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2005年08月18日

文科省高等教育分科会、日本学生支援機構に対する平成16年度業務実績のヒアリング

日本学生支援機構部会(第3回)議事概要

日本学生支援機構部会(第3回)議事概要

1 日時 平成17年7月13日(水曜日)10時30分~14時
2 場所 文部科学省M6会議室
3 出席者等 (委員) 荻上委員、白石委員、高橋委員、森委員、仲野委員
(日本学生支援機構) 北原理事長他
(文部科学省) 栗山学生支援課長他
4 議題
(1)  日本学生支援機構から平成16年度の業務実績についてヒアリングを行った。主な質疑は以下の通り。
(○:委員、●:日本学生支援機構役職員、□:事務局以下同様)。

○ 資料に役職員が削減されたとあるが、これは具体的に人件費にも反映されているのか。またこのことと業務の外部委託との関連についてはどうなのか。
●人件費にも反映させている。人件費と外部委託費との関連については、日本学生支援機構の職員の平均給与が約900万円で、外部委託にすると定型的な業務は1人につき300万円から400万円で実施でき、定員職員の3倍のコストパフォーマンスがある。

○国際交流会館の管理運営は、日本国際教育支援協会に委託しているとあるが、これは入札により決定したのか。
●学生宿舎には様々な国の学生が入居している関係から文化や生活習慣への理解が必要であり、ある程度のコミュニケーション能力が求められる。
また、国から移管されたばかりであり、混乱を避ける意味でも、経験がある日本国際教育支援協会に随意契約で委託をしている。今のところ清掃やクリーニングなどもまとめて委託しているが、来年度はこの点は競争入札にて委託していく方向で検討いる。

○留学生宿舎では、給食実施しているのか。
●宿舎は、自炊室を整備しており、これにより対応している。

○そもそも中期計画の目標が有利子学資金については現状より悪化した8パーセント以下となっているが、その理由は何か。
●貸与規模が近年非常に大きくなったこともあり、多少の悪化が見込まれるためである。

○施設及び設備に関する計画が、段階的評価でBというのはなぜか。
●計画は立てたものの、耐震検査の結果を踏まえた具体的な方針まで出せなかったためB評価を受けたものと理解している。

○督促に関して、費用対効果を考慮の上、更に充実させる必要があるのではないか。
●まず、リスク管理債権にさせない努力が必要である。在学中の返還意識を高め、初年度の返還を徹底する。また、延滞者についてどこまで追跡するかということについて、専門家の客員研究員を受け入れ、費用対効果について検討することとしている。

●様々な機会をとらえ、大学への協力を要請してるところである。

○ 新規以外の返還率はどうなっているのか。
●全体での返還率は、16年度が77.9パーセントで、15年度は78.5パーセントである。

○全体の返還率の向上のためにどのような対策を講じているのか。
●卒業後初期段階での返還を徹底するとともに、督促電話等も外部委託により増やしているところ。

○古い債権は回収が難しいのか。また連絡がつかないような者もいるのか。
●確かに古い債権になればなるほど、回収が難しくなる。住居調査は集中的にやっているので連絡がつかないということはほとんどない。

○延滞者への指導は行っているようだが、返済開始時に指導は行っているのか。
●返済開始は、卒業後6ヵ月経過してからであるが、これに備えて卒業直前に大学で返還説明会を行っている。また、返還開始前に勧奨状を送付している。

○奨学金は借金であり、返さなければならないということを明確に認識してもらうために、借りる時と借り終えた時の2回にわたり認識の促進が必要。

○個別返還指導について、指導の方法はどうなのか。
●督促は、まず毎月督促状を送付することにより行っている。その後一定期間返還がない場合は振替停止になることから、請求書を送付し、電話をかける。また、返還が滞ると額がかさむため一括で返還することが難しくなる。そのような事態へのフォローを個別に行っている。なお、回収業務はこれまで本部のみで行ってきたが、今後は支部に専門の人材を配置し、地の利をいかして取り組んでいく。


○中期計画の中に「1年以上の延滞者全員を対象として個別請求行為を実施する」とあるが、実際はどうなのか。
●185万人の返還者のうち25万人の延滞者がいる。そのうち1年以上の延滞者が12万人、8年以上の延滞者は3万人となっている。その部分にはコストをかけても効果は上がりにくいので、そのことも考慮して6万件余りの個別請求行為を行う。

○機関保証制度について、その位置付けはどうなっているか。
●滞納後1年たった段階で保証機関に債権を渡すことになっている。

○大学での適格者認定が不十分なことと延滞者の数には相関関係はあるのか。
●双方の関係は必ずしも明らかではないが、日本学生支援機構は、奨学生の枠を決めて、大学側が個人を選んでいるということもあるので、大学側には奨学生や返還者への対応について協力を依頼しているところ。

○具体的にどのように大学等と連携していくか検討が必要。

○8年以上の延滞者に対してどのような対応をとるのか。
●悪質な者については、法的措置に訴える。ただ、コストがかかるのでそのことも踏まえていく必要がある。また、今後、専門の回収業者への委託も考えている。

○外部評価において留学生事業の項目ではBが多い印象があるが、日本学生支援機構として、他の事業と比べた時にパフォーマンスが落ちることがあるか。
●特に他の事業に比べてどうかということではなく、これは今年度に具体的な課題を残しているという意味でこのような評価になったと理解している。

○16年度計画されたことは実施しているが、外部の評価委員が計画以上のことを要求しているように思える。
○渡日前の大学等への入学許可の目標はどのように決めたのか。
●60大学という中期計画の目標を達成するためには、年に3.3大学増やす必要があるため、初年度は約46大学が目標となる。
●この件については、留学センターの事務官レベルの判断ではなく、大学全体の問題として考えていただく必要があるので、私大連等の各種団体の集まりで理事、学長レベルに加入をお願いしている。試験の内容と信頼性の向上も必要である。また、成績優秀者には、学習奨励費を与えることとしている。

○入居率はどうなっているのか。
●10月は留学生が入ってくるので90パーセント以上になっているが、9月や3月は70パーセント程度である。

○留学生宿舎建設等への助成について、中期計画には「地方公共団体からの申請があった場合には機動的に対処できるような体制の整備」とあるが、この機動的な対処とは奨励事業に係る建設業者の選定も含まれているのか。
●機動的な対応とは、申請者への指導・助言や事務手続きに関するものである。ただ、毎年申請がある訳ではなく、申請があった場合に補助金を出して留学生が入りやすい環境を整備するという意味も含まれていると思う。

○留学生への学資の支給その他の援助の項目で評価項目として「基準を設ける」とあり、外部評価の結果に「基準を適切に運用することで留学生の質の確保に留意することが必要」とあるが、このような指摘を受けながら段階的評定がAになっているのはなぜか。
●今年度は基準を設けることが求められており、それをクリアしているのでこのような評定になったのだと思う。基準の適切な運用と留学生の質の確保は、今後の要望事項と受けとめている。

○帰国留学生に対するフォローアップの充実という項目で「帰国外国人留学生データベースの整備、活用方針の策定」とあるが、これはどういうことか。
●現在データベースに6万件以上のデータがある。個人情報保護の観点から古いデータの整備を求められている。

○この点は、外部評価の結果に「事業実施等については、実績の通り
評価項目に対応できている」とあるが段階的評定がBになっているのはなぜか。
●これは帰国外国人留学生データベースの整備、活用方針の策定の見通しが立っていないということで、このような評価になったと思われる。

○帰国留学生のうち何パーセントぐらいがデータとして残っているのか。
●10パーセントに満たないのではないか。

○日本理解の促進のところで、小学校、中学校、高校に留学生を派遣しているとあるが、その交流プログラムの質はどのように評価されているのか。
●受け入れた学校から高い評価をいただいている。

○月刊「大学と学生」の発行が遅れていたが、それは改善されたのか。
●文部科学省から移管された当時は、遅れが生じていたが、年度末までに遅れを取り戻し、全て発行している。

○研修についてのアンケートについては、問題が指摘され、それを拾えるようなものになっているのか。
●自由記述の欄を設けており、それで対応している。

(2)平成16年度の財務諸表について事務局から説明を行い、審議の上、了承された。主な質疑は以下の通り。

●財務諸表の作成の手順と体制はどうなっているのか。また、貸借対照表の貸倒引当金の設定の考え方は、3年間の実績をベースにとあるが、具体的にはどういうことか。それと未収財源措置として国からの交付される予定の運営費と貸倒引当金の関係についてどのように考えるのか。

●貸倒引当金の計上方法は、独立行政法人会計基準に従い一般債権、貸倒金融債権、破産債権の3つに分類される。ベースになるのは、日本学生支援機構が抱えている平成16年期末の貸付残高である。16年4月1日現在でそれを期首にもってきて、それを正常債権を0から1、2~9年を貸倒懸念債権、10年以上を破産債権とする。それを過去3ヵ年の回収実績をキャッシュフロー的に10年間転がす。それぞれに発生する残存率をもとに貸倒引当金を算出している。
未収財源と貸倒引当金との兼ね合いについて、未収財源措置の貸倒引当金に与える影響は第2種の分につきまして、償還財源に穴があくと困るので、その分の回収不能が発生した時に直接償却するために国から特別に資金をいただいている。

●体制について、財務部に主計課、経理課、資金管理課がある。
客観的な監査も必要ということで企画部に監査チームを配置している。
外部の監査として、新日本監査法人に依頼している。内部役員として常勤監事が1名、非常勤監事として公認会計士の方に1名依頼している。

○未収財源措置予定額については、日本学生支援機構で計算した額が認められるのか。
●法令および中期計画等に従って措置される。


投稿者 管理者 : 2005年08月18日 00:19

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