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2006年05月10日

日本科学者会議、事務局長談話「教育基本法改定に反対し国民と連帯してたたかう」

日本科学者会議
 ∟●教育基本法改定に反対し国民と連帯してたたかう(事務局長談話)2006.5.8

日本科学者会議事務局長談話

教育基本法改定に反対し国民と連帯してたたかう

 去る4月28日、小泉内閣は今国会に教育基本法の改定案を提出することを閣議決定した。

 先ずこの法案は、徹底した情報管理のもとで「与党・教育基本法改正に関する検討会」という密室の中でつくられた検討案を基にしている事を指摘したい。密室協議の理由に「一つ一つの議論の中身が外に出て行くと蜂の巣をつついた騒ぎになる」からとも言うが、国民の教育に関わる重要問題を国民と共につくるという姿勢を全く欠くもので、その裏に見えるのは「道理のない悪法」を数を頼りに押し通そうとする思惑のみである。

 法案の中身ついていくつか言及するなら、一つは前文の「この(憲法の)理想の実現は教育にまつべきである」を削除し、「真理と平和を希求」を「真理と正義を希求」に書き換え、さらに「公共の精神」「伝統を継承し」など付け加えるなど、憲法を敵視し、平和主義、主権在民の原則を教育において否定する立場を明白にしていることである。二つは「教育の目標」に特定の立場に立つ「愛国心」への直結を意図した「国を愛する態度を養う」の明記や数多くの「態度を養う」項目をかかげていることである。「日の丸」「君が代」の法制化によって、内心の自由を侵して「斉唱」や「掲揚」の強制が教育現場で行なわれている状況で、さらに事細かく「養う態度」まで法律で定めることは、人格否定の教育を強制するとものである。三つに「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」の後段を「この法律及び他の法律の定めるところにより」と改め「不当な支配」をあべこべに描き出し、「教員は全体の奉仕者」の文言削除など、法令を盾に教員を通じて行政や国家の権力介入・統制への道を開くものとなっている。
 これらは現行教育基本法のめざす方向、教育による憲法理念の実現、教育に対する国家統制の排除、教育の機会均等などを否定するもので、憲法9条を改悪し戦争のできる国作りを目指す流れと軌を一にするものと言わざるを得ない。

 以上見るように、私たち日本科学者会議は教育と学術研究の民主的発展をめざして研究し活動してきた立場から、この法案は改悪案であり決して容認することはできない。

 制定以来60年にわたって国民に支持され守られてきた現行教育基本法をさらに発展させるため、科学者の立場からその真価を国民に明らかにするとともに全会を挙げて改悪法案に反対し、廃案を目指し連帯してたたかうことをここに表明する。

2006年5月8日
日本科学者会議
事務局長五十子満大


投稿者 管理者 : 2006年05月10日 00:01

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