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2005年12月02日

日本私大教連、湘南工科大・秀明大・大阪工大・鹿児島国際大・日本文理大のそれぞれの不当解雇撤回を求める決議

日本私大教連
 ∟●【第18回定期大会特別決議】

湘南工科大学・秀明大学の不当解雇撤回と不当労働行為の一掃をめざす決議

 教育基本法は「教員の身分は、尊重され」なければならない(第6条第2項)と明記し、ユネスコ「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」は、教職員が「社会の変革に貢献する権利をふくめて」「市民的権利を行使することを妨げられてはならない。彼らは、かかる諸権利を行使したがゆえにいかなる刑罰も」「恣意的な、もしくは品位を傷つける取り扱いを受けてはならない」(第26項)と謳っています。また、私学の公共性を高め、繰り返される私学の不祥事を防止し、公教育機関としての私学のいっそうの発展をはかるために、2004年4月に私立学校法が改正され、学校法人制度の一定の改善がはかられました。これは、私立大学を設置する学校法人に対する社会からの強い期待と要求をあらわすものにほかなりません。

しかし、こうした社会的要請を何ら顧みず、同族支配や専断的運営によって学園を私物化し、教職員の権利を幾重にも踏みにじる私大理事会が一部に存在します。

湘南工科大学理事会は、1986年に組合員であることを理由とした3名の教授任用差別事件を引き起こしました。これに対して組合は十数年にわたってたたかいつづけ、2004年3月、東京高裁で勝利判決を勝ちとり、判決は確定しました。しかし、この過程で湘南工科大学理事会は2002年に、教授任用差別事件の東京地裁における学園敗訴の報復として、教授会にも諮らず組合委員長および書記次長に対する解雇を強行しました。この不当解雇事件も、2005年6月、横浜地裁において「解雇に理由はなく無効かつ違法」とし慰謝料の支払いを含む全面勝利判決を勝ち取っていますが、理事会は東京高裁へ控訴しています。理事会は、控訴理由のひとつとして、司法による教職員の人事への介入は「大学の自治」を侵すものであるという暴論を展開しています。控訴後の私たちのたたかいによって理事会は書記次長については控訴を取り下げ、書記次長の解雇無効の地裁判決が確定しました。しかし理事会は、懲戒解雇処分を撤回すると同時に、あらたに譴責処分にするという判決を無視する前代未聞の辞令を出しています。また、委員長の解雇について理事会は、頑なな姿勢をとりつづけています。

秀明大学理事会は、2002年以来、団交を拒否するという不当労働行為をくり返しておきながら、さらに組合役員の授業外しや個人研究室を理事と同室にするなどの不当労働行為を執拗につづけています。しかもそのうえ、2004年6月末日に、団交での事実無根の「暴言」などを理由に元分会長を解雇するという暴挙を強行しました。これに対し千葉県労働委員会は、2005年11月8日、組合の全面勝利命令を下しました。現在、組合は理事会に対し、中労委への再審査申立をせず労働委員会命令を履行するよう求めるとともに、元分会長の地位保全の仮処分を千葉地裁に申請してたたかっています。

こうした組合・教職員の権利に対する不当な攻撃は、私立大学の民主的発展を阻害し、ひいては国民の信頼を失墜させることにつながるものです。教職員やその家族の生活権の剥奪、大学教員の「教授し研究する権利」や学生の「教育を受ける権利」に対する著しい侵害を私たちは断じて許すことはできません。

私たちは、「支援する会」、両組合、弁護団とともに、また全国の私大教職員と組合相互の連帯を深めながら、湘南工科大学、秀明大学の不当な解雇を撤回させ、一日も早い勝利解決と不当労働行為の一掃をめざして闘うことを、ここに決議します。

2005年11月20日
日本私大教連第18回定期大会

大阪工業大学中根講師への懲戒解雇処分に断固抗議し、処分の撤回を求める決議

 大阪工業大工学部講師中根和昭氏に対する「懲戒解雇」処分に断固抗議する。懲戒解雇の事由として「『科学研究費補助金』について、学生が何らの役務を提供していないにもかかわらず、役務の提供をしたとして、学生らの口座に謝金名目で金員を振り込み、補助金の不正執行を行ったものである」としている。しかし本人や所属組合である大阪工大摂南大学教職員組合の要求にも関わらず、その証拠すら示さないのは言語道断と言うほかはない。しかも組合の独自調査では不正の事実は全く認められなかった。

 理事会は中根氏が科研費の不正使用をしたようにねつ造するため、学生を一室に長時間拘束し多人数で強圧的な調査を行っていた。その事で精神のバランスを崩し休学を余儀なくされた学生もいる。それでもなお不正がないとわかると、科研費での出張にあたかも不正が有ったかのように言い立てて全国の大学や研究機関に出張の事実の問い合わせを行い、中根氏ただ一人に対してのみに何度も備品の調査などを行った。まさに解雇を目的としたアラ捜しである。

 さらに大阪工業大学の科研費に対する管理は大変杜撰で、文部科学省の指導に反して機関経理すらされていなかった。文部科学省は、経理に不慣れな研究者が、意図せぬルール違反を犯すのを未然に防ぐために各研究機関に機関経理を義務づけたものである(『科研費ハンドブック』参照)。同時に「科学研究費補助金の在り方について」では『研究費の適正な使用は、基本的には研究者のモラルによって維持されるべき問題』であって『徒に硬直したルールにしたり、いわゆるペナルティーを過度に強化したりすることにより対応すべきものではない』と、している。また監督官庁からの指摘や告発も無いのに独自に厳罰を下すのは、科学研究費のあり方に明らかに反するものであり、全国の研究者・研究機関に深刻なる影響を与える事が危惧される。さらにそれが事実誤認であれば重大な人権侵害であり、その責任が厳しく追及されなければならない。もし組合活動に対する報復がその動機であれば、決して許されるものではない。

 中根氏は教育・研究活動や組合活動等を通じ大阪工業大学の発展に尽くしてきた。にもかかわらず、個人的な遺恨を晴らすとしか思えない不当解雇を強行した。

 日本私大教連は中根氏の解雇が撤回され、原職復帰が果たされるまで全力で支援するものである。

2005年11月20日
日本私大教連第18回定期大会

鹿児島国際大学3教授解雇事件の早期解決を求める決議

 8月30日、鹿児島地方裁判所は、田尻・八尾・馬頭原告(以下、3原告)の主張を全面的に認め、「原告らにはいずれも懲戒事由に該当する事実はない」として、原告の雇用契約上の地位等を認める全面勝利判決を下しました。

 判決は、教員採用にかかる選考委員会の議論や運営、採用候補者を決定した教授会の運営を問題視した学園の主張を、「理解しえないわけではない」としつつも悉く採用していません。一例を示せば、採用候補者の業績は経営学ではなく経済学だから科目不適合であり、科目不適合でありながら担当適任とする選考委員会報告書は虚偽である、と学園はおおむね主張しています。これについて判決は、「人事管理論、労使関係論の概念・定義は固定されたものではない」、「経済学の業績であることを理由に直ちに人事管理論、労使関係論の業績でないと結論付けることには疑問が存する」とし、事実上、学園の主張を退けています。

 しかし、学園は、9月7日、地裁判決を不服として、福岡高等裁判所宮崎支部に控訴し、あくまで争う立場を明示したのです。さらに、地裁に強制執行停止申立を行い、判決が命じた給与支払いをも拒否しました。このような学園の態度は、司法によって否定された独善を改めるどころか、ますますそれに固執し、3原告の人権をもないがしろにするものだといわなければなりません。

 私たちは、このように原告の働くものとしての権利や人権をないがしろにしている津曲学園理事会の姿勢を容認できるものではありません。

 私たちは、津曲学園理事会が、大学という民主的運営が強く求められる教育機関を擁する、公共性の高い学校法人としての良識を発揮し、早期に3原告を職場にもどし、健全で民主的な大学づくりに足を踏み出すことを求めるものです。

2005年11月20日
日本私大教連第18回定期大会

日本文理大学における不当解雇撤回を要求する決議

 本年3月、日本文理大学徂徠三十六助教授(以下、原告)が解雇され、現在、雇用関係上の地位及び賃金仮払いを求めて仮処分を闘っています。

 学園の主張する解雇理由は、①所属する経営工学科廃止と同時に退職する合意ができていたこと②その退職合意を翻意したことは学園の秩序を乱すことものであり看過できないこと③その他懲戒事項(禁止との学長勧告にも関わらず研究室に寝泊りしたこと、通勤手当不正申請に基づく不正受給、有給休暇の不正利用)です。

 この仮処分を争う中で、①退職勧奨は受けたけれども合意したことは一度もないこと②合意していない以上、「翻意」ということがあるはずはないこと③その他の懲戒事由も、解雇を正当化するために学園が過大に問題扱いしていることが明らかになりました。また、かつて、同大学において船舶工学科が廃止された際、所属教員は他学科に配転されていた(定年退職を除く)ことも明らかになりました。つまり、学園は、原告を解雇する正当な理由などなく、原告を辞めさせることを目的に解雇を強行したといえます。

 そもそも、大学教育とは、教員の研究を基礎に、専門・教養の別を問わず、大学で学ぶ学生の人格や知識をより高めるためのものです。その実現のためには、教職員が安心して教育・研究や大学運営に携わることができる環境が必要です。すなわち、民主的に運営される大学であり、身分が安定していることです。

 このような不当解雇が許されるならば、改組の度に教員を解雇することが許されることになり、また、安心して教育研究を続けることができなくなります。

 私たちは、日本文理大学が行った不当解雇を撤回し、原告を直ちに職場にもどし、民主的な大学運営を行うことを強く要求します。

2005年11月20日
日本私大教連第18回定期大会

投稿者 管理者 : 2005年12月02日 00:12

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