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2005年10月12日

横浜市立大学教員組合、「学長選考・任命に当たっての教員組合の見解」

■横浜市立大学教員組合週報(組合ウィークリー 2005.10.11)
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(10月11日(2))を経由

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(10月11日(2))より

 国立大学法人は大学の研究教育を担う教員の投票による意向調査など、まがりなりにも学内の意志を尊重する手続を取っている。それを根本的に拡大した方式、大胆に前進させたのがこの小樽商大方式であろう。これは、本学のあり方とはまったく違う方式であり、全国的にみても驚嘆するような画期的方式ではなかろうか。大学の自治を担う学長(理事長)選挙における大学民主主義、という点では非常に徹底していると思われる。丸山真男の言う民主主義の「理念、制度、運動」(浅井基文氏論説・参照)からすれば、その理念、制度の画期性は明らかではなかろうか。本学の定款の問題性は、ほとんどの国立大学、そして今回の小樽商大方式のような者と対比する時、いっそうはっきりとうかびあがってくるのではないだろうか。

 本学のように、少数の人間(直接的間接的にすべて行政側による任命が貫徹した人々・・・教育研究審議会、経営審議会の全メンバーの選ばれ方を検証してみればわかる)からなる選考委員会での選出とあれば、研究教育を担う教員と職員の意向はまったくといっていいほど反映されないことになる。私の知る限りでは、現学長は、本学教職員がだれも知らない人物(急逝された前最高経営責任者の知人)であった。行政当局による直接間接任命の学長選考委員会による選考は、どのような基準で行われるか、基準そのものの妥当性をはじめ、「大学の自治」という点からは、深刻な問題をはらむ。そして、それは制度的には、実は憲法の保障する「大学の自治」(「学問の自由」の制度的保障)に決定的に違反するだろう、と考える。いったい行政当局との距離(自立性・独立性・自治性)はどこに保障されているのか?

 この問題は、教員組合ウィークリーが批判的に論評している「トッフル500点問題」と基本的に同じ構造的欠陥(民主主義的意思決定プロセスの欠如)によると考えられる。

 小樽商大方式は、その方式選択の理由に「国立大学法人化で、一般教職員の大学運営に関する意識が高まってきたため」ということをあげている。さらに「すべての教職員が学長選挙に参加することで、大学の担い手であるという意識がより強まる」と期待してのことであるという。

 独立行政法人化、大学の自立性・独立性・自律性をたかめるという根本のあり方からすれば、まさにこれこそ本筋ではないか、と考えられる。その場合、もちろん、大学職員の独立化のためには、法人固有職員の割合を高めること、運命共同体としての基盤を広げることも、重要な前提条件となろう。

-------(芦部憲法、参照)------

 大学の自治の内容としてとくに重要なものは、学長・教授その他の研究者の人事の自治と、施設・学生の管理の自治の二つである。

学長選考・任命に当たっての教員組合の見解

 次期学長の選考がはじまっていることをご存知の方もけっして少なくないと思います。周知のとおり、次期学長は、従来のような大学構成員の選挙ではなく、教育研究審議会および経営審議会を構成する者から選出された6名の選考会議によって選考され、理事が任命することになっています。

 私たちは、横浜市立大学が従来採用してきた学長選挙方式に問題点がなかったと言うつもりはありません。しかし、私たちは、今回の学長選考・任命方式は、従来の学長選挙・任命方式のどこにどのような問題があり、何ゆえに今回のような方式を採用するのか、十分な議論もなく、一方的に上から押し付けられた選考・任命方式であることを確認しないわけには行きません。

 公的な教育と研究の場である大学を運営する上で、学長は、最も指導的役割を果たすべき存在です。その学長を選考する際に、教育・研究現場を直接担っている教員の声が充分反映されることが、大学組織の運営にとって必要不可欠であることは言うまでもありません。その意味で、今回の選考・任命方式は、一部の者に権限が集中し、これまでの選挙・任命方式と比べ明らかに後退しているといわざるをえません。私たちは、このような民主主義の後退に対して、警鐘を打ち鳴らすと同時に、より「民意」を反映しやすい方式に改める努力を始めるよう当局に要求するものです。

 なお、今回からの学長選考方式によれば、経営審議会および教育研究審議会は各2名以内の候補者を推薦することができるとした上に、本学の専任教員が15名以上の推薦人を集めることによって候補者を推薦することが出来ることになっています。

 われわれは、このような教員推薦方式を導入したとしても、今回の選考方式の「権力集中性」が払拭されるものとは考えません。

 しかし、現行制度が実行される以上、現場教員の声を可能な限り選考過程に反映させるよう各教員が努力することは意味のあることだと考えています。組合として特定の候補を推薦することはいたしませんが、皆さん方が自発的に推薦活動について判断していただくよう呼びかけたいと思います。

 私たちの大学をよくするために、あきらめず、出来る限りの努力をしようではありませんか。


投稿者 管理者 : 2005年10月12日 00:10

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