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2006年02月09日

日弁連、国会内に教育基本法調査会の設置を求める提言

日弁連
 ∟●国会内に教育基本法調査会の設置を求める提言

国会内に教育基本法調査会の設置を求める提言

中央教育審議会は、2003年3月20日、文部科学大臣から受けた諮問に答え、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」と題する答申(以下「中教審答申」という)を提出した。諮問から答申までの過程においては、国民からの意見募集、「一日中教審」と題した公聴会、有識者、教育関係団体からのヒアリングも実施された。そして、中教審答申が提出された後、与党においては「教育基本法に関する協議会」、「同検討会」(途中、「教育基本法改正に関する協議会」、「同検討会」へと名称の変更がなされた)が設置され精力的な協議・検討がなされ、2004年6月には中間報告が公表されている。また、野党の民主党においては中教審での審議と並行し「教育基本問題調査会」が設置され、2005年4月には「作業部会報告書」と題する中間報告が出されている。

しかし、与野党いずれの協議検討調査も非公開で進められており、与野党の中間報告後の検討状況の進展についても国民に向けて公表されておらず、報道を通して伝えられる情報も断片的で、国民的基盤のもとでの議論がなされているとは言い難い。他方、中教審答申後も、各界から答申に対する多くの意見表明、著作物の発表がなされ、当連合会においても会長声明をもって意見表明を行っているが、これらがどのような形で、その後の与野党における議論に反映されているかについては全く不透明である。

そもそも、「(憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつ」とし、「憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立する」として制定された教育基本法は、憲法が保障する教育への権利を実現するために定められた教育法規の根本法であり、準憲法的な性格を持つ法律であるとされているものであって、その「改正」の在り方は憲法の理念と基本原理にも影響を与えかねない重大なものである。

また、これからの時代にふさわしい教育の在り方を考えるにおいては、憲法だけではなく、わが国が批准した国際条約、特に、子どもの権利条約や国際人権規約との整合性をも確保する必要がある。

このように準憲法的な性格を持ち国際条約との間の整合性をも確保する必要性が高い教育基本法については、その改正の要否をも含め、憲法についてと同様に、全国民の代表者からなる国会が、国民的基盤のもとでの広範かつ総合的な調査研究と国民的議論を踏まえた議員間の自由な討議のもとでの検討が行われるべきである。このような検討の在り方については、中教審答申自体、「国民の理解を深めるための取組を更に推進」することを求めており、さらには、今国会開会にあたっての総理大臣の施政方針演説においても、「教育基本法については、国民的な議論を踏まえ」るべきことが強調されているところである。

以上の観点から、当連合会は、教育基本法については、衆参両院に、教育基本法について広範かつ総合的に調査研究討議を行う機関としての「教育基本法調査会」を設置し、同調査会のもとで、その改正の要否をも含めた十分かつ慎重な調査と討議を求めるものである。

2006年(平成18年)2月3日
日本弁護士連合会
会長  梶谷 剛

投稿者 管理者 : 2006年02月09日 00:01

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