個別エントリー別

« 平安女学院大守山キャンパス補助金返還問題、気前のよい守山市議会 | メイン | その他大学関係のニュース(主に大学別) »

2005年08月25日

立命館大学の大転換をねらう理事会、総長公選制の廃止、評価制度導入、改憲論など目白押し

■私大教達おおさか(第22号・2005年7月20日)より

一時金一ケ月カット
立命館大学の大転換をねらう理事会握案

総長公選制の廃止、評価制度導入、改憲論など目白押し

 「教員の研究力強化のために職員はがまんしろ」 「えらそうなこと言うが、あんたらいったい外部資金をいくら取っているんだ」 「一時金を六ケ月にすると言ったが、情勢が変わった」「憲法改正を持ち出してでも私学助成を取るためにたたかう」などなど、とても理性的とは思えない発言が理事会から行われる団体交渉が立命館大学で行われています。教職員組合は「組合史上、未曾有の大闘争」と位置づけ、連日の組合ニュースの発行や六〇〇名を越える教職員の参加で団体交渉を行うなどたたかいをすすめています。

旧帝大、早稲田・慶應に食い込み社会に存在示す

 立命館大学理事会は今年の春闘交渉で一時金一ケ月カット提案をしました。その理由は、「社会的水準論」と財政見通しの厳しさを上げています。しかし組合との交渉の中でこの主張の根拠の脆弱さを露呈しています。また今後の立命館は 「アジア太平洋地域におけるハブとなるべく、本学は今一段高い峰をめざす必要があ」るとして、旧帝大や早稲田・慶應との差をうめ、「「先頭グループ」に食い込んで社会に存在を示」 すとして、研究力強化をすすめるとしています。そのため、「民間をふくめ外部から思い切って人材を登用し、大学経営に資する制度設計」を図るとともに、「自然年齢を基礎とする画一的平均主義を廃」するなど教職員処遇の見直しを行うとしています。
 組合は政策合意型で様々な問題を解決した過去の歴史から理事会の説明を求めていますが、組合が納得できるような回答どころか、理事会は先述のような乱暴で挑発的な発言を繰り返しています。

根拠のない社会的水準論による一時金カット

 立命館理事会は一時金カットの主要な理由を 「社会的水準論」等と述べていました。しかし組合からその根拠をただされると 「社会的水準は様々にある。スーパーコンピューターでも比較しょうがない」などと開き直っています。東大と京大との比較なども言いましたが、何級の何号俸で比較したのか、手当はどうか、教育研究労働環境はどうかなど、組合からの質問に対しては何ら応えることが出来ませんでした。財政見通しの厳しさについても、シュミレーションでは将来の可能性を示唆しているだけで、その中身の具体的なものはありませんでした。また「本学が賃金カットを実施すれば、追随する他大学も出てくると認識しています。しかし、本学はこの点について、先陣を切り、後塵を拝することはできません」とも述べています。
 一ケ月カットは社会的水準論などにあるのではなく、今後の立命館の課題と関連があります。

研究力強化とは国家戦略に食い込むこと

 立命館学園の課題は研究力強化だとしています。国家戦略レベルの研究には、旧帝大や早稲田大・慶應大は事前の段階から安定的にはいるが、立命館は外されており、そのための研究政策を議論する必要があるとしていますが、立命館理事会の考えと組合の考えとは雲泥の差があるようです。
 組合は大学院について、博士課程は社会人が増え、モラトリアム院生もおり負担が大きいため、教学体制の見直しが必要だと提案していました。しかし理事会はそんなことには関心を示さず、〇七年度に三つのCOEを獲得することを目標に、重点は巨大な国家戟略の研究プロジェクトに食い込むことだとしています。具体的には一一億円の予算枠を作り、COEや他の巨大な国家戦略にコミットできる人材を、四年間を限度に学内外から一五名を集めるとしています。また、研究水準を高度化するとして、博士学位取得者に年額三〇万円、法科大学院担当教員に年額六〇万円、博士学位を指導を担当する学生一名につき年額一〇万円支給し、その学生が博士学位を取得すれば年額一〇万円を支給するとなっています。研究推進手当としてCOEや科研費のSに採択されれば一人一件につき八〇万円、科研費AかBで一人一件につき四〇万円、科研費Cで一人一件につき二〇万円を支出するとしています。これらのことを実施するのに必要なのは一一億円で、その原資は主に教職員の一時金カットで賄います。
 この提案にはCOEグループやロースクールなど当該の教員が、「金のために研究をやっているのではない」 と怒り出しており、組合の組織率が低かった職場でも組織率が上がっています。

公選制など管理運営の重大な変更

 立命館大学には民主的な諸制度が整っていました。そのことが教職員の合意のもとにさまざまな改革を推進する力になってきたと言えます。しかし理事会は 「経営体制の強化」と称して、総長公選制を大幅に見直し、事実上、理事会任命の制度に変えようとする動きも見られます。立命館大学では、組合との交渉を含め充分な話し合いを行い合意のもとに物事を進めるという気風がありました。しかし今回は組合との団体交渉さえ日程を早急に設定しないなど、極めて不誠実で、かつての信頼関係さえ覆すかのような動きも見えます。また、「私学助成は憲法改正論と一体になってきており、我々は憲法改正を持ち出してでもたたかう必要がある」 などと重大な発言もしています。

「汚点を残す改革を許さない」立命館大学教職員組合

 教職員組合は 「闘争委員会」を設置し、一時金カット提案と民主的な運営を守るためのたたかいをすすめるとしています。現在、理事会提案に対する抗議と撤回を求める署名が未組合貞も含め、一二〇〇筆以上 (組合員数を大幅に越える) の署名を集めると共に、近来にない高い支持でストライキ権を確立しています。「全教職員、全職場がひきつづき団結・連帯・共同を強め、最後までたたかいぬきましょう」と、組合は意気軒昂です。
 日本私大教連の全国代表者会議で全国支援が決定され、激励メッセージも寄せられています。大阪私大教連は六月一五日付けで立命館大学教職員組合に激励メッセージを送付しており、立命館大学の代表者から全国代表者会議の場で 「感動的なメッセージ」 と紹介とお礼がありました。

その後
 組合は再度団体交渉を設定しょうと事務折衝を継続していますが、理事会は人数制限と時間制限をしようとしています。また、「次回団交は怒号が飛び交うなかでやりたくない。整然としたなかでやりたい」、「組合は統制が取れているのか」など、理事会は自らの説明不足と回答内容に対する組合員の怒りに耳を貸さず、前回団交が怒号が飛び交うなかで決裂となった責任を組合に押しつけようとしています。組合は一二〇名以上が参加した全教職員集会を七月一三日に行い、ねばり強い運動を展附しようと元気です。


投稿者 管理者 : 2005年08月25日 01:16

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi4/mt/mt-tb.cgi/379

コメント