理事長

宝田良一殿
2005年7月21日
横浜市立大学教員組合執行委員長
上杉 忍

本組合は、本要求書を作成し、公立大学法人当局に提出いたします。以下の要求事項について交渉に応じるよう求めます。

なお、これまで当組合が提出してきた要求・意見[1]に関しては、基本的に変更はありませんが、今回は特に以下の要求のみに絞って、今回の交渉の項目とします。

Ⅰ.団体交渉のルールについての要求
(1)適切な責任者の出席
団体交渉に当たっては、内容に応じて責任ある判断を下すことが出来る当局代表者が出席すること。

(2)交渉の項目・誠実交渉
横浜市立大学教員組合が、教育・研究労働者の労働組合であるという特殊性に鑑み、以下の課題について当局が誠実に交渉に応じるよう求める。 

1.教員の待遇、勤務条件、教員の人事制度に関する事項
2.教員の教育・研究・診療活動に関る事項
3.教員の大学運営への参加(大学行政)に関する事項

Ⅱ.当面の要求

(1)教員の評価制度・人事制度に関する要求
1.教員評価制度の構築に当たっては、公正かつ客観的な評価制度を設計する観点に立って、評価を通じて不当な差別が行われないように確約することを求める。具体的には、評価項目の設定及び評価作業を恣意的に行わないこと。例えば、育児休暇、産休、介護休暇の取得など正当な権利行使をマイナス評価しないこと[2]。
2.教員採用人事の透明性を保障するために以下の措置を要求する[3]。
① 人事委員会規程及び採用人事にかんする規則を明示すること。
② 新規採用人事についてその方針の適切性を検証できるよう、採用分野、担当科目等の決定理由を学内に公表し説明すること。
③ 応募状況、審査経過等につき審査報告書を作成し教員組織及び必要な学内関係組織に公表すること。

3.現在凍結されたままになっている昇任人事の再開を求める。

(2)教員の教育研究条件に関する要求

1.今年度の横浜市立大学における研究戦略プロジェクト等の競争的研究経費の採択の過程と結果を明らかにすることを求める[4]。
2.来年度の入学試験における募集人員の変更に関し、その決定過程に関し、説明することを求める。
3.英語教員の教育活動に対して大学教員にふさわしい権限(単位認定権、成績評価権)を与えるべく改善策を提示することをもとめる[5]。
4.現在進められた研究室再配置計画の決定プロセスを説明してほしい。また、個々の教員の研究室移動には、研究教育活動の妨げを最小限にするために、十分な時間的猶予とその支援体制を求める[6]。
5.教育・研究をサポートするスタッフを補充してほしい[7]。
6.教員の事務作業を現場の裁量で簡素化できるところは大胆に簡素化するよう工夫を重ねてほしい。そのための「苦情処理」システムを立ち上げてほしい[8]。
7.図書館の専門雑誌購入の大幅削減を直ちに改め、研究用図書館としての機能を回復できる予算措置を求める[9]。
8.今後の専門職員の運用・配置計画について明らかにされたい[10]。

(3)教員の大学運営への参加(大学行政)に関する要求

1.大学運営における現場の教員の声を吸い上げ、全教員の協力のもとに大学運営を執行できるようにするため、憲法の定める学問の自由を保障し、学校教育法を遵守して、大学運営への教員の平等な参加権を保障すること。そのために、教授会に、人事、カリキュラム作成・改正、学則の改廃その他重要な事項に関する審議権を回復することを求める。
2.予算、決算、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)、定員(常勤職員数、雇用上限数)などに関する資料を提示するよう求める。
3.全ての大学構成員が共通の情報を可能な限り共有できるようにきめ細かな学内情報伝達に努めていただきたい[11]。

以上
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注:
[1] 「基本要求事項」(昨年9月15日)、「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」(本年3月8日)、同「Ⅱ」(同月23日)、就業規則に関する意見書(本年4月27日)、等。

[2] 教員評価の制度設計には、教育研究に関する専門性が十分に尊重されるよう注意を喚起したい。今後検討をすすめる場合、教員組合の提起する疑問点に答えるとともに、教員組合との誠実な協議・交渉を行うよう要求する。

[3] 今回の教員人事制度の「改革」の目的とされたのは、「公開性」「透明性」であった。その目的がどのように実現されているか、われわれ教職員の前に明らかにすることが必要である。また、われわれは、教員採用人事においては、教育研究の専門家の識見が最大限に尊重されるべきであると考えるが、その識見が尊重されていることを明らかにしてほしい。

[4] 審査がどのような手順で行われ、どのような基準で行われたのか。公正に行われていないという疑問が広がれば、教員の研究意欲をそぐ結果になるので、積極的に説明してほしい。

[5] 現在英語教員は、現場の反対を押し切った「改革」に基づく授業を担わされ必死の努力を行っている。「改革」そのものを見直すことについて、今後現場の声を聞いて送球に検討されるべきである。それはさておき、大学教員に単位認定権、成績評価権を与えずに強制されている現在の教育労働は、大学教員の教育活動に対する尊厳の無視に当たり、早急に改善策が示されるべきである。

[6] 少なくとも今から「夏休み中に移動せよ」などという乱暴な命令はやめてほしい。また、引越しには、運送会社を利用するなどの支援を求める。

[7] 例えば、今年度に入ってから外部講師を招聘した授業が急増しており、講師の送迎に際して事務サイドから適切なサポートが行われていない。授業形態の改変に対応した事務方からのサポート体制の確立が急務である。また非常勤講師に対するサポート体制にも重要な欠陥が見られる。他大学の事例などを参考に改善を求める。

[8] 例えば、郵便物を出す場合に現在極めて煩瑣な作業を教員に強いている。その簡素化は可能なことではないのか。このような現場での問題解決のために「苦情処理」を組織的に行うシステムの確立をお願いしたい。

[9] 図書館の蔵書の充実は、目立たない事業であるが、研究・教育機関としての100年の計を考えれば、最も重要な《ソフトパワー》の一つである。例えば、1998年にScience Direct社を通じて購入した専門雑誌は、167 タイトルだったが、2004年度までに67タイトルにまで削られ、多くの教員が不便を感じている。この《ソフトパワー》の衰微は大学としての生命に関ることである。
[10] 『中期目標』では、「教員と職員の中間領域を担う専門職の人事の適正化をはかるとともに、市は県職員の段階的解消を図る」とうたっているが、現在大学経営に通じた専門職員の配置が極めて不十分であり、様々な問題が生じている。早期の配置を求める。

[11] コースに所属していない教員への情報伝達に努めることなど。


投稿者 管理者 : 2005年08月03日 00:01

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