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2006年05月25日

日本労働弁護団、「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」に対する意見と当面の立法提言

日本労働弁護団
 ∟●「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」に対する意見と当面の立法提言

「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」に対する意見と当面の立法提言

06年5月17日
日本労働弁護団
幹事長 鴨 田 哲 郎

はじめに

厚生労働省は、本年4月11日、労働政策審議会労働条件分科会に「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」(以下、「視点」という)を提示し、同分科会は、6月13日に中間報告素案を、7月18日に中間報告を公表するスケジュールを定めた。
「視点」には、「就業規則をめぐるルール等の明確化」として、就業規則の定めが労働契約の内容となる旨の合意推定効、変更就業規則に関する変更合意推定効、労使委員会、「重要な労働条件に係るルールの明確化」として、重要な労働条件変更の書面明示の法的効果、「労働契約の終了の場面のルールの明確化」として、解雇の金銭的解決制度、「有期労働契約をめぐるルールの明確化」として、締結時の明示事項、「年次有給休暇制度の見直し」として、使用者による時季指定、「その他の現行労働時間制度の見直し」として、自律的労働時間制度の創設等々、労働者生活にとって極めて重要・重大であり、かつ、労使の意見対立が激しい事項が多数含まれており、しかも、これらの点に関する「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告」(05年9月、以下、「在り方研報告」という)及び「今後の労働時間制度に関する研究会報告」(06年1月、以下「時間研報告」という)の内容とも異なる部分も相当数存在する。しかるに、これだけの重要事項をわずか2ヶ月・4回(時間法制関係はうち1回)で素案にまとめあげるとは、拙速の謗りを免れないばかりか、最早、意見を聴く意思すらないのではないかとの疑いを持たれてもやむをえないであろう。
当弁護団は、94年に「労働契約法制立法提言」(第1次案)を公表して以来、雇用の入口から出口まで網羅した民事法かつ強行法としての労働契約法の制定の必要性を強く訴えてきた。また、労働時間法についても労基法改正の折毎に、実労働時間の上限規制、過半数代表制度の抜本改正を含む36協定の強化等を中心とする抜本的な労働時間法の改正を訴えてきた。それは、「企業社会」において企業の一方的決定によって労働者生活が規定されてしまっている雇用をめぐる実状を、労働者とその家族の尊厳を確保し、人間らしい生活に変革することが必要不可欠と考えるからである。いうまでもなく、労働契約法・労働時間法は、5300万人の日本の労働者とその家族の日々の生活に関わるものであり、その内容如何はこれに重大な影響を及ぼす。かかる意義を有する労働契約法・労働時間法は、できる限り多くの国民の論議のうえで制定されるべきであり、決して、一官庁の一部局の、社会の実態から離れた机上の空論で論議が進められてはならない。まず、スケジュールありきの如き現在の論議の進め方に重大な危惧を表明する。
貴分科会においては、契約法及び時間法の重大な意義を再確認し、十二分な審議を尽くすべきであり、「視点」のままでの立法化には強く反対する。
以下では、第1として、「視点」の中の骨格と想定される事項を中心に、当弁護団の意見を述べ、第2として、当面制改定されるべき契約法・時間法についての提言を行う。貴分科会が本意見・提言を真摯に検討され、論議を尽くされるよう、強く申し入れる。

第1.「視点」の重大な問題点

……


投稿者 管理者 : 2006年05月25日 00:03

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