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2006年01月06日

私立大学のリストラについて

日本私立学校振興・共済事業団
 ∟●「スクールファイナンスの新しい構築」 ~財務戦略を核とした経営改革~ (月報私学平成18年1月1日第97号)

「スクールファイナンスの新しい構築」 ~財務戦略を核とした経営改革~

……

リストラでは学生を集められない

 鳥居 幡野先生は、東京理科大学の常務理事をなさっておられますが、同時に(財)科学技術振興会の理事長も務められたりと、いろんなご経験をお持ちです。大学の運営の上で、一人一人の教授、それから教授会が、なかなか経営のことを理解しようとしませんので、どこの大学も経営に苦労します。そんな中で、東京理科大学は歴史的にかなり前から理事長が一人一人の先生の評価をできるような仕組みを持っておられると伺っています。そういうご経験も含めて、日本の大学の経営でどこが問題なのか、お話しいただけないでしょうか。

 幡野 現在の日本の私学の状況は、非常に行き詰まっているとしか考えられません。国立大学も含めてなのですが、進学、勉学を希望する学生に対して、これほどの座席数は必要ないというところが根本の構造的な問題です。それを取り合っている状況の中で、突き詰めると、各大学が各々差別化の努力をした結果、生き残った大学に任せるしかないのかなというのが結論です。
 先ほど西田先生がおっしゃったリストラは、非常に問題があるように思います。というのは、私立大学の収入基盤というのはその大学の知名度とか社会的評価に大きく依存しているわけです。経営が厳しいからリストラを始めたとなると、収入の一番の基盤である学生を集められなくなることは目に見えています。一般の受験生が、あの大学はリストラをして生まれ変わろうとしている、というポジティブな理解はしてくれないでしょう。従ってリストラによって支出を削減して生き延びようとするのは、なかなか難しいのではないのでしょうか。
 私どもの法人には、山口県山陽小野田市に山口東京理科大学があります。そこは帰属収支のマイナス状態が続いております。一時期七〇%まで学生定員充足率が下がってしまったことがあります。これは、本来、学生定員を充足させることが経営上で一番重要であるにもかかわらず、それよりも学生の質を上げることを重視したためでした。当時の理事会は、事務職員を何名か引き上げて本部の東京理科大学に移すとか、あるいは入試に関わる賞与の額を下げるということを具体的に行ったのですが、これはもろに職員の士気を下げる結果になってしまいました。
 そのあと、私が山口東京理科大学の担当になってから、まず一番大事なのは学生を確保することだということで、初年度にかろうじて定員を確保することができました。その結果、少なくとも山口県の中では見直してもらえるようになり、現在では入学定員を確保できるようになってきています。
 本学の特殊性としては、理工系のみの大学だということです。そして、付属校としての初等中等教育機関を持っておりません。やはり本体の東京理科大学の財政の安定性が全てを左右しているということです。……


投稿者 管理者 : 2006年01月06日 00:09

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