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2004年08月23日

大学教員の任期制、全大学が一斉に導入した方がいいのか?

2007年ショック走る、投稿から−学生集めに偏向、学長選考法に課題(大学激動)

日本経済新聞(8/20)

任期制は一斉に 制度設計がおかしい

 三日から連載した「大学激動 第一部『2007年ショック』走る」に、読者から様々な意見や感想が寄せられた。
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 三年後に迫った志願者全員入学時代を前に、入試の変質を紹介した「学生争奪戦」の回には、金城学院大の竹内通夫教授(65)が「大学は学生集めに関心が偏りすぎ、どんな教育をして学生を社会に送り出すのか教育目的がはっきりしない」との意見を寄せた。
 「学生に電話のかけ方やあいさつの仕方を教えるのが大学の使命だろうか」と首をかしげ、「大学とは何かを考え直さないと、世界をリードすることはおろか、相当の後れをとる」と訴えた。
 規制緩和、競争原理の導入という流れに疑問を投げ掛けるのは龍谷大職員の久志敦男さん(37)。「大学・学部の新設を容認し、競争によるレベルアップを図っているように見えるが、現実は赤字の専門職大学院が乱立するなど財務基盤の弱い大学の倒産を加速させている」と批判。「ずさんな経営の大学はともかく、小規模ながら地方で頑張る大学までつぶれかねない」と主張する。
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 「揺れる国立大学長選」の回は学長公募制を採用した鹿屋体育大を取り上げたが、学外からこの学長選に立候補し、学内投票で現職学長に敗れた宮崎県日南市の元会社社長、倉本毅さん(62)本人が投稿してきた。
 倉本さんは開かれた国立大に向けた鹿屋体育大の公募制導入は「大いに評価できる」としながらも、公開討論会などで具体策を訴える機会がなかったことには課題が残ると指摘。「初めてのことゆえある程度の不備は仕方ないが、(今後は)社会常識に従った公平な選考方法により、意欲的な学長が選任されることを切望する」と訴えた。
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 「『全入』の重圧、変革迫る」と「改革迫られる公立大」の回で取り上げた教授らへの任期制導入。慶応大の藤原淳一郎教授(60)は「先端的な分野は任期制で人を入れ替え、活性化を図るのに適している」と評価する一方、注文もつける。
 まず「官庁や企業がすべて任期制ならともかく、労働市場が流動化していない現状で、大学だけに任期制を強要するのは均衡を失する」と指摘。当面は「全大学がいっせいに任期制に踏み切り大学間で人材流動性を高めるとともに、採用や任期更新の基準を明確化して手続きを公平にすることが必要」と訴える。
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 「法科大学院の現実」の回は、焦る学生、対応に戸惑う大学、活況な司法試験予備校を取り上げ、学生や入学希望者から多くの反響があった。
 会社を辞めて私大の法科大学院に通う男性(32)は「全国の法科大学院の定員が計六千人、新司法試験の合格者が千数百人とすると、毎年四千人以上の不合格者が堆積(たいせき)する計算。制度設計がおかしいとしか言いようがない」と怒りをあらわにする。
 三年通うと生活費込みで一千万円前後必要で、周りにローンで通う学生も多いという。「低レベルな教育サービスしか提供できない法科大学院は、学生が集まらないどころか訴えられるのではないか」と警告している。



[元になった過去ニュースの記事]
「第1部2007年ショック走る(1)「全入」の重圧、変革迫る(大学激動)」
「第1部2007年ショック走る(3)揺れる国立大学長選(大学激動)」

投稿者 管理者 : 2004年08月23日 00:31

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