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2006年05月11日

平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会、声明 国会上程の撤回を求める 「教育基本法改正案」は認められない

国会上程の撤回を求める 「教育基本法改正案」は認められない

国会上程の撤回を求める
「教育基本法改正案」は認められない


 この度、閣議決定され、国会での審議に付されることになった「教育基本改正案」は、手続きの面でも、内容の面でも不当であり、到底、認めることはできない。
 そもそも内容面に多くの問題を含んでいた2003年3月23日の中央教育審議会答申中の「教育基本法改正案」を、与党の「教育基本法改正に関する協議会・検討会」という、与党だけの密室討議の結論をそのまま「改正案」にしたのが、今回の政府案である。準憲法的性格を有する教育基本法の扱い方としてはきわめて杜撰で、非民主的な「改正案」づくりだと言わざるをえない。

 内容面での問題性は、2004年6月16日の与党中間案に劣らず、数多く指摘できる。
 第1は、前文に「公共の精神を重んじ」と「伝統を継承し」という文言が入っているという点である。両者ともに国家優先の考え方、もっと端的にいえば、戦前の国家体制を想起させる内容になっている。
 第2に、第2条の「教育の目標」に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する……態度を養うこと」が入ってきたことである。第1の問題点とも深く関わってくる内容であり、また、「国を愛する心」を「態度」で示せという形で、内心に踏み込んで、より強く「愛国心」を強制することになりかねない。現行の憲法と教育基本法制定趣旨を根本から否定するものである。
 第3に、男女共学の条項を削除する一方、「障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育が受けられる」として国際的潮流のインクルーシブ教育を否定する条項を新たにつくり、子どもの権利条約の趣旨に反する「規律遵守」を求める条項すら設けている。
 第4に、中間報告にあった「教育行政は不当な支配に服することなく」はさすがに現行通りに「教育は服することなく」に戻ってはいるが、「国民全体に対し直接に責任を負って」という教育の基本的な在り方にかかわる文言は中間報告と同様、削除されてしまっている。
 改正案には、この他、多くの問題点がある。それらは研究的にも深める必要のあるものであるばかりでなく、国民的合意に向けて相当に検討しなければならない問題である。
 ここに改めて、「教育基本法改正案」の閣議決定および国会上程に強く反対し、撤回を求めるものである。

平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会

呼びかけ人・世話人
李仁夏(在日大韓基督教会名誉牧師)、池田賢市(中央大学助教授)、石井小夜子(弁護士)、大田堯( 東京大学名誉教授)、大谷恭子(弁護士)、小沢牧子(臨床心理学研究家)、鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)、川西玲子(研究室主宰)、銀林浩(明治大学名誉教授)熊谷一乗(創価大学客員教授)、黒沢惟昭(山梨学院大学教授)、柴山恵美子(女性労働問題研究家)、関啓子(一橋大学大学院教授)、暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)、永井憲一(法政大学名誉教授)、西村絢子(日本女子体育大学教授)、長谷川孝(教育評論家)、原田三朗(駿河台大学教授)、日高六郎(京都精華大学名誉教授)、増田祐司(島根県立大学教授)、嶺井正也(専修大学教授)、宮坂広作(東京大学名誉教授)、矢倉久泰(教育ジャーナリスト)


投稿者 管理者 : 2006年05月11日 00:01

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