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2005年12月09日

立命館大学、「民主的な労使関係の創造」とは何なのか?

京滋私大教連
 ∟●機関紙No105(2005.11.25号)

 以下は,この間,立命館大学でストライキの原因ともなった一時金一か月分カット問題等をめぐる組合運動の到達点と今後の課題について述べた,京滋私大教連・機関紙の記事である。

 現在の立命館大学では,春闘回答など重要な意思決定は,常任理事会ではなく,その上に組織される「常務会」で行われていると説明されている点が印象的である。
 また,最後に「立命館の一時金カットの撤回は、京滋私大教連加盟単組だけでなく、全国の私大組合にとっても非常に大きな意味を持っています。もし仮に、このような回答が、理事会の一方的な判断でまかり通るようなことを許してしまえば、来年度以降の各大学における教職員の賃金・労働諸条件をめぐる問題や民主的な大学運営のあり様に多大な影響を与えることは必至です。そのことの重大な意味を改めて受け止めていただき、引き続き立命館大学教職員組合に対する支援活動をお願いするものです」と締めくくっている。

 一つ疑問を呈するならば,立命館大学教職員組合は,今回の問題が「各大学における教職員の賃金・労働諸条件をめぐる問題や民主的な大学運営のあり様に多大な影響を与えることは必至」であると認識するのであれば,何故,自らの同じ学園内に存在する大規模な差別雇用やAPUの解雇も同時に問題にしないのだろうか。これは,当然ながら,同じ学校法人の財務政策の根幹から発生する問題であって,賃金・労働諸条件や大学運営のあり方を根底から規定するものである。
 現在,APUの労組は,4名の解雇を撤回させる運動において,何千名もいる立命館学園全体からみれば,ある意味孤立した闘いを余儀なくされている。継続雇用を求めるネット署名をみてもわかるように,京都・立命館の大勢の教職員は,かれらの運動を支援するどころか,ほとんど無視しているかに見える。こうした現状のまま,仮に,正規雇用の教職員が100%の要求回答を獲得したとして,現在の立命館の体質にどれほどの改善をもたらすことができるだろうか。また,差別雇用を放置したまま,そこで確立される(下記副題にある)「民主的な労使関係の創造」の中身とは,一体どのようなものなのだろうか。
 かの連合(日本労働組合総連合会)でさえ,今日的な状況を踏まえて,パートなど非正規労働者の権利擁護を問題にしている時代であるのに,大学教育職分野の状況をみると,正規雇用者から構成される組合の運動レベルは,旧態依然のままである。むしろ,歴史的にみれば,逆行しているのではないか。11月20日,第18回定期大会で採択された日本私大教連の議案書を見ても,有期雇用労働者の問題については,総括はナシ,「来年度方針」では,たった1行「非専任教職員の処遇改善 非専任教職員の要求調査など行い,処遇の改善を求めていきます。特に,非常勤給・時間給の引き上げと希望者の私学共済加入を重視します」とあるだけである。「労働基本権の確立・権利擁護」の方針には,非専任問題はない。こうしてみると,強調される「民主的な労使関係の創造」とは,論理的帰結として,分断的な労使関係を「創造」することがその中身になっているのではないかと「想像」される。

立命館大学における闘いの到達点と秋闘に向けた課題
―全ての大学で、民主的な労使関係の創造を進めましょう―

京滋私大教連書記長
川口晋一

 立命館大学では、前期・春闘において前代未聞の一時金一か月分カットをはじめとした、教職員に格差を持ち込む政策無き研究手当ての回答提示など、大学創造における教職員の奮闘に対する評価は一切示すことなく、理事会は独善的で強圧的な姿勢を際立たせていました。これに対して教職員組合は、全教職員を視野に入れて回答撤回を求める一、二○○筆を超える署名集約をおこなうとともに、十の教授団と全職場からの決議、そして団体交渉には六○○名をこえる教職員が参加して理事会の姿勢を厳しく批判し、回答の撤回を求める大運動を展開してきました。 
 前期の交渉を通じて、春闘回答が示す問題が極めて根深いものであり、まず、その撤回が必須であることが明らかになりました。基本回答である一時金カットの政策意図も根拠も全く不明で、理事会はまた、その回答内容を二転三転させることでその混迷ぶりを露呈しました。研究政策に関して成果主義的手当てをインセンティブに、外部から優秀な研究者を招いて国家的プロジェクトに食い込むという考えを示していたにも関わらず、交渉や職場での多くの批判に晒される中で、理事会は学内にも優秀な研究実績があることを認めざるをえなくなり、事実上の回答の「修正」を行なわざるをえませんでした。しかし、理事会は一部先進教職員にしか依拠しないという差別主義的な発想に基づいて、学園改革が進まない最大の理由は、戦後民主主義の画一的平等主義であるとの認識も明らかにしました。このような状況から、教職員組合は財政見通しや学園将来構想諸事業に関わる理事会の判断、さらに合意形成といった民主主義の根幹に関わる問題にもメスを入れる必要が明らかになってきました。
 今回の「回答」が従来と大きく違い、学部長などで構成する常任理事会の上に組織される「常務会」が中心になって「回答」を用意したものであり、事前の作業で所轄事務局へのヒアリングもなく、部門によっては部長ですら事前に「回答」内容を知らないというズサンさも見逃せないものでした。これは単なる事務局軽視といった問題ではなく、政策を主体的に推進する当該の事務局すら確信の持てない「回答」だったという意味において、事実、現場の実態に基づかない「回答」であったという重大な問題を生じさせています。……


投稿者 管理者 : 2005年12月09日 00:55

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