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2005年12月29日

山形大学職員組合、12月19日提示の国立大学法人山形大学職員人事規則改定案の撤回を求める

山形大学職員組合
 ∟●12月19日提示の国立大学法人山形大学職員人事規則改定案の撤回を求める
 ∟●2006年1月1日改正人事規則改正案についての山形地区事業場過半数代表意見書

2005年12月27日

国立大学法人山形大学長                     
仙道 富士郎 殿

12月19日提示の国立大学法人山形大学職員人事規則改定案の撤回を求める


山形大学職員組合
執行委員長 佐々木  実

 貴職は、「本学の研究の活性化を図り、科学研究補助金等の各種研究費助成金(以下「研究費助成金等」という。)、受託研究費、共同研究費等の学部資金獲得額の拡充を図るため、本学の研究プロジェクトの調整及び国内外期間との共同研究を戦略的に推進することを目的」(「山形大学研究プロジェクト戦略室規則案第2条」より)として研究プロジェクト戦略室を設け専任教員1名を配置し、また、「山形大学基本構想委員会が審議し学長が策定した基本方針に基づき山形大学基本構想委員会規則第2条第2号から第6号に定める目標・計画及び点検・評価の取りまとめを行うことを目的」(「山形大学評価分析室規則改正案第2条」より)として、評価分析室に新たに専任教員1名を配置することを決定しました。
 これら規則の制定、改正を受けて、国立大学法人山形大学職員人事規則の一部改正案が、2005年12月19日、山形地区事業場過半数代表、山形大学職員組合工学部支部、同農学部支部に提示され、同22日山形地区事業場過半数代表及び代議員に対して説明が行われました。
 同改正案は、現行規則第7条第2項「選考は、国立大学法人山形大学教員選考基準(以下「教員選考基準」という。)により、当該教授会、研究科委員会又は学内共同教育施設等委員会(以下「教授会等」という。)の議に基づき、学長が行う。」を「選考は、国立大学法人山形大学教員選考基準(以下「教員選考基準」という。)により、当該教授会、研究科委員会、学内共同教育施設等委員会又は役員会(以下「教授会等」という。)の議に基づき、学長が行う。」と、役員会による教員選考を制度化しようとするものでした。
 山形大学職員組合は、この改正案には以下の点で重大な問題が含まれており賛同致しかねます。本人事規則の2006年1月1日改定を撤回するよう要求いたします。

改正案の問題点

1.教員選考における教員自治の原則の空洞化
 改正案に盛り込まれた役員会の議による選考の制度化は、憲法第23条の「学問の自由」の制度的保障としての教員人事における教員自治、すなわち、教員集団自身による教員選考の原則を空洞化するものです。
 大学側は、役員会における選考の対象となる教員は、山形大学研究プロジェクト戦略室規則および山形大学評価分析室規則に規定された専任教員のみであり、既存の部局所属教員の選考を侵害する者ではないと説明しているが、人事規則改正案には、役員会の選考対象がそういった教員のみであるとの規程は何もありません。拡大解釈すれば、当該教授会における選考と並列して役員会の選考も可能である規程とないます。
 役員会には、教員経験者が複数含まれているとはいえ、学外者や事実上文部科学省から派遣されてきている元官僚らも含まれており、それらを含む経営者集団が直接に教員を選考することになれば、教育基本法が禁じている権力による教育、研究への介入を制度化することにつながりかねません。

2.学校教育法59条第1項違反の可能性
 学校教育法第59条第1項は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」と規定し、審議の対象となる重要な事項には、教員人事が含まれることは、各種判例でも確立されています。この原則に従い、現行の本学人事規則では、全ての教員選考は、教員集団が主体となった組織、すなわち、教授会、研究科委員会、学内共同教育研究施設等委員会で行われる規程となっています。
 今回の役員会による教員選考の制度化を盛り込んだ改正案は、この大原則を覆すものであり、学校教育法第59条第1項に違反する可能性があります。

3.懲戒規則の不備
 「国立大学法人山形大学職員の降任、解雇及び懲戒の手続きに関する規則」では、第2章において教員の降任、解雇、懲戒に関する規定を設けているが、それらは、学問の自由の制度的保障としての教員人事における教員集団の自治の原則を制度化した「教育公務員特例法」に準じた規程となっています。すなわち、教員の降任、解雇、懲戒は、所属教授会等における3分の2以上の同意、教育研究評議会における3分の2以上の同意を条件としています。現行規則では、全ての教員の降任、解雇、懲戒は、この規程の手続きに従って行われています。
 今回の改正案によって役員会で選考された専任教員は、所属教授会等がないため、現行懲戒規程による保護の対象とならなくなっています。同じ教員の身分でありながら、身分剥奪にかんして教員としての正当な手続きが踏まれない事になっています。私立大学においては、教授会での審議抜きでの理事会決定や審議結果に反した理事会決定による教員解雇が、労使紛争の大きな原因になっています。本学において、例え2名であれ、同じ教員でありながら、学問の自由の制度的保障である教員集団自身による選考、懲戒の権利が保障されない教員を制度化する事は、今後に大きな禍根を残すことになります。


投稿者 管理者 : 2005年12月29日 00:00

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