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2007年01月06日

立命館常任理事会、APU日本語常勤講師の契約期間満了をめぐる大分地方裁判所の「決定」について

立命館大学
 ∟●APU日本語常勤講師の契約期間満了をめぐる大分地方裁判所の「決定」について

 下記常任理事会の見解は,大分地裁が「立命館による雇い止めが正当であることを認めました」と評価しているが,日本語常勤講師の契約更新条件について,少なくとも1999年10月24日の説明会時点で機関として何も決定されていなかったことを当局側は認めている(下の団交記録を参照)。任用規程を持たない状況下で重要な雇用契約に関わる説明を行い,採用手続きを進めたことは法人の重大な過失ではないか。これはいわば就業規則を持たないで採用手続きを進めたに等しい。まともな大学では,あり得ない事態である。その責任は,当事者である常勤講師はもちろんのこと,また説明会で説明の任に当たった教員個人でもなく,全て法人理事会が負うべきものである。
 したがって,下記見解のように,「立命館の対応が正当であった」とはとても言えないと思われる。

第五回団体交渉記録より

…(前略)
大… わかっている。ただ立命館大学の、あなたがおっしゃっている厳密性からいうと、立命館大学は立命館大学の常勤講師制度を持っている。で、APUも従って常勤講師ということで有期の制度を持っている。ただ立命館大学の常勤講師の制度の運用と立命館大学(「APU」の間違いか)の常勤講師の制度の運用は実際はちょっと違う。ということと、もう一つは二回目か三回目の交渉のときに申し上げたように、事実経過からすると、常勤講師として完成するまでの間、教員スタッフとしての完成までの4年間の期間、常勤講師としての契約を持っていただく、で4年ということでスタートしたというふうに申し上げているし、それが後に三年になる。それから常勤講師の4年或いは3年が、要するに有期が終了した段階でどうなるのか、「4年後はどうなるのですか」と書かれた質問について言うと、この間も説明したように、1回に限って再応募できるということを決めたのはその後だから、従って、この時点(=99.10.24)では4年後はどうなるのかということについて、大学として規定上の明確なものを策定していないということは申し上げた。
組… それなら、何故そういうものを決める権利がないO先生がこういうことを言うのか。
大… だから、再応募はできると言ったと思うとおっしゃったのだ。
組… それはじゃあ、当時の大学の方針とも違っていたのか。
大… この間も申し上げたように、当時の大学として確定した方針はこの段階ではまだ未定であった。
組… 2002年の6月に決まったわけか。
大… そうそうそう。規定としてね。
…(後略)

APU日本語常勤講師の契約期間満了をめぐる
大分地方裁判所の「決定」について

2006年12月  学校法人立命館 常任理事会

 標記について、常任理事会の見解をお届けします。

1.立命館アジア太平洋大学(APU)の日本語常勤講師の契約期間満了による雇い止めをめぐって当該元常勤講師から申し立てられていた「地位保全等仮処分命令申立事件」について、大分地方裁判所は、11月30日、「債権者(注・元常勤講師)の申立をいずれも却下する」との「決定」を出し、立命館による雇い止めが正当であることを認めました。

2.今年(2006年)5月18日の仮処分申立以来、裁判所は、計5回の審尋を行いました。この間に、債権者側(元常勤講師)は「主張書面」を6回、「証拠資料」を44号提出し、債務者側(立命館)は、「主張書面」を9回、「証拠資料」を92号提出しています。約半年をかけた審理の結果、裁判所は、元常勤講師側の申立を全て認めない「決定」を出しました。

3.「決定」は、以下の3点において極めて重要な意義を持つ内容となっています。
 第1に、APUの「常勤講師」制度において、「任期4年」としていることについて、「決定」は、「債権者と債務者が交わした本件労働契約は、任用期間が4年、雇用期間が1年という期間の定めのある契約であり、契約締結の経過等に鑑みると、ここにいう任用期間とは、雇用保障期間と解するのが相当である」と判断し、本件労働契約は旧労働基準法に抵触せず適法であるとしました。
 第2に、「決定」は、「債務者が、学生定員の増員を図りつつ教育の質の向上を図るため、教員組織整備計画のもと、常勤講師の職位を廃止したことは必要性・合理性が認められる」と判断し、APUが、ニューチャレンジの展開にともなって、常勤講師を廃止し、上級講師および嘱託講師の制度を導入したことが正当であることを認めました。
 第3に、「決定」は「債務者が債権者を任用期間満了に伴って雇い止めしたことは、解雇権の濫用に当たらない」と判断しました。
 これらは、立命館の主張を全面的に認めたものです。

4.一方で、事実経過については、裁判所が、元常勤講師側の主張を認めた部分があります。それは、APU開学前の1999年10月24日に開催されたAPU日本語講習会において、当時立命館大学言語教育センター長であった教授が、「4年後の更新について知りたい」との質問に対して「一応任期はあるが、本人が望めば60歳の定年まで更新ができる。2期目に入っても昇進・昇給はない。この繰り返しで何回更新しても昇進・昇給はないが、それでも良ければどうぞ定年まで働いてください」との趣旨の説明を行ったというものです。これについて立命館側は、同教授がそのような説明をした事実はなく、4年間の期間満了後の再契約については、APUが公募をした場合にこれに応募して採用が決定されれば可能であることを説明したにすぎないと主張しましたが、裁判所の理解は得られませんでした。

5.しかしながら、裁判所は、そのような事実を前提にしても、労働契約の期間中に元常勤講師側に雇用の継続を期待させる事情は「一度だけの軽率な発言のみ」であって、日本語常勤講師については希望があれば当然に雇用期間を更新することができるようにすると立命館が機関決定した事実はないこと、本件日本語講習会において労働契約の内容を変更するような重要な事項を扱うことが予定されていなかったこと、常勤講師は「契約期間の定めのある雇用形態であることが規程に明記されている」ことなどを理由に、元常勤講師側の申立をすべて却下しました。

6.この問題についてはマスコミに報道されたことでもあり、ご心配をおかけしましたが、立命館の対応が正当であったことについて裁判所が認めたことを踏まえて、みなさんが理解を深められるよう願うものです。


投稿者 管理者 : 2007年01月06日 00:00

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