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2006年04月19日

自由法曹団、 「労働契約法」づくり及び「労働時間法制の見直し」についての意見書

自由法曹団
 ∟●「労働契約法」づくり及び「労働時間法制の見直し」についての意見書

「労働契約法」づくり及び「労働時間法制の見直し」についての意見書

2006年4月17日
自由法曹団

はじめに

<差し迫る労働契約法の制定と労働時間法制「改定」>
 厚生労働大臣は,労働政策審議会に対して,「今後の労働契約法制の在り方について」を昨年9月28日に,引き続き「今後の労働時間法制の在り方について」を本年2月8日にそれぞれ検討するよう諮問した。それぞれの諮問の直前には,いずれも厚生労働省が発足させた「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」「今後の労働時間制度に関する研究会」が報告書を発表し,これらが同審議会に提出されている。そして、今月11日に行われた分科会では、厚生労働省の事務方から、「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」として、両研究会の報告書の内容におおむねそったものが提出されている。

 今後、同審議会は,労働条件分科会での検討を重ねて本年7月を目処に中間報告を行ったうえで年内にも結論を得ることを目指しており,厚生労働省は,この結論にもとづく審議会答申を受けて来年の通常国会に関連法案を提出する計画と伝えられる。

<相次ぐ労働諸法制の改悪と労働者の権利破壊>
 財界の要求に正面から応えた政府によるこの間のあらゆる分野に及ぶ「規制改革」路線のもとで,雇用・労働分野でも「規制改革」の名のもとに相次ぐ労働諸法制の改悪が行われてきた。派遣・パートなど非正規雇用労働者と正規雇用労働者の労働条件の大きな格差が放置され続けるなかで,労働者派遣法の制定と相次ぐ改悪,雇用契約期間の法定上限の延長がなされ,正規雇用労働者の非正規雇用への置きかえが広く推し進められてきた。また,労働時間法制の相次ぐ改悪のもとで,長時間労働と過労死の蔓延には歯止めがかからないのが現状である。そして,自由競争万能を推し進める政策のもとで,判例をも無視した乱暴な解雇や労働条件の一方的切下げを強行する経営者が横行している。

 こうした現状に照らして,使用者の横暴を規制し労働者の保護に役立つ公正な体系的ルールを整備することが求められており,これに沿う体系的な法律として,新たに「労働契約法」をつくることが求められている。

<「労働契約法」の必要性を逆手にとった危険きわまるうごき>
 しかし,厚生労働省が審議会答申を経て立法化を目指して現に推し進めている立法化のうごきは,こうした必要性に応えるものということはできない。

 「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」の報告書(以下「研究会報告書」という)の内容には,部分的な前進面も散見されるものの,後に見るとおり,見過ごすことのできない極めて重大な問題点をいくつも含んでいる。また,「今後の労働時間制度に関する研究会」の報告書(以下「時間研報告書」という)も,一定の要件に該当するホワイトカラー労働者について労働時間規制を除外する制度の導入を打ち出すという重大な問題点を含んでいるからである。

 労働条件分科会での検討開始にあたっては「研究会報告書を議論の叩き台とはしない」旨の確認がなされている。しかし,研究会報告書の問題点の中でも最大のものともいうべき「解雇の金銭解決制度」の新設は財界の強い要求であり,また,労働時間制度の見直しも財界のかねてからの要求に沿ったものであると同時に,その方向性はすでに閣議決定されているところでもあって,いささかの予断も許されない。

 そこで,本意見書においては,労働契約法制についての研究会報告書の危険な内容と,時間研報告書が示した方向が立法化された場合,どのような事態が予想されるかを,労働者がおかれた実態を踏まえつつ明らかにし,自由法曹団の意見を述べることとする。 ……


投稿者 管理者 : 2006年04月19日 00:00

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