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2006年12月07日

横浜市立大、人事の透明性 憂うべき実態

■横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第44号
 2006年12月01日(不定期刊メールマガジン)
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、12月5日(3)経由

学長ようやく回答
―人事の透明性 憂うべき実態

国際総合科学部
一楽重雄

 8月24日に教員有志で学長に提出した質問に対して,10月2日に回答を受け取ったが,30分の会談時間しかなく,内容の補足も含めて再回答することになっていた.4月に予定され7月に実施された昇任人事の透明性について疑問をなげかけた質問であったので,もう,先週再回答の催促を行った.その結果,一昨日(11月29日(水)),ストロナク学長,松山人事課長,渡邊人事係長の出席のもとで,以下のような文書が手渡された.永岑教授とともに,その後,一時間にわたって質疑応答を行った.  その中で,噂としては耳にしていたことを含めて,いくつかの点が明らかになったので報告したい.回答文については,末尾にそのまま収録する.

 学長との会談によって明確になったことは,今回の人事において,理科系の推薦者は昇任の候補者を絞らずに候補者を学長に推薦し,文系の推薦者は絞ったという事実である.このような齟齬があること自体問題であり,しかも,この事実も私たちの質問によってやっと明らかになった.このことだけでも「人事に透明性が確保されている」とは,言いがたい.
 理系の候補者を実質的に絞ったのは誰かという点を明らかにするべく質疑を行った結果,次のことが明らかになった.すなわち,理系においては候補者を絞るということではなく,順位をつけるということで実質的な絞込みを行ったということ,そして,それは人事委員会の下部機関である国際総合科学部部会において行われた,ということである.これは大きな問題である.「大学改革」によって人事の透明性を確保すると言うなら,「改革」以前に比べて透明性が高まっていなければならない.
 教授会に人事権があったときには,各学科等から推薦された候補者について,教授会内部に審査委員会をおき,そこで専門的な審査を行い,教授会において(ときにながながと)業績を紹介し,承認するということであった.確かに,社会全体には公開していないかも知れないが,大学運営の担い手である教員全員に対して,十分な情報が提供されていた.そして,何よりも大事な点は,専門の比較的近い人が研究論文を精査するというところまで,きちんと審査を行っていたということである.

 今回の人事では,たとえば,物理,化学,生物,数学といったおおまかな枠組みですら,必ずしも専門を同じにする人がいない,そういう大きな会議で順位付けを行っていることが明白になった.これで透明性や公平性が保たれているとは信じられない
 この点についての学長の見解は大変楽観的であった.「20年来,アメリカでも議論していることだが,私の見解は次のとおりである.専門外の人でも,教員として適当か昇任に値するか十分に判断できる.専門外であっても,専門の近い人から情報を取ることも可能である. ただし,すぐにできるというわけではない.経験を積んでいく中で,そのようなことが可能になる.」学長から,おおむねこのような趣旨の発言があった.
 大学の自治を奪って理事長に任命された管理職が人事権を持つこと自体,憲法違反であり,よい大学を作るのに百害あって一利なしと思う.仮に,その問題性をおくとしても,学長自らすぐにはきちんとした人事が出来ないということを言っているではないか.学長の期待するように,時間が経過すればきちんとした人事ができるのであろうか.それは,米国と現在の日本では相当に事情が違う.米国の大学では管理職が,その能力を競って大学間を移るという実態があると聞く.学長も市大の学長や学部長も公募すべきであると言っていた.しかし,日本では,ほとんど,大学管理職のマーケットなど存在しない.任期制もそうであるが,他の大学全体の状況と合わせて考えなければ,制度の意味するところは分からない.
 遠い将来についてはいざ知らず,現在市大の管理職がこのような力を持っているであろうか.私には,はなはだ疑問である.

 10月2日の回答では,「(自己申告書を作成せず辞退された方がいると聞いております)」との文が入っていたので,この事実についてどう考えているのか,と質問した.これについては,文面以上のことは把握していない,とのことであった.わざわざこういう文章を入れたのに,このような回答を平気でするのには正直恐れ入った


投稿者 管理者 : 2006年12月07日 00:02

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