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2005年08月08日

参議院行政監視委員会、株式会社大学「東京リーガルマインド」の専任教員 違法な業務委託の実態が明らかに

企業大学(「東京リーガルマインド大学」)専任教員の違法な業務委託を追及(2005年7月25日 162国会)

 東京リーガルマインド(LEC)における業務委託契約問題について,私は以前,個人的にLECの教員から内部告発といってもよい投書メールを受けていました。それによれば,教授も含めてほぼ全ての教員が「契約期間1年」の委託契約を結んでいるようでした。給与は時給計算です。
 LECの理屈は次のようなものです。大学設置基準第12条にある「専任教員」は,他大学で専任として働いていなければよい。したがって,法令上の「専任教員」と「常勤」・「非常勤」の概念は別問題であると。文科省は,こうした解釈によってそろえた教員について設置認可申請を通すのが実態です。(ホームページ管理人)

企業大学(「東京リーガルマインド大学」)専任教員の違法な業務委託を追及

2005年7月25日 162国会

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○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 株式会社東京リーガルマインド大学の業務委託契約問題で伺います。
 まず公取委に伺いますが、小泉内閣は規制緩和を進めるため、特区法を成立させました。利潤追求の企業に大学教育への参入を認めたわけです。政府は、地域 産業を担う人材や不登校児に対する、不登校ですね、不登校の児童に対する特別な教育、これが既成の学校が対応できない面で株式会社やNPOなどの学校の設 置が必要だということを言いました。
 さて、リーガルマインド株式会社は、従前より司法試験等国家試験の受験指導を行う株式会社でありますが、平成四年の四月に特区による株式会社大学第一号 となりました。しかし、このリーガルマインドは、公正取引委員会から排除命令、最も重い処分だそうですが、受け、同大学の特区申請者である千代田区からも、学校設置会社の社会的信用を失墜させ、大学設置事業に係る経営を危うくする事態を憂慮せざるを得ないと厳重注意を受けています。
 排除命令の内容について簡単に御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(舟橋和幸君) 御説明申し上げます。
 私どもは本年の二月十日に、御指摘の株式会社東京リーガルマインドに対して排除命令をいたしております。その中身でございますけれども、司法試験の合格者の中で、同社の受験の講座を受講した者の数を水増しをして表示をしていたと、そういう事件でございまして、水増しの手口いろいろございましたけれども、例えば口述試験の会場ちょっと遠うございますんで、そこへ送迎サービスのバスがございましたけれども、そのバスを提供していたわけですが、そのバスを使っただけの人もカウントしていたとか、いろいろございました。そういう事件でございます。

○吉川春子君 平成十五年度司法試験合格者千百七十名の九四%に当たる千九十九名等がリーガルマインドの司法試験対策講座を受験した者であるかのように表示をしたということで排除命令を出されたと。そして、排除命令の内容は、今後こういうことをしてはいけないと、これは事実に反する内容でしたよということを公告しなさいと、こういうようなことでしたね。時間がないんで簡単に。

○政府参考人(舟橋和幸君) 御指摘のとおり、公示義務ですね、公告できちんともう一回そういうのがうそだったということを言えと、それから将来の不作為、この二点を行政処分という形で命じております。

○吉川春子君 文科省の副大臣にお伺いいたしますけれども、リーガルマインド大学は雇用契約ではなくて業務委託契約によって専任教員を雇っています。賃金も週一こま一万円とか一万二千円で、専任教員は月額五万円程度で働いています。大学設置基準の第十二条によれば、「教員は、一の大学に限り、専任教員となるものとする。」と。しかも、「当該大学において教育研究を担当するに支障がないと認められる者でなければならない。」とされています。
 専任教員の生活や大学の質がこの程度の収入で保たれるとお考えでしょうか。

○副大臣(小島敏男君) 前段の関係につきましては私の方から簡単に御説明いたします。東京リーガルマインドの大学においては、多くの教員が大学間との業務委託契約書を取り交わしているのが現状でございます。
 今、吉川委員御指摘がありましたように、五万円の報酬で生活ができるかどうかという点がありましたけれども、この点についてはうちの局長の方から御答弁させていただきます。

○吉川春子君 ちょっと、いいです、時間がないので簡単に。ちょっと、じゃ、一言ね。

○政府参考人(石川明君) ただいま専任の先生についての待遇のお尋ねがございました。
 現時点で、LEC東京リーガルマインド大学における具体的な教員の待遇条件につきましては、必ずしも詳細は把握できてはおりませんけれども、月額報酬が十万円に満たない教員が相当数いるということは承知をしているところでございます。
 教育研究活動の実施ですとか、あるいは学校運営への参画等の面で、専任教員としての役割、責任にふさわしい待遇としてどの程度の給与額が必要かということについては法令上の規定はございませんで、個別の事情ごとに判断することが必要であろうと、このように考えているところでございます。

○吉川春子君 大学の教育研究の質を担保する上で非常に設置基準の十二条、十三条等必要なんですけれども、委託契約の専任教員には研究費の保証が全くなし、研究室も個室はなし、十坪ほどの大部屋に十四、五の机が置かれ、教員名簿に名前が載っていない講師が席を占めている。文科省自身、収益に結び付かない分野において低調な面が見られると大学設置・学校法人審議会へ提出文書でも認めているわけです。
 研究環境としては余りにもお粗末で、研究室もない、研究費の契約もない、図書館すらまともにない、これは設置基準違反ではないかと思いますが、その点はいかがですか。

○政府参考人(石川明君) 委員からのお尋ねでございますが、私の方からお答えをさせていただきます。
 特に教員の研究室につきましては……

○吉川春子君 ちょっと、簡単にね。

○政府参考人(石川明君) はい。設置基準上は、「研究室は、専任の教員に対しては必ず備えるものとする。」というふうに規定されておりますけれども、個々の教員ごとに個室の整備までは求めていないところでございます。
 そして、LECリーガルマインド大学につきましては、設置の際には必ずしもその十分なスペースが確保されてはいないというような委員の感触もございまして、今後十分充実するようにという指摘が行われているところでございます。

○吉川春子君 厚労大臣にお伺いいたします。
 一般論として、最近、企業は社会保険料の負担を回避するために、業務委託契約とか業務請負契約で労務提供を受けて問題になっています。厚労省は労働性、労働者性に対する基準として、使用従属性に関しては指揮監督下の労働者であること、仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示に対する許諾の自由の有無、指揮監督の有無、拘束性の有無などを判断基準としていますですよね。確認です。

○国務大臣(尾辻秀久君) 今のお話はそのとおりでございます。

○吉川春子君 それで、東京リーガルマインド大学の教授としての仕事の内容は、ちょっと資料をお配りいたしました、皆様に。業務委託契約という資料がありますけれども、資料1、これは専任教員として交わしている業務委託契約書なんですけれども、第一条の二では、委託業務を再委託できないとされ、代替性はありません。第二条、講義の場所、内容、日時を指定し、さらに資料2の一、教員のルールとして、学生の前で授業計画は自分が書いていないから分からないなどと言うな、最後の六では、出席の取り方、収録手続、教室の割当てまで教務部の指示どおりやれと、完全に会社の指揮命令の、監督下に置かれています。その上賃金も、さっき言いましたように、週一こま一万円、一万二千円の時間給、業務従事の指示等に対して拒否する自由はありません。第五条、委託業務に関して発生した著作権は会社に譲渡する。社員でもないのに社内規定、マニュアル遵守をと拘束し、業務レベル、他の社員との協調性等に問題があり、指導しても改善しなければ契約解除、首というふうにしています。
 この内容は、これまでの内容に照らして、業務委託ではなく労基法九条に言う「労働者」そのものではないかと思いますが、その点についてどうでしょうか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 従来も個別の事案については御答弁申し上げておりませんので、この個別の事案ということでは答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 先ほども一般論としてというお話でございましたが、一般論として申し上げれば、業務請負であるか労働基準法上の労働者であるかについては、その実態見て判断することになりますし、その実態の判断基準は先生御自身お話しになりましたようなことで私どもも判断いたしておるところでございます。

○吉川春子君 先ほど、まずスケール、基準を言いまして、その基準に照らしてこの契約は非常に拘束性が強く、これは労働者と言うほかないと思うわけですけれども、実態面の問題について私は厚労大臣に調査を要求します。
 リーガルマインドは、二百十九名と報告されている専任教員のうち百四十八名、六八%が業務委託契約の教員です。社会保険の適用なし。こういう実態を是非調査していただきたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(尾辻秀久君) 実際に労働基準法等に照らして問題があると考えられる御相談がありました場合には、必ず適切に対応をしてまいります。

○吉川春子君 厚労大臣、リーガルマインド大学は、ここの労災保険加入実績、強制適用を見ますと、開設前の二〇〇二年の労働者は二千百十三人、大学開設後の二〇〇四年は千八百五十七人、二百六十七名も減少しているわけです。異常ではないでしょうか。本当は増えるわけでしょう、大学を開設しているわけだから。
 雇用、介護、医療保険も含めて確認していただきたいと要請しておきますが、その点は大臣、いかがでしょうか。調査、調査。

○国務大臣(尾辻秀久君) 申し上げましたように、御相談があれば必ずそれに対して対応するというのが私どもの仕事でございますから、そのようにいたします。

○吉川春子君 文部副大臣にお伺いいたしますけれども、このセーフティーネットの問題ですけれども、千代田区長や新宿区長が、社会的信用を失墜させ、大学設置事業に係る経営を危うくする事態と指摘するとおり、キャンパスは千代田区を含め全国で十一か所収容があると、定員が四千九百二十人なんですが、入学定員は千百四十五人、在籍生徒数が五百五十五人、専任教授は二百十九人になっていて、学生の集まりも非常に悪いようです。評判も良くありません。
 万一経営が破綻したときは、校舎も土地もなくて企業立の大学は設置できるふうになっていますので、学生に対してどう責任取るんですか。特区法の十二条七項にセーフティーネットの規定が置かれていますけれども、本学の場合、いざというときにキャンパス別にどの大学に編入させるのか、その点明らかにしていただきたいと思います。

○副大臣(小島敏男君) お答えいたします。
 構造改革特区の問題につきましては吉川委員が大変に御心配をされていることでありますけれども、この関係につきましては、特区の地方公共団体において転学のあっせん等必要な措置を講じるものということが決まりになっているわけでありますけれども、地方公共団体ではLEC株式会社との間に協定を締結して、定期の報告を受けてその経営状況を把握することによりまして経営困難への対応を図ることとしております。
 万一という話がございましたけれども、学生の修学機会の確保を図ることとしておりますけれども、その際の転学先が実際どこになるかはこれらの対応を通じて決まることになりますので、現時点において特定をするということはできないことを御了解いただきたいと思います。

○吉川春子君 この特区法成立のときも、セーフティーネットがあるから大丈夫だ、大丈夫だと当時の河村副大臣が繰り返しおっしゃっていることですので、そこはきちっとしていただきたいと思います。
 時間がなくなりました。最後に、厚労大臣とそれから内閣官房にお伺いしますけれども、要するに、こういうもうけ本意の企業大学を設置させたのは内閣の責任なんですよね。特区はうまくいけば全国展開するなんて言っていますけれども、この企業立大学に限っても到底全国展開なんかやってほしくない、やるべきではないということを質問いたします。
 それから、厚労大臣、さっきの業務委託契約は非常に拘束性の強いものなんですね、この契約は。ですから、これが業務委託などという形ではなくて労基法に言う労働者そのものではないかと思うんですけれども、非常に拘束性が強いものだということはお認めになりませんか。その点、最後に伺います。

○大臣政務官(江渡聡徳君) 今、特区のこの制度についてということでの御質問があったわけでございますけれども、ただいま株式会社立の学校についてということも踏まえて全国展開の御質問だというふうに伺っておるわけでございますけれども、その点についてお答えさせていただきたいと思いますけれども。
 まず、もう委員も御承知のとおり、この特区制度というのはあくまでも、地域の特性に応じた規制の特例措置を講ずることによって構造改革の推進を図るということ、そして地域の活性化を図ることを目的とした制度であるわけでございます。
 その流れの中において株式会社立の学校の特例措置ということを認めてきたわけでございますけれども、もう先ほどの答弁等でもお話がありましたとおり、株式会社立であったとしても学校教育としての公共性、継続性、安定性を確保することというのは必要でありまして、ですからこそ特区法の第十二条の三項、五項、七項において、さらにこの特区における学校については情報公開あるいは第三者評価の実施、セーフティーネット等の構築などを行うこととして御懸念にこたえるだけの十分な措置が講じられているというふうに私自身も考えているところでございます。
 いずれにしましても、この特区を実施していくそれぞれの地域において、まず地域自身が自ら考えて立ち上がっていく、つまり、大臣が常々申し上げているように、自主、自立、自考ということをしっかりと取り組みながら今後運営していくだろうというふうに思っているところでございます。
 それで、この全国展開につきましてですけれども、全国展開に関する評価につきまして、特定の地域における規制改革を全国規模へと展開させる観点から私どもとしては重要なことだと思っておりますし、また、このためにおいても、民間有識者で構成されております評価委員会におきまして特段の問題がないと判断された規制の特例措置につきましては速やかに全国展開を行うこととしているところでございます。
 本特例につきましても、特区における実施状況を踏まえて適切に判断し、十分な評価が行われていると、そのように考えているところでございます。

○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど来申し上げておりますように、業務請負契約が締結されていたとしても実態として労働基準法上の労働者に該当する場合には同法が適用されるものでございます。
 では、その実態をどう判断するかというのは総合的に判断をしなきゃなりませんけれども、先ほどお述べになりましたようなものも判断の材料になるということは間違いないことでございます。

○吉川春子君 時間が過ぎましたので、終わります。


投稿者 管理者 : 2005年08月08日 00:46

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