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2005年12月05日

大学教員における派遣・業務委託の実態

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●『控室』第57、2005 年11 月27 日発行

特集 大学における派遣・業務委託の実態(1)

 一昔前なら、労働一般の短期・不安定雇用の代表はパート労働だったが、現在では派遣労働や業務委託が急増している。この後二者は実際に働く職場と雇用主が異なる点に構造的問題を抱えており、特に事業主に利益の出る方向で派遣労働を原則自由化した日本では、その労働者は非常に不安定な立場におかれている(ちなみに派遣労働は欧州などでは雇用主に格段のメリットが出ないように規制され、また労働者は保護されている)。大学教育等の場面でも、非常勤講師にはパート労働者だけでなく、派遣労働者もいるのが現状であり、当組合としても緊急に対応していいかなくてはならない(ちなみに業務委託は、派遣労働の職場・雇用主・労働者という三角関係と似た形態のため実際に行われているかは不明瞭で、実態は派遣である違法な「偽装派遣」の可能性もある)。二回にわたって派遣・業務委託の実態を紹介する。

 私が某私立大学での勤務をはじめ、はや5 年が経とうとしています。それまで私は派遣としての経験はなく、主人の転勤でメルボルンへ滞在後、日本へ戻ってきてから職探しのため、派遣会社数社に登録したのが派遣スタッフとしてのスタートでした。
 登録して1年後、派遣会社のホームページで、大学での講師の仕事を知り、ネット上で希望の登録をしました。任期は半年間(前期のみ)でした。応募理由は、週に2 日、通勤も容易、期間が短い、ということでした。通常、応募から採用までは1 週間もかからない位です。応募者も多かった(派遣会社によると)ようで選考にかなり(1 ヶ月以上)時間がかかったのを覚えています。
 1 日4コマ、最大60 名。いくら何でも多すぎる人数。非常にきつく、無我夢中でした。契約期間が終わるのをひたすら待っていました。半年後、派遣会社を通し再度依頼が来ました。1 日のコマ数を減らす、交通費支給、などの条件で、1 年契約。現在まで更新をしています。
 スタッフと派遣会社、雇用先の関係ですが、仕事上での指示は雇用先から受け、給与は派遣会社を通していただきます。ほとんどの場合、交通費なし。保険などは、月から金のフルタイムで仕事をする場合は、派遣会社で加入ができ、有休もつき、健康診断も無料です。しかし、私の場合は条件を満たさず、これらは無いという事になります。大学は休みが多いので、仕事が無ければ、給与はゼロです。決して良い条件ではありません。いただく給与は、他の非常勤講師とは比べものにならないくらい低いです。もし1 人暮らしなどで生活がかかっているとしたら、当然複数の仕事を持たないと、生活は無理です。メリットとしては、契約期間が終了すれば、いつでもやめることができるということでしょうか。
 しかし、雇用先となんらかのトラブルがあった場合、仲介をする派遣会社は、どんな場合でも必ず雇用先の味方となります。派遣会社にとって雇用先はお客様。スタッフの代わりはいくらでもいます。派遣会社のフォローはあまり期待できません。
 大学で仕事をしていて、いろいろな面(次年度契約の遅さ、低すぎる給与、授業で使用するテキストがいただけない。等々)で他の講師との差別を感じてはいましたが、どうしても納得がいかない事は1つです。それは、配布プリントや掲示物などに講師名(=自分の名前)が記載されないことです。最初の数年間は私の担当授業の名前には、専任講師の先生の名前が( )内に載っている状態でした。私としてはどうしても納得がいかず、自分で大学側に申し出たのですが、「(教務学生課の)課長に言ってあります。」とか「会議に通さないといけないので・・」などはっきりした返事はもらえませんでした。この件については、派遣会社を通して話をしていただきましたが、その件以来、教務学生課の課長は、私の姿を見ると、背をむけ目を合わす事をさけ、挨拶さえしなくなってしまいました。現在、配布物などは、専任講師の名前の後ろに( )書きで私の名前がある状態です。納得はいきません。大学側は、派遣された講師を本当の講師と認めていないんだ。と解釈しています。
 しかし仮に1 日だけの講師でどのような契約だったとしても、大学側が希望をして雇った講師です。授業担当の講師名はきちんと掲示をし、他の講師と区別をしたいのであれば「○○ 派遣会社から来ている講師」だと明らかすべきです。(千葉小雪)


投稿者 管理者 : 2005年12月05日 00:01

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