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2005年12月13日

全大教、「『科学技術に関する基本政策について』に対する答申案」への意見書

全大教
 ∟●「『科学技術に関する基本政策について』に対する答申案」への意見書

2005 年12 月9 日

総合科学技術会議
議長 小泉 純一郎 殿

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 大西 広

「『科学技術に関する基本政策について』に対する答申案」への意見書

 私たち全国大学高専教職員組合(全大教)は、わが国の大学、高等教育の充実には基礎的研究教育の大切さとその財政的基盤整備を求め、さらに短期の成果を問う評価方式への傾斜が均衡のある学問、科学技術を脅かすことを危惧する意見を表明してきました。
 今回、「『科学技術に関する基本政策について』に対する答申案」において第2 章1「基礎研究の推進」、第3 章「科学技術システム改革」などの中で基礎的研究および大学・高等教育機関の役割の重要性と整備充実の必要性を指摘していることは支持できます。
 以下、こうした観点をより実効あるものとするため意見書を提出するものです。

1, P.10 L.23 前者については、環境、平和、生命倫理、基本的人権などの人文・社会科学の知見と科学技術のあり方との関連を相互交流と総合化する研究を行い、広く共有することが求められる。(挿入)(以下続く) 新しい知を・・・
理由: 下線部挿入追加。科学技術の発達が、地球環境、人類の持続可能な条件の下で進められるべきであり、その検証には人文・社会科学的知見からの視点が不可欠です。より具体的な喫緊の課題の例示をすることでその重点、方向性を明らかにすることが大切です。

2, P.17 L.25 る。知の創造と活用の実現の場にするには、個性化を妨げる大学の教育研究体制の格差の増幅および入学試験制度における序列化の弊害について認識し、改善の方策を講ずるべきである。(挿入) (以下続く)各大学の・・・
理由:下線部追加。 大学が知の創造と学問、科学技術の教育を目指すことに関連して学生の低学力化、学ぶ意欲の弱さ、施設整備を含む財政的基盤などが指摘されるが、その一方で安易な大学の機能分類やセンター試験などを利用した偏差値依存の入学試験制度などが大学の序列的格付け、ひいては格差を生み出しており、その弊害の是正に取り組むことが必要です。

3, P.18, L.28 博士課程(後期)在学者の2 3~4割(削除・挿入)(以下続く)程度が生活費相当額程度を受給できることを目指す。
理由:削除線あり、下線部挿入追加。 本答申が指摘するように、大学院生の経済的状況はきわめて厳しいものがあります。研究への意欲を持続できるようにとくに奨学制度の手薄な我が国にあっては、早急にアメリカ並みに近づけるためにも上記程度に人数を増やして生活費を支給することが望まれます。

4, P.22, L.33 なお、国立大学法人運営費交付金は、基盤的経費であることを踏まえ公正な配分がなされ(挿入)その全てが各大学の教員数等に比例して配分されるべきものではなく、また配分された経費については(削除) (以下続く)各大学の自主的・自律的な学内配分を尊重しつつ、学長裁量配分なども含め、競争的環境の醸成等の観点に立って、(削除) (以下続く)競争的資金や外部資金とあいまって最も効果的・効率的に活用されることが重要であり、
理由:削除線あり、下線部挿入追加。国立大学運営費交付金は基盤的経費であり、国立大学法人法制定における国会審議においても、国が責任も持ってその確保を図るとされており、競争的性格をもつ資金と混同されてはなりません。

5, P.25 L.5 盛り込んだ総合的な学問、学芸、科学技術を含む(挿入) (以下続く)「地域の知の拠点再生プログラム(仮称)」
理由:下線挿入追加。 本答申の基調には科学技術とりわけ応用の側面に偏重することなく、基礎的研究の必要性、人文・社会科学の知見との密接不可分性などを指摘しています。それらを地域において実現するには奥行きのあり総合的な知の担い手を配置することが必要です。

6, P.33, L.28 国は、このうち、卓越した研究拠点、(削除)(以下続く)人材育成機能を重視した基盤的施設について、老朽施設の再生を最優先として整備する観点から、第3期基本計画期間中の5年間に緊急に整備すべき施設を盛り込んだ施設整備計画を策定し、計画的な整備を支援する。
理由:下線部削除。文部科学省調査協力者会議「知の拠点-今後の国立大学等施設整備の在り方について~世界一流の人材を養成する教育研究環境への再生(仮称)~中間まとめ」によれば、研究拠点の整備はおおむね達成しているが、老朽化改善は5割にとどまり、とりわけ耐震設計では深刻な状態にあります。国の責任でこれら施設設備の改善を行うよう明確に規定すべきです。


投稿者 管理者 : 2005年12月13日 00:00

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