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2005年10月28日
自由法曹団、「研究会報告書」にもとづく「労働契約法制」の立法化に断固反対する決議
■自由法曹団
∟●「研究会報告書」にもとづく「労働契約法制」の立法化に断固反対する決議
「研究会報告書」にもとづく「労働契約法制」の立法化に断固反対する決議1 去る9月28日、厚生労働省は、労働政策審議会に対して、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」の同月15日付「報告書」(以下「研究会報告書」という)を提出しつつ、「今後の労働契約法制の在り方について」の検討を諮問した。
これを受けて、同審議会は10月4日から労働条件分科会における検討を開始しているが、厚生労働省は、来年秋には同審議会の答申を得て法案化を目指しているものと伝えられている。2 しかし、厚生労働省がその立法化の基礎としている「研究会報告書」の内容は、使用者に対して「リストラ合理化」のための数々の強力な武器を新たに提供し、労働者の生活と権利を守るために使用者の「契約自由」を規制してきた従来の労働法制の基本を、この間に進められてきた労働諸法制の改悪にも増して大きく変質させるものである。
そのことは、①労働組合その他の労働者代表機関とはまったく異質であり労使対等決定をいっそう形骸化させる常設機関「労使委員会」の新設とその決議等への各種効果の付与、②使用者に対して労働条件の一方的変更の新たな手段を与える「雇用継続型契約変更制度」(「変更解約告知」制度)の新設、③違法・無効な解雇により労働者を職場から追放しようという無法な使用者の願いを実現させる「解雇の金銭解決制度」の導入、④横行する有期契約を悪用した長期間にわたる試用の「試行雇用契約」としての合法化をはじめとする有期雇用契約についての大改悪、⑤将来において生じる個別労働関係紛争についての仲裁合意を無効とする現行の仲裁法附則4条の再検討、などに如実に示されている。
これらにとどまらず、「研究会報告書」がホワイトカラー労働者に対する労働時間規制の適用除外についての検討を促し、これに沿って厚生労働省が「今後の労働時間制度に関する研究会」における検討を進めさせていることは看過できない。
一方で、「研究会報告書」には前進面とも言えるいくつかの部分も含まれているが、上に例示した数々の重大な問題点が労働者にもたらすことが明らかな被害は、部分的な前進面を打ち消して余りあるものと言うほかない。
だからこそ、「研究会報告書」に対しては、全労連・連合が揃ってこれを批判する声明を発表したのをはじめとして、数多くの労働組合から批判の声があがっているところである。3 自由法曹団は、このような「研究会報告書」にもとづく労働契約法制の実現には断固反対しこれを阻止するために全力を挙げるとともに、使用者の横暴を抜本的に規制し労働者の人間らしく働く権利をまもり発展させることに真に役立つ労働契約法制の実現を目指す粘り強い取り組みをひろく呼び掛けるものである。
2005年10月24日
自由法曹団2005年総会
投稿者 管理者 : 2005年10月28日 00:00
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