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2006年02月01日

APU常勤講師不当解雇問題、当局側 組合に対抗してビラ配布 どちらが説得的か

 これまで数年間,全国大学のいくつかの不当解雇事件に関わってきて,問題を起こした大学の質というもの,および問題を発生させた場合の大学側の対応についてある特徴がみられることがわかった。特に,後者の大学の対応には2つのパターンがあることがわかる。一つは,解雇事件を起こした結果,当然ながら被解雇者や組合などその支援者が不当解雇の主張や運動を展開する。これに対して,大学はやっきになって自己防衛のために,あらゆる媒体を利用して自己の言い訳を主張し,あるいはビラやインターネット(新聞記事も含む)等での問題の公開を「名誉毀損だ」として(法的手段も含めて)関係者に圧力をかけてくるパターン。もう一つは,被解雇者や支援者のあらゆる宣伝等に対して,まったく無関心を装い,何も言われても黙り続けるパターンである。
 前者のパターンの典型例は,鹿国大であった。この大学の場合,支援団体の運動に対抗するかのように,自らの「正当性」を主張するために,全学生・全父母に長大な文書を配布し,また公式ホームページにも全文を掲載した。また,支援団体の何百人という全国大学の関係者に対しても弁護士を使って一種脅しとも受け取られる文書を郵送した。
 立命館大学の場合は,この2つのパターンのうち,どうやら前者に属する大学のようだ。このパターンは,自己の行為に自信を持てていない証拠を露呈させるものであり,またもともと不当解雇であるからして理路整然として正当性を論理立てることはできない結果,文書等の主張内容において,墓穴を掘る確率が高い。以下の立命館当局の文書もその類に属すると思われる。

 以下の文書は,APU常勤講師不当解雇問題で,APU分会が1月26日,学内の学生に理解を求めるためにビラを4000枚配布したが,同日大学当局側も急遽これに対抗するかようにビラをまいたものである。 これを受け取った学生たちの反応は,以下のネット署名にある。下記に2~3だけ紹介したい。どちらが正しく物事をみて,そして主張に説得力を持つだろうか。

言語教育を改革し、言語教育の質を向上させるためカをあわせよう
一言語を担当する有期限雇用の常勤講師の契約期間満了に関する大学の見解

 現在、APUは、開学4年間の成果を踏まえつつも、「ニューチャレンジ」と称して、APUのさらなる発展と立命館学園の国際化の推進に取り組んでいます。言語教育はその中でも特に重点の分野として、昨年4月より言語インスティテユートを設置して、言語教育の改革に取り組んできました。
 しかしながら、APUの一部の常勤講師の先生も加入されている大分地域労働組合は、教員制度の改革に関わって、ホームページやビラにおいて一方的で看過できない内容の広報活動を行っています。
 たとえば、「誠実な話し合いに応じること」という主張ですが、大学は大分地域労働組合の要求にしたがって昨年夏以降、誠実に5回の団体交渉に応じています。また、雇用契約期間の満了を「解雇通告」として主張していることも事実と異なります。
 これらの一方的な主張を根拠に、大分地域労働組合は、1月24日、大学に対して「争議行為通告書」を手渡しました。これらの経緯を踏まえ、APU教職員、学生の皆さんに、現在の言語教育改革の取組と制度改革の主旨、また、大分地域労働組合が「解雇」と主張する不当性について、大学としての見解を説明します。

APUの語学教育体制は、いっそうの充実をはかっています

 APUにおける言語教育は、開学後5年余りの教育実践を通じて、社会的にも高い評価を受ける到達点を築いています。日本語能力を前提としない国際学生の受入、日英二言語教育システムを支える言語教育など、これまでに類例のない課題に取り組む中で、こうした社会的評価を得ることが出来たことを誇りに思っています。この到達点は、専任教員をはじめ、常勤講師、兼任講師の先生方が、教育実践の最前線に立って奮闘されてきた結果であると受け止めています。
 しかしながら、国際社会で通用する語学力を養成するためには、まだまだ不十分です。APUの語学教育の抜本的な強化が必要と考えています。そのためには、統一的方針に基づく言語教育政策の確立・実施、優れた教材の開発、教育内容の標準化、教育方法の改善・充実が不可欠な課題となっています。これらを実現するために教員制度の改革を行い、常勤講師制度にかわって新たに上級講師制度、嘱託講師制度を導入しました。専任教員と協力して語学教育全体のコーディネートを行う教員、優れた教育力を持ち各クラスにおける教育に責任を持つ教員など、役割に応じてカを発揮していただき、APUの語学教育の水準をさらに高めようと考えています。これまで常勤講師であった先生方も、一部新しい教員制度の下で教育に従事されることになっています。したがって、大学は、組合が主張するように、常勤講師制度の廃止によってAPUの語学教育が後退するとは考えていません。

常勤講師は、有期限の雇用制度

 このような教育目的で教員制度を改革しましたが、優れた教員を安定的に、多数確保するためには、有期限雇用とすることが適切と考えています。私立大学の財政的な制約も背景にありますが、教育に対する社会的な二一ズがめまぐるしく変動する中では、一定の期限の中で目的に最大のカを発揮していただくことが有効と考えるからです。
 日本の私立大学では通常、語学教育の多くの部分が非常勤講師によって担われています。これは大学の教育方針の徹底においても、教員の雇用の不安定さにおいても問題が大きいと考えています。APUにおける従来の常勤講師制度、新たな上級講師制度、嘱託講師制度は、この問題の解決にも資するものです。
 上級講師、嘱託講師など、有期限の先生方がAPUで教育実績を積んでいただくことが、契約期間満了後、APUの他の教員制度や他大学教員への応募に際して役立つものと考えています。実際に少なくない常勤講師の先生方がAPUの新しい教員制度に雇用されたり、他大学の専任教員として就職していかれました。
 常勤講師制度もこのような考え方から有期限雇用としているのです。今回任期満了となる常勤講師の先生方で新たな教員制度に応募された先生もおられます。

任用期間終了後も継続雇用を約束することは、制度上ありえない-「解雇」の主張は不当

 組合は、1999年10月24目に行われた「日本語講習会」において、大学は「希望すれば、60歳の定年にあたる年齢まで常勤講師として継続的に雇用ができる」と説明したと主張しています。しかし、前述の通り、常勤講師制度は有期限雇用の制度であり、大学の方針から見てそのような説明はありえません。また当目の日本語講習会で説明した担当教員に大学として何度もヒアリングしていますが、「指摘されるような事実はない」と確認しています。また1999年10月24日当時、大学が任用に関して公的に説明している内容は、常勤講師の募集要項、任用決定通知にて明確に記載しているように、「1年毎の契約で3回を上限に更新ができる」ということであり、常勤講師が有期限の雇用であることを明確にしています。このように、常勤講師制度が有期限雇用であることは明らかであり、ご本人も承知の上で契約を交わしています。したがって今頃になって、契約期間の満了を「解雇」と主張するのは不当です。

APUの到達点に確信を持って、ニューチャレンジを推進します

 学部のカリキュラム改革が来年度から実施され、大学院改革の議論も今後行われます。これらはAPUの全構成員が協力して取組を進めることが重要です。大学は、教育の質を向上させるための議論や実践に取り組み、世界各地で活躍する学生を育成したいと強く願っています。

2006年1月26日
立命館アジア太平洋大学

憤りを感じてます。(立命館アジア太平洋大学・アジア太平洋マネジメント学部)

 今回の制度改悪のせいで、自分がお世話になった講師(Hann George)が解雇されることを知りました。初めての英語クラスは、彼のおかげで雰囲気も良く、授業も分かりやすかったので楽しみにしていました。生徒の長所を見てくれるとても良い先生で、できれば彼の授業をもう一度取りたいと思っていただけに残念です。
 非常勤講師に言語教育の大半を任せる体制は一般私大では普通だと大学の見解に書いてありましたが、それは留学生が半数を占めるこの大学でもまかり通る論理なのでしょうか?私は他大学の友達に「言語の授業はどうなの?」と聞いたら、「日本人の講師が日本語で授業してる。」と言っていました。外国語大を除いた「一般私大」の言語教育はその程度のレベルです。追随する必要は無いはずです。そして、ノウハウも何もないバイト講師に8万円の授業料は払いたくありません。
 今回の大学側の決定、見解は本当に矛盾だらけだと思います。正直、今の自分にとって、APUは誇れる大学ではありません。再考の程、よろしくお願いします。

(立命館アジア太平洋大学・アジア太平洋学部)

 わたしにとって言語の先生の存在は本当に大きいものでした。言語の先生は週に4日授業があるため、学生に接する機会がもっとも多いと思います。先生方は本当に学生のために充実した授業を行ってくれています。また授業以外でも気軽に相談にのってくれる本当に大きい存在です。はっきり言うとオフィスの人に相談するより遥かに親近感がもてるし、個人の能力や性格などもわかってくれているので的確にアドバイスもしてくれます。大学側は言語教育に力を入れていることをアピールのポイントにしているのに彼らに対する扱いはひどいものです。こんな状況を絶対に許してはならないと思います。

(APU・APS)

1回生のほとんどは毎日言語の授業を受けています。先生方は単に言語を教えてくださるだけではなく、慣れない一人暮らしや大学生活、健康面にまで気を使ってくださり、大人と接する機会の少ない私にとって貴重な存在であり、精神的にも支えでありました。その言語の授業が終わってからも、先生に様々な相談をしにいく学生さんのお話もよく耳にします。このように本当に生徒の支えになってくれている先生方が不安定な雇用条件の中で働いていることに憤りを感じます。常勤講師の先生方がいなくなれば、学生の言語能力を伸ばすことが難しくなるのではないでしょうか?言語能力を伸ばせなくなったAPUは一体何をウリにして新入生を迎えるのでしょうか?本当に疑問が残ります。


投稿者 管理者 : 2006年02月01日 00:25

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