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2004年04月21日

自衛隊イラク派兵差止訴訟の会(名古屋) 緊急要請文

2004年4月19日(月)

内閣総理大臣 小泉純一郎様
外務大臣   川口 順子様
防衛庁長官  石波  茂様

私たちは「自衛隊の速やかな撤兵」と「米英の軍事占領を止めさせるための平和外交を行うこと」を日本政府に要求します

 私たちは、「自衛隊のイラク派兵差止め」と「自衛隊のイラク派兵が違憲であることの確認」を国に求めて、去る2月23日および4月14日の2回にわたって名古屋地方裁判所に提訴した「自衛隊イラク派兵差止訴訟」の原告(2363名、4月14日現在)です。
 この度、イラクで武装勢力によって拘束されていた民間の日本人計5人がイスラム聖職者協会や英米軍のイラク軍事占領に反対する数多くの市民グループの働きかけなどにより、無事に解放されました。
しかし問題はなんら解決されていません。今回の二つの日本人拘束事件が起きた原因は、国際法に違反してイラクに軍事攻撃し今もなお軍事占領している米英軍指揮下に、日本政府が「イラク特措法」により自衛隊を派兵していることであることは明らかです。拘束された日本人5人とその家族の「自己責任論」や「迷惑論」を持ち出して問題の本質を誤魔化してはいけません。
私たちは、こうした事件の再発防止と、そしてなによりもイラク全土の治安の回復とイラクの市民の生命と安全を取り戻すために、以下の二つを日本政府に要求します。

1.イラクおよびクゥエートに駐留している自衛隊を速やかに撤兵して下さい

 今回の日本人拘束事件発生の有無に関わらず、日本政府は自衛隊を速やかに撤兵すべきです。理由の第一は、イラクへの海外派兵は従来の政府見解によっても憲法違反だからです。憲法9条は第1項で「戦争を放棄」し、「武力の行使」や「武力による威嚇」もしないこと、第2項では国に対して戦争のための戦力を持つことも、また戦争を行なう法的な権利(交戦権)も禁止しています。自衛隊存在の違憲性を留保したとしても、戦闘行為が続いているイラク(戦地)に無反動砲や個人携帯対戦車砲などで重武装した自衛隊を派兵していること自体が憲法違反です。海外への派兵は明らかに「自衛」の目的を超えています。また、自衛隊が行なう「安全確保支援活動」、すなわち米英軍に対する後方支援活動(占領軍に参加する武装兵士や物資の輸送など)は明らかに「武力行使」にあたり、憲法9条に反します。国家は憲法上認められた権力だけを行使し得るという立憲主義の原則を否定しないのであれば、日本政府は速やかに自衛隊を撤兵しなければなりません。
 理由の第二は、昨年3月20日以降、英米軍がイラクに対して行っている行為は、何の正当性も大義もなく、国際法に違反した「侵略行為」(軍事占領も侵略行為)です。日本政府はそうした米英中心・米英主導の暫定占領当局(CPA)指揮下のイラクに重武装の自衛隊を派兵し、国際法違反の侵略行為に加担しています。今回の2つの日本人拘束事件は、まさにこのことによって起こったのです。私たちは、日本政府が自衛隊を撤退させなければ、今後もさらにこうした事件が発生することを危惧しています。
4月上旬のファルージャでの米軍の掃討作戦(5日間でファルージャ市民600人が殺害)、昨年3月以降でわかっているだけでも1万人をはるかに超える「無辜のイラク民間人」の殺害、都市や農村の破壊、内政干渉、民族自己決定権の侵害、「放射能兵器」とも言われる劣化ウラン弾やクラスター爆弾使用による多大な被害を受けたイラク市民は、米英がやっていることが不法な軍事占領であることを身体でもって知っています。日本は米英軍がやっているそうした侵略行為を支持し、加担しているのです。日本政府はこの過ちを反省し、自主的に、速やかに自衛隊を撤兵することを決断して下さい。

2.米英の軍事占領を止めさせるための平和外交を行って下さい

国際法に違反してイラクで行っている米英軍の侵略行為を即時中止して撤兵するよう米英国政府に働きかけて下さい。
 去る4月16日、米国政府は6月末の主権移譲後のイラク暫定政権づくりにあたり、米政府が人選した現在のイラク統治評議会を解散し、政権の主要な顔ぶれについては国連が改めて任命するというブラヒミ国連事務総長特別顧問の提案を受け入れることを表明しました。しかし一方では主権移譲後の米軍駐留の継続や“過激派”制圧方針の堅持を強調するなど、米国の主導的役割を保持しつつ国連を利用するという米国の意図が明確に表明されています。
 日本は、いかなる国際紛争があってもそれを解決する手段として、戦争や武力の行使または武力による威嚇を永久に放棄することを世界に誓った国です。その国の首相として、米英両国政府に対し、国際法違反の軍事占領を一日でも早く止めさせるよう働きかけて下さい。イラクの人たちが真の主権回復が円滑にできるようにするために次の三つのことを働きかけて下さい。
第一にイラク全土での停戦を直ちに実現すること、第二に可能な限り速やかに米英を中心とする占領軍の撤兵を実現すること、第三に新生イラクを作り上げる自決権はイラク人の権利であることを踏まえ、米英占領軍が関与しないイラク人のイラク人による主権「回復」プロセスを作ること。憲法9条を持つ国の首相としてやるべきことは、こうした「平和外交」です。

以上

「自衛隊イラク派兵差止訴訟の会」
代表 池住義憲

投稿者 管理者 : 2004年04月21日 00:01

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