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2006年06月26日

日弁連、「弁護士の労働者派遣」に関する意見

日弁連
 ∟●「弁護士の労働者派遣」に関する意見

本意見書について

 弁護士を含む資格者は、労働者派遣法における「派遣労働者」に該当しないとされていますが(労働者派遣事業関係業務取扱要領)、経済財政諮問会議で構造改革特区拡充のため取り組むとされた重点検討項目案として「士業の労働者派遣の容認」が取り上げられたことから、構造改革特別区域推進本部(実際の検討組織は、構造改革特区に関する有識者会議)において、弁護士法人が他の弁護士又は弁護士法人を派遣先とする弁護士の労働者派遣の形態に限り解禁することの可否が検討されています。
 しかし、そもそも弁護士業務は「労働者派遣」と相容れるものではありません。その上、弁護士職務上の義務の中でも根幹に関わる規律である、利益相反禁止との問題が克服できないばかりか、派遣法自体の体系を壊すことにもつながります。
 そこで、日弁連は、「弁護士の労働者派遣」を認めることに反対する意見書を、2006年6月14日の正副会長会において取りまとめ、同年6月15日に構造改革特別区域推進本部に提出しました。

「弁護士の労働者派遣」に関する意見

2006年6月15日
日本弁護士連合会

第1 意見の趣旨

 現在貴本部において検討中の,「弁護士法第3 条に規定する業務に関し,弁護士法人が他の弁護士又は弁護士法人を派遣先とする弁護士(外国法事務弁護士を含む。)の労働者派遣を行うこと」を認めることに反対する。

第2 意見の理由

1 弁護士業務は労働者派遣と相容れない

 弁護士の業務は,依頼者との間の高度の信頼関係に基づき,専門的な知見と職としての倫理に基づき,遂行されるものである。また,その職務遂行に関し,依頼者,相手方その他関係者に対して弁護士法,弁護士職務基本規程1等に基づき種々の直接の義務を負うものである。弁護士の業務が,人(個人及び法人等の団体)の権利義務,自由に直接関わる業務であり,プロフェッションとしての一定の公益性が要求されることに基づく。

 これらは,当該弁護士が他の弁護士,弁護士法人に雇用されている場合でも同様である。弁護士の場合,雇用されているといっても,一般労働者のように労働力の利用処分権限を全面的に使用者に委ねるというものではなく,それは事務所ないし雇用主との委任関係に重点を置くもので,使用従属関係に基づく労働力の利用処分とは性質を著しく異にするものである。すなわち,職務遂行上はもちろん,案件の受任も被雇用弁護士の裁量に任されている。 ……


投稿者 管理者 : 2006年06月26日 00:00

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