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2005年12月05日

東京都立4大学統合と非常勤講師の雇用問題

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●『控室』第57、2005 年11 月27 日発行

東京都立4大学統合と非常勤講師の雇用問題(15)

 『都立大学に何が起きたのか』(元都立大総長茂木俊彦著 岩波ブックレット2005年9月刊)を読んだ。首都大学東京誕生の舞台ウラを垣間見ることができて興味深い。指摘すべき点はいろいろあるが、ここでは二点をあげる。
 まず、第一点は「教育課程づくりをめぐる攻防―河合塾への丸投げ」問題である。 茂木氏は、「石原流トップダウンは、威勢はいいが、実力がない」という。新学部である「都市教養教育」の資料(新聞報道では学部の理念など)作成を受験予備校の河合塾に業務委託したことについて、「ぶざまなのは…一民間企業に丸投げする大学管理本部の態度」であり、「おそらく河合塾も受託したはいいが困惑したにちがいない」と指摘する。結局河合塾の「報告」は大学には正式には示されることがないまま、「最後の処理はうやむやになってしまった。まさに税金の無駄づかいであった」と断言する。ちなみに委託料はおよそ3000万円である(議会での追求や税金返還請求訴訟も考慮されるべきかもしれない)。
 首都大学東京の英語教育の現「丸投げ」先である株式会社ベルリッツに対する委託料も年間約3千数百万円ときくと同様の懸念を強く抱かざるを得ない。
 第二の点は、公立大学法人設立過程における都の振る舞いのひどさである。都の大学構想がいかに非現実的なものであるか、という指摘である。茂木氏は、極論すれば、大学管理本部が何を決めるのも設置者権限であると言い張るわりには、「権限を振り回した本人たちが責任をとれるような状態からはほど遠く、多くの部分でまとまりを欠き、いくつものアイディアが具現化されることなく雲散霧消してしまいかねない状況」だという。その結果、都が考えた机上の「構想」は、修正され、その具体化も当事者としての大学構成員にたよらざるを得なくなった事実があると指摘する。大学運営の実質的なイニシアティブを再転換する可能性と考えられなくもない。
 非常勤講師の雇用を守る立場から、首都大学東京との交渉やそれを支え強化するるための幅広い組合活動、とくに組合員拡大が必要になる。(TW)


投稿者 管理者 : 2005年12月05日 00:01

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