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2006年01月23日

「九州大学教員業績評価」の実施について―質問状―

九州大学教職員組合
 ∟●「九州大学教員業績評価」の実施について―質問状―

2006年1月18日

九州大学総長
 梶 山 千 里  殿

九州大学教職員組合執行委員長
高 木 彰 彦(公印省略)

「九州大学教員業績評価」の実施について
―質問状―

  昨年12月16日に開催された大学評価委員会において,「九州大学教員業績評価実施案」(以下,実施案)が議題となり,現在,部局に持ち帰って検討されております。教職員組合ではこの実施案には看過できない重大な疑問点があると判断しております。
 つきましては,実施案につきまして,以下の点についてお尋ねいたしますので,すみやかに文書で回答下さいますようお願い申し上げます。

1.実施案の趣旨について

 大学とは,本来,自由な雰囲気で教育・研究に従事する場であるはずです。しかるに,この実施案は,教員の監視体制を強化し,自由な教育・研究活動を妨げ,教職員の相互不信を高めることが予想されることから,九州大学という教育・研究の場を改悪する悪制度だと考えられます。私たちはこのような弊害の多い制度の導入に反対します。このように,監視が強化され,自由な教育・研究活動が妨げられるような大学に,若くて優秀な人材が集まるのでしょうか。

2.自己点検・評価制度及び「大学評価情報システム」との関係について

 本学では,すでに自己点検・評価制度が導入されており,教員の業績評価は,毎年,自己点検・評価によって行われているはずです。実施案はこうした自己点検・評価制度とどのように異なるのでしょうか。また,実施案の趣旨では,評価結果を「九州大学の教育研究等活動の状況や特徴を社会に対し明らかにする」ために公表されるようですが,本学の教育研究等活動の状況や特徴を社会に対して明らかにすることは,既存の「大学評価情報システム」によってすでになされていることであり,屋上屋を架すことになりはしないでしょうか。既存の「大学評価情報システム」によって,すでに十分に明らかにされていると思われます。
 また,実施案の第7の4項で,「大学評価情報システムを活用する」と書かれていますが,「大学評価情報システム」が設立された際には,当該システムが業績評価に用いられることはないとの合意に基づいてスタートしたのではなかったでしょうか。

3.果たして活性化するのだろうか

 実施案の趣旨は,評価結果を,九州大学の活性化のために利用することにあるようですが,活性化に資さないとする評価結果がなされた場合,当該教員が不利益を被ることになりはしないでしょうか。例えば,任期制を導入している部局で評価結果が再任を審査する際の規準として用いられる可能性がありはしないでしょうか。評価結果を教員の昇格や給料、さらには懲戒などの判断材料に用いないことを明記すべきだと考えます。

4.予想される結果と仕事量の増大について

 前項で述べたように,実施案が昇格や昇給の判断材料に用いられるならば,個々の教員は,自らの評価に際して達成の十分可能な目的・目標しか挙げざるをえません。本来,教員はライフワークとその時々の流行のテーマという2種類の研究テーマを持っているものですが,結果的に,後者のしかも小粒のテーマしか設定できなくなります。これは,大学人の自殺行為に等しく,活力ある大学を否定するものです。かつて社会主義諸国において計画経済が失敗に帰したという歴史的教訓を全く顧みない愚行であるとさえ言えるでしょう。
 また,実施案を実行するためには,膨大な時間と労力とを教員及び評価者に強いることになります。法人化後,教員の仕事量が急増し,教員は教育・研究時間を確保するために四苦八苦していますが,実施案は,さらに,その貴重な教育・研究時間を減らすことにつながります。今回の案が,どうして教員の教育・研究活動を活性化させることになるのでしょうか。

5.大学評価委員会及び教員業績評価委員会の役割と関係について

 実施案の実施組織である「大学評価委員会」及び「教員業績評価委員会」がどのような委員会で,どのような委員によって構成されるのか,両委員会の役割と関係,さらには,これら委員会が教員の業績評価に対して,偏向した評価結果を部局に押しつける可能性がありはしないでしょうか。
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 上記の質問状に出てくる、当局が提示した実施案はこちらです。


投稿者 管理者 : 2006年01月23日 00:11

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