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2006年12月07日

北陸大学、整理解雇理由の根底に疑義 「担当科目がないので解雇」という論理の破綻

北陸大学教職員組合
 ∟●ニュース239号(2006.12.5発行)

第5回団交報告 整理解雇理由の根底に疑義

カリキュラムは、今、変更できる!

 第5回団交は10月20日に行われた。教職員組合は、冒頭、解雇要求に対する回答を求めた。法人理事会側は、前回団交で8人を確認したと言っておきながら、相変わらず解雇とも解雇でないとも言わず、今年3月の通告は「このまま行けば、来年3月31日をもって雇用関係が終了する」ことを知らせた、と繰り返すのみであった。これではこれまでの説明を後退させたばかりか、事実上の交渉拒否である。

 ところで、2003年8月29日の団交で、いろいろな問題を含む新学部カリキュラムの変更要求に対し、河島学長は「カリキュラムは変えない」と文字通り突っぱねた。「新学部は新しい方針でやる」というのが理由だった(『教職員組合ニュース』197号)。そして、新学部のカリキュラムに担当する科目がない、というのが「雇用関係終了」の「理由」とされた。しかし、来年度からのスポーツコースの新設によりその方針が怪しくなった。カリキュラムは変えないということも根拠がなくなった。新しい科目が追加されたからである。以下、このことについて主な質疑の論点を略述する。

組合:(解雇通告された8人が残れるようになるために)大学はどういう努力をしたのか?

法人:最終的な解雇通告は出していない。今後の推移はわからないが、しかるべきときになれば、しかるべき結論を出す。少なくても確定している事情は、平成19年3月をもって雇用関係が終了することと、現在、未来創造学部に担当の授業がないということの2点だ。

組合:問題は、どういう努力をしたかというときに、例えば新しいカリキュラムを作るとか、アドバイザーをもってもらうとか、そういう具体的事実を一切示してこなかった。学長に何度も新しいカリキュラムを作るべきだと言ったが、我々に一切関係なくカリキュラムを決めて、発表したときは変えられないと言った。ところが、スポーツコースを創る、これは、カリキュラムは変えられるということだ。

法人:それは変えるのではなくて追加だ。

組合:じゃ、追加できるということか?「変える」のでなくてもよい、追加できるのか?

法人:コースの新設だから、そういうものが必要になった。

組合:要するに追加ができるということだ。そこを確認したい。これまで言ってきたことの根幹が結果的に嘘だったということになる。

法人:新しい人材を創るために、そういうものの新設があって、科目ができたのだから、今までの未来創造学部の学生像と別のものを創った。

組合:最低限こういうことになる。理由付けはどうであれ、追加は可能である、と。理事会の意志、あるいは学長の意志でカリキュラムは追加できることがわかった。

法人:コースとして。スポーツコースを新設したことは事実だが、カリキュラムは変更していない。コースに新設している。

 しかし、法人側がどのように言葉を取り繕うとも、「新設のコースに、新たな科目を開設し」、「新しい科目を追加した」のであるから、カリキュラムを変更したのである。

「担当科目がないので解雇」という論理の破綻

 『教職員組合ニュース』前号(238号)でも指摘したように、薬学部のカリキュラムは発足4年目に変えられていた。薬学部は1975年に開学したが、3年後の1978年に4年次に特別演習3単位や特殊関連科目7単位が追加され、必修専門科目についても科目名称変更などによる再編が行われたのである。また、その後もカリキュラムは何度も変更してきた。カリキュラムは状況変化に応じて変更必要なものであり、変更できるのである。そして、未来創造学部でも、状況によりスポーツコース新設が必要になり、新学部カリキュラムが4年以内でも変更できることが示された。「現行カリキュラムに担当科目がない」ことが「雇用関係の終了」にはなり得ないことを理事会自らが実証したのである。「科目がないから雇用関係が終了する」という論理は、先ずこの点で破綻している。

新学部、未来創造学部の人的な破綻

 教職員組合側は、次に、旧外・法学部からの新学部登載予定教員20名(当初)の内3年を経ずして約半数の9人(現在は10人)が退職した事実を指摘し、この点からも既にカリキュラム変更の時期に来ていることを主張した。法人理事会側は、それには答えなかったが、組合側からの「約半数もやめた人選をしたことに経営として責任を感じないかと」という問いには、「それぞれがやめていくのだから、どうして責任問題を出すのか」と応酬した。法人理事会が一方的に設定した基準項目により資格なしと判定された教員がいるのに対し、資格ありと判定された教員の約半数が退職した。この人的破綻という事態に対し、法人理事会は判定責任を回避する姿勢を示した。しかし、判定責任は免れるべくもなく、また、経営側の「雇用関係終了」の論理は、この点からも破綻している。

法人理事会は解雇回避努力をし、解雇を撤回せよ!

 この団交で、まずカリキュラムに科目を追加できることがわかった。教職員組合は、さらに、新学部カリキュラムを担当する教員が既に半数も大学を去り、カリキュラムを改正(変更)しなければならない状況、時期にあることを指摘した。不当な解雇を強行するのでなく現在の教員を活かす気があれば、例えばサッカーコースに、スペイン語やドイツ語などサッカー先進国の語学を含めることができる。理事会は解雇回避の具体的な努力を早急にすべきであり、組合は「雇用関係終了(解雇)」発言の撤回を改めて要求する。……


投稿者 管理者 : 2006年12月07日 00:03

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