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2005年08月26日

日本学術会議、「21世紀における平和学の課題」

21世紀における平和学の課題

平和問題研究連絡委員会報告
21世紀における平和学の課題


平成17年7月21日
平和問題研究連絡委員会

この報告は、第19期日本学術会議平和問題研究連絡委員会の審議結果を取りまとめ発表するものである。

第19期日本学術会議平和問題研究連絡委員会委員
委員長 岡本 三夫 (広島修道大学名誉教授)
委員(幹事) 安斎 育郎 (立命館大学国際関係学部教授)
委員(幹事) 君島 東彦 (立命館大学国際関係学部教授)
委員 井口 和起 (京都府立大学名誉教授)
委員 宮本袈裟雄 (武蔵大学人文学部日本・東アジア比較文化学科教授)
委員 奥脇 直也 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
委員 宮下 国生 (流通科学大学商学部教授、神戸大学名誉教授)
委員 柴田 徳思 (日本原子力研究所特別研究員・東京大学名誉教授)
委員 茅 陽一 (地球環境産業技術研究機構副理事長・研究所長・東京大学名誉教授)
委員 瀬戸 昌之 (東京農工大学大学院共生科学技術研究部教授)
委員 佐藤 洋 (東北大学大学院医学系研究科教授)
委員 石川 捷治 (九州大学大学院法学研究院教授)
委員 内海 愛子 (恵泉女学園大学人間社会学部教授)
委員 奥本 京子 (大阪女学院大学国際・英語学部助教授)
委員 北沢 洋子 (前日本平和学会会長・国際問題研究家)
委員 高良 鉄美 (琉球大学法文学部教授)
委員 土山 秀夫 (長崎大学名誉教授・元学長)
委員 舟橋 喜惠 (広島大学名誉教授)
委員 山根 和代 (高知大学講師)

〔要 旨〕

1.報告書の名称
「21世紀における平和学の課題」
2.報告書の内容
1)作成の背景

 日本学術会議が、創設以来、核兵器と戦争、専制と隷従、圧迫と偏狭など、国際社会の病根を除去し、平和の基礎を固めるために一定の社会的貢献をしてきたことは広く内外に知られているところである。平和問題の科学的・学術的営為は、ブダペストでの国際科学会議(ICSU)では「平和のための科学」(Science for Peace)として、大学学長タロワール会議(Taloir Conference)では「地球的な死を回避する科学」として取り上げられ、またUNESCOなどでも平和研究(Peace Research)ないし平和学(Peace Studies)として認知され、戦争やテロなどの「直接的暴力」だけでなく、圧制・貧困・疾病などの「構造的暴力」からも解放された、真に平和な国際社会の建設をめざす新たな学術的・教育的な試みとして注目され、発展してきた。しかし、このような広義の平和問題は、研究対象と領域が途上国の貧困と疾病までも含む広範な分野に及んでいることからも容易に首肯し得るように、あらゆる学問領域を代表する科学者コミュニティである日本学術会議のような学際的な機関にして、初めて本格的に取り組むことのできる科学的・学術的な試みである。
 現代世界は、科学と科学技術の進歩発展にもかかわらず、核兵器、環境汚染、人口爆発、貧困などによって永続的繁栄を阻まれ、存続の危殆に瀕している。人類生き残りのための究極の学問(the ultimate science for human survival)とさえ言われる平和学・平和研究(以下、平和学)は、政治、経済、産業、学術、教育、芸術、スポーツ、娯楽等、あらゆる人間的営みの土台を確実なものとし、より一層の学際的な協力と学術研究者のたゆまぬ研鑽を媒介にして科学的に追究されることが要請されている。

2)現状及び問題点
(1)21世紀初頭の世界は戦争、テロ、大量破壊兵器の拡散、環境破壊と汚染、エイズその他の感染症の蔓延などによって前世紀を超える「暴力の世紀」になっている。
(2)主要国の中には世界の暴力的状況を解決しようとして軍事力の増強と民衆の不満の抑え込みを志向している政府もあるが、そのような政策は対抗暴力を刺激・誘発し、問題の解決をかえって複雑かつ困難にしている。
(3)戦争と抑え込みに挑戦するテロが頻発しているため、多くの子ども、女性、年配者を含む無実の民間人に被害が及び、人々は未来に希望が持てない状況に追い込まれている。
3.本報告の主旨 これら諸問題の解決は、日本学術会議がその発足以来精力的に取り組んできた国際的な諸問題と密接に関係しており、平和問題研究連絡委員会(以下、平和研連)においても頻繁に取り上げられてきたところであるが、日本の科学者コミュニティは、日本一国の国益(national interest)に留まらず、人類益(human interest)の達成という高い見地から現状打開の方策を徹底的に研究し、直接的・構造的暴力の克服と世界平和構築の要請に応えるために、一層の科学的追求を継続していく必要がある。

目 次
Ⅰ.平和問題を対象とした学術研究体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ.国際社会が直面する諸問題の地平 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
Ⅲ.平和学の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1)核兵器・通常兵器・安全保障 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
①核兵器の廃絶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
②小型武器(小火器)の軍縮 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
③情報化時代の防衛 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
④国家安全保障と人間の安全保障 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2)グローバリゼーションと国際法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
⑤人道的介入について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
⑥非軍事的手段による紛争解決・紛争転換 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
⑦経済と金融の分野におけるグローバリゼーション・・・・・・・・・・・ 7
⑧グローバル化するテロリズム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
⑨ユニラテラリズム(単独行動主義)の問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
3)構造的暴力の諸相 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
⑩環境破壊・環境汚染と平和 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
⑪エイズその他の感染症 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
⑫宗教・人種・民族問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
⑬構造的暴力から見たジェンダー問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
4)戦争の記憶と責任問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
⑭戦争責任と戦後補償 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
5)平和の創造に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
⑮多民族・多文化の共生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
⑯平和創造における芸術の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
⑰平和文化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
⑱平和教育 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
⑲平和運動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
Ⅳ.平和学の継承とその発展の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

……以下,略。


投稿者 管理者 : 2005年08月26日 00:39

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