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2006年01月31日

京都大学任期制再任拒否事件控訴審、大阪高裁第9民事部判決 控訴棄却 井上教授上告へ

 京都大学任期制再任拒否事件控訴審で,大阪高裁第9民事部は,1月26日,控訴人である京都大学井上一知教授の訴えを棄却したようだ。今回は先の再任拒否決定の取り消しを求めた訴訟に続き,地位の確認を求めた訴訟の控訴審判決であったが,裁判長(柳田幸三)はこうした点でも請求を退けた。理由について,下記報道では「原告は任期を明確に認識したうえで同意して教授になった」と述べたとされる。しかし,この判断は極めて不当である。

 阿部泰隆編著『京都大学 井上教授事件-任期制法悪用から正義の回復を目指して-』(信山社,2004年)には,井上教授が任期を定める「同意書」に同意(サイン)した経緯が詳細に明らかにされている。同意書が作成される際,「京大規定任期が切れて再任かということで,……普通にまともに仕事をすれば再任される。私はもう普通以上に仕事をするという気持ちでおりましたし,それで,任期が切れれば退職するとか,任期が切れれば終わるとか,そういう説明は一切受けておりません。…」(28ページ)というのが事実である。いわば同意書は騙し取られた。裁判所では,こうした詳細な経緯や事実関係等が,何故認められないのであろうか。この事案についても,上告は当然であろう。

毎日新聞大阪(2006/01/27)より

京大の再任拒否:元教授の控訴棄却-大阪高裁

 京都大再生医科学研究所(京都市)の任期制教授だった井上一知さん(60)が、再任を拒否されたのは不当として、京都大に地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が26日、大阪高裁であった。柳田幸三裁判長は「原告は任期を明確に認識したうえで同意して教授になった」と述べ、請求を退けた1審・京都地裁判決を支持、井上さんの控訴を棄却した。
 判決によると、井上さんは98年5月、5年任期で教授に就任。学外専門家による外部評価委員会は再任を認めたが、大学側が拒否したため、03年4月に失職した。
 大学側の再任拒否処分の取り消しを求めた訴訟も昨年12月、大阪高裁が請求を退けており、井上さんが上告している。



朝日新聞(2006/01/27)より

2審も再任認めず 京大任期制教授訴訟 大阪高裁

 京都大再生医科学研究所(京都市)で任期制教授を5年間務め、再任を拒まれた井上一知氏(60)が、京大学長らを相手取り、現在も教授職にあることの確認を求めた訴訟の控訴審判決が26日、大阪高裁であった。柳田幸三裁判長は「任期制教授は期間が満了すれば当然身分を失う。再任が原則という井上氏の主張は認められない」として、請求を退けた一審の京都地裁判決を支持し、井上氏の控訴を棄却した。井上氏側は上告する方針。

桃福
 ∟●お知らせ情報より

1月26日(木)午後1時15分から 第9民事部(別館7階72号室) 判決です(地位確認訴訟)
(速報)控訴棄却  上告へ  詳細は後日です。

(高裁判決に対する 専門家の意見紹介)
「大学の自治」を はきちがえている
「大学の自治」とは 本来 政治や権力の介入から大学を守るという意味である。
外部評価委員会の判定を尊重する(判定に拘束される)ことは、大学の自治の侵害になるというような理屈は、間違っている


投稿者 管理者 : 2006年01月31日 00:13

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